<< 旅慣れない民への「飴」と「鞭」 少し距離を置いて客観的になって... >>
隠したところで、隠れたところで、
2009年2月4日付でヴァチカンから同年1月21日付で破門解除されたばかりのリシャアル・ウヰリアムソン司教の私見発言について 前言撤回を求める文が公にされたもの の、その週末までにウヰリアムソン師が微塵も動かなかったことで2月8日日曜の一日、その事実が繰り返しニュウスで流れた後、ぷっつりすっぱり仏蘭西国内の報道各社はこの件についてヴぃるギュウル virgule ( , =カンマ)を打ちました。会社によってはポワン point ( . =ピリオド)を置いたつもりだったのに、2月末の一件 で段落を変えて再びストーリーが始まったのかもしれません。

======十======


週明け、その翌日の2月9日から仏蘭西国内の報道が一斉に流し始めたのはベルギーと国境を接する仏蘭西北部の大都市で39歳になるカトリック司祭がペドフィル pédophile、=幼児性愛で捕まった 事件 と、仏蘭西南部の歴史ある町に住むカトリック大司教がどうも教区公金を自分の旅行費用に常々充てていたことを教区司祭数名によって公に訴えられたというニュウスでした。
* La Croix : Le diocèse d’Avignon en situation de blocage
* Liberté Politique : Avignon : un évêque offensé, une Église blessée
ひとつめのスキャンダアル、39歳の司祭はインターネットを使って少年を探し、13歳になる男子はじめ幼児と言うより青少年に対してやっちゃいけないことをやっちゃったのだそうだ。ふたつめのスキャンダアルにおかれましては大司教側が公に訴えた司祭を役職から外したらしい。報道の中にはヒエラルキアの悪用と教区機能の不全を批判している文章も見られます。
なんだかなー、もー。 ポリポリ
今年2009年はアヴィニヨンに教皇庁が置かれて700年という記念年で、その式典にB16がお出まし!?、ゆっぴい、ゆっぴぃ!な噂が流れはじめただけに、とってもぶっつけスキャンダアルですわね。

これらのニュウスが流れたところで「なぜ教区が内部の不祥事を隠さない。聖職者を守らない。」と声高になる仏蘭西びとはあんまりいないようです。私個人はこの手のカトリック教会内事件が仏蘭西の報道で公にされたところで、健全なライシテ(Laïcité, 1905年に制定された完全政教分離法)と民主共和の表れかな、くらいにしか思えません。私の人生において、カトリックが身内の問題を隠したことで、或る政党を熱烈に支援する小説家に面白おかしく推理小説に仕立てられた件や、いかにも紙の悪い男性をターゲットにした週刊誌にエロい文章で表現された件も既に知っており、隠したことでこんなフィクションがまかり通って、そんな先行して現れたガセを信じる信者を不要に製造するくらいなら、全国紙に掲載され、司法の判断に委ねることの方が結果がどうであれ健全に見えるからです。それに隠してくれた恩に感謝せず、その情けに甘えるヒトがいるのもこの世の常です。
世の中は左右どちらに巻こうが巻き切れるとニュウトラルな報道が流れなくなるようで、近年のお仏蘭西は神聖賢愚帝サルコぢ一世さまに関わる公私については報道規制が狂い始めているし、実際、ミカド(=サルコぢ)自ら報道機関をいくつか掌握しているのも事実だったりします。カトリック関係のスキャンダラスな話題がこうやって公に出るのも実は賢愚帝の思し召しだったりしたらゲンナリですが、こんなのを選んだのも共和国民だから賢愚帝の御世に数年浸かるのも自業自得。批判できる自由があるだけデオ・グラシアスに過ぎない(実際、仏蘭西国内のカトリック教会では選挙中のミサの共同祈願では「カトリック教会のためになる大統領が選ばれますように」「ア~メェン」と祈っていたりした、...Bof )。

======十======


さて、上のカトリックスキャンダアルで思い出したことがいくつか。
まずは昨年秋だったか、民放テレビ局 M6 の 66 Minutes という検証番組で、Le scandale du "frère pédophile" 幼児性愛の修道士 というドキュメントが流れました。おそらく、仏蘭西や国境を接する国々に住む日本びとの中でこの番組をご覧になった方がかなりいらっさるのではないでしょうか。要約 を一読すればわかるとおり、カトリック団体ベアティテュウド共同体 la communauté des Béatitudes に所属するピエール・エチエンヌ修道士 le Frère Pierre-Etienne なる人物が5~11歳の少年に性的暴行を続けたことで2008年6月に告発された事件についての検証です。
この「ベアティテュウド」なる共同体 Communauté des Béatitudes は現在、仏蘭西含め17か国で活動を続けており、1973年、世俗の信者夫妻によって創立。聖俗信者が共同で司牧する団体であり、カリスマティックなる聖霊運動を取り入れもしたので、彼らは charismatique chrétien と位置づけられているようです。結婚した夫婦または家庭が修道生活の真似事をできるンですよ(← 棒読み)。2002年以降この団体は教皇庁の法の下 におりますが、昨年のスキャンダアルをきっかけに現在は教皇庁の監視下 "sous surveillance" par le Vatican にあります。番組ではその教皇庁からの文書も公開されていました。映像においてはある地方の小村にあるこの共同体が管理している聖堂にはもう誰も信者が寄っていない現状、この共同体の会員が現在も妙にクラシックな修道服に身を包んで仏蘭西南部で活動している様子が流れ、続いて少年時代、この団体が経営する寄宿学校で犠牲となった男子が成人した今も心理カウンセラーと自治体の非宗教の立場での指導を受けていることや、召命を聞いてこの共同体の寄宿学校に入ったことで性的暴行を受け、それが原因で自ら命を絶った少年のご両親が今も息子の棺が埋められた場所に墓石を置かずに草木花を植え続けていることとその一方でこの親御さんが教会に行かずとも信仰は捨てていない、捨てられないという吐露が流れました。こんな共同体に決別し成人したところで少年時代のトラウマに苦しむ男性の姿も、息子の召命を喜んでこの共同体に預けたにもかかわらず遺体となって帰宅した息子を思う親御さんも、今も善意だけでこの共同体が当初掲げた信念のために活動を続ける聖俗の人々の姿も、画面を通して見ている側に考える種をたくさん撒いたように思います。現に私も事或るごとにこの番組を思い出すことが多くなりました。

このカトリック団体は第二ヴァチカン公会議後の方針に基づいて結成されたこともあり、こんな事件が発覚すれば第二ヴァチカン公会議を否定する人々からは「それ見たことか」と批判され、「諸宗教から引くことのイスラーム=アヘン」でマルクス万歳な人々からも「あんなことに関わるより我等と一緒に地上天国を作ろうぞ!」とインタアナシオナル L' Internationale を斉唱しつつ喧伝が始まるのも当然でしょう。

======十======


そして、もうひとつ思い出したことは仏蘭西南西部はボルドー郊外にあるサンテロワ Saint Eloi という名のカトリック聖堂のこと。2002年1月に当時、ボルドー市長であったアラン・ジュペ Alain Juppé 氏が確認を怠ってこの聖堂と周辺施設(司祭館など)を例のFSSPX に譲ったことで、仏蘭西司教団がボルドー市とFSSPXに対し訴訟を起こし、2004年4月27日付で裁判所はこの聖堂を司教団に返還することをボルドー市とFSSPXに命じました。この裁判記録はインターネットでも公開されています。
Cour administrative d’appel de Bordeaux, 27 avril 2004, n° 03BX00370, Association Eglise Saint-Eloi
http://www.rajf.org/spip.php?article2619
この裁判で勝訴し、聖堂を奪還した教区は奪還した建造物すべてを教皇庁に渡し、現在、この聖堂は教皇庁直轄になり、FSSPX から追放されたIBP (L'institut du Bon Pasteur, 良き牧者神学校)会員に任されています。
・・・なーんて話は仏蘭西だったら隠しようがない事実で、かのアラン・ジュペ氏がこの聖堂をFSSPXに譲った直後の祝賀会にネオナチがたんまりと集っていたことで 金銭面で不明瞭問題山積 のアラン・ジュペ氏が「極右の教条主義者」を贔屓している Quand Juppé aide les intégristes (fascistes, racistes) という疑いまでかけられたのでした。まあ、ジュペ氏への非難には同情の余地なし。
こんな事実はカト率0.5%の日本國では流れないので、なぜかかように変化してインターネット上で公開されています。cf. http://immaculata.web.infoseek.co.jp/manila/manila072.html
サンテロワ訴訟について両者の言い分がまるで違いますが、このボルドーの件に限ったことではなくFSSPX vs カトリック教会の聖域外での訴訟等はいくつも発生しております。例えばパリのサン・ニコラ・デュ・シャルドネ教会 l'église Saint-Nicolas-du-Chardonnet についてもそう。
今年1月24日にFSSPX5司教の破門解除が世間に公開後、FSSPXはヴァチカン内に敵がいる、深く関連するフランス、スイス、ドイツ司教団に左傾思想を絡めて彼らが全て敵のごとく大批判を続けていますが、花の都お巴里の西隣ナンテール Nanterre 教区が管轄しているHP『電脳主任司祭 Le Cyber Curé 』に掲載された今回の破門解除についてのページ EXCOMMUNICATION ET LEVÉE DE L'EXCOMMUNICATION DES ÉVÊQUES INTÉGRISTES を眺めて見ますと、
なんて明け透けに要領よくまとめられておりますこと。
これまでの経緯も、今回の破門解除でカトリック教会とFSSPXそれぞれの立場も明瞭に簡潔に書かれています。
Ces quatre évêques ne sont donc plus hors de l'Eglise, mais tous les intégristes ne sont pas réintégrés dans l'Eglise.
これら4司教はもはやカトリック教会の外の立場ではない。が、全ての教条主義者が教会内に復権したのではない。

La levée de l'excommunication des évêques intégristes n'a pas changé la situation juridique de la Fraternité Saint Pie X. Elle ne jouit d'aucune reconnaissance canonique dans l'Eglise catholique.
司教方の破門解除されたからと言って聖ピオ十世会の教会法における立場はなんら変わらない。聖ピオ十世会はカトリック教会において宗規にかなった承認を一切享受しない。

Quant aux prêtres de la Fraternité Saint-Pie X, ils sont frappés par une peine de suspense, qui pour l’essentiel leur interdit de célébrer les sacrements (sauf exceptions).
聖ピオ十世会に所属する司祭においては聖職停止の罰が科せられている状態にあり、<例外を除いて>全秘跡を執り行うことを禁じる。
註:この『sauf exceptions 例外を除く』は、前出のとおり4司教が教会の内にいることから、例外とは教皇、教区長からの認証を指す。


La levée de l'excommunication des évêques intégristes n'est pas une réhabilitation, elle constitue le point de départ d'un long chemin qui supposera un dialogue précis.
教条主義である4司教の破門解除は復権、復職を指すのではない。この破門解除は明確な一致を見出すための対話を前提とする長い道程に出るための基点を造ったに過ぎない。
とあります。四司教破門解除は「それだけ」であり、FSSPX会員の活動自由化にまったくつながっていません。そして、この件についての教皇さまの意向 VERS LA PLEINE COMMUNION AVEC L'EGLISE について読み進めますと、ヴァチカンのうちにいる者もれなく敵と決め付けるのは難しいですね。教皇B16 はFSSPXがいずれ第二ヴァチカン公会議の全てと第二ヴァチカン以降の全教皇のカトリックの教導権を承認すること«la pleine reconnaissance du Concile Vatican II et du magistère des Papes Jean XXIII, Paul VI, Jean-Paul Ier, Jean-Paul II et de Benoît XVI» を願っているので、教会の中のみんなたちも教皇さまの意向に従い、それぞれの立場でできることをしているのです。このナンテール教区のHPも「できること」のひとつです。この中学生くらいの学齢あれば理解できる易しい文章の説明を公開するだけでどれだけ教会、FSSPX 双方の誤解、ヲッチャーの偏見を修正できることか。教区のどこが敵なんだ?敵だったらこんなHPなんて作らないでしょう。参考文献にはFSSPX 側が公開しているHPまで紹介しているではありませんか。教会の一致のためには長い道程があるとヴァチカンの中が主張しているのに、早くもそのヴァチカンの中に敵がいると吹聴していること自体、ヴァチカンや教皇さまとの一致を実は阻んでいる表れです。教皇さまの思いを邪魔し、教皇さまを泣かせるなんて、どこが教区を抜いた教皇直結団体なのだろう。抜いたところで、破門解除の喜びをもらって以降、教皇さまをずっと泣かせ続けているぢゃん。

いずれの場合にせよ、きょうび教皇庁も、教皇さまも「隠してナントカしてしまおう。世間に内緒にしよう。」とは考えちゃいないようです。もしカトリックにおいて「隠してナントカしよう」という民意がマジョリティになるなら、将来的には隠し事が大好きな教皇がコンクラーヴェで選出されるでしょうね。で、知らない世俗が詮索と妄想を楽しむようになる。実に時代を逆直滑降であります。そんな方向にいざなわれるのは蟻地獄に落ちるようなもの。天主さまは「私への愛の証のために詮索と妄想が好きな人になりなさい」とはおっしゃっていません...よね。

le 4 mars 2009, Casimir
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by ma_cocotte | 2009-03-04 16:00 | 『?』なKTOりっくん | Comments(6)
Commented by anbai at 2009-03-05 14:54 x
日本語メディアでは続報が無かったですが、たまたまこういうものも見つけました。
ご参考までにご案内します。何だか一つの問題があちらこちらに飛び火してそうな気配を伺えるのですが、心配です。

FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE(3/4)
バチカン ホロコースト否定司教の破門解除 独断決定に揺らぐ教会統治
http://www.business-i.jp/news/special-page/oxford/200903040007o.nwc
Commented by あんとに庵 at 2009-03-05 16:49 x
日本にはこの手のニュースがなかなか入って来ないのでありがたいですね。それについてどう考えるかはそれぞれなのですが、四旬節のこの期間に教会共同体ということについて黙想するいい材料でありますね。

エントリとまったく関係のないへんてこなコピペしてる人がまたいますが、このような四旬節にふさわしくない怨念行為はやめた方が霊性のためにもよろしいでしょう。
無断転載されている心のともしびの執筆者に対しても大変に失礼な行為ですし、四旬節にかような小罪を重ねているのは霊的にまぁ不健康ですな。
Commented by ma_cocotte at 2009-03-05 17:38
★ 今井 美沙子:心のともしび at 2009-03-05 10:07
   今井 美沙子:心のともしび at 2009-03-05 10:07

正統性さま、
毎日必ず無断全文転載を実行されるのも自己満足に過ぎませんね。
お願いですから全文転載をここに貼る前に「心のともしび運動本部」に
転載許可をいただいてください。
これまでの無断転載について、私が貴方のかわりに関係者に頭を下げ
させることが貴方の目的ですか?

今回も 「読まずに消去」 しますので、あしからず。
Commented by ma_cocotte at 2009-03-05 17:49
★ anbai さま、
お知らせくださったURLを拝見しました。興味深い内容ですね。
OR紙は確かにSJが最高責任者ですが、現在のスタッフはSDBが中心だと
漏れ聞いてもいます。だから、この記事で述べられているSJ司祭の権限
は鵜呑みにはできないと思います。そもそもSJ総長の顧問を兼任している
司祭がOR紙責任者でスタッフがSDBなら、私ゃ、編集会議を覗いて
みたい(爆笑。

そして掲載されたデュッセルドルフでの写真に爆笑。
ウヰリアムソン師はこの一ヶ月、黒山羊、狼に例えられてますから、
この張りぼての表現がわからないでもありません。
誰もFSSPXを排除しようなんて思っていません。一致するにも「中身」が
必要。今回の四司教破門解除の件については下準備を怠ったことを
世論に批判されてもしょーがない、と傍観している私は思います。
戸惑っている人が多すぎですよ。例えるなら「突然の来客」でしょうか。
受け入れる側にも準備がいりますよね。
Commented by ma_cocotte at 2009-03-05 17:57
★ あんとに庵さま、
「うちうちでなんとかできる」にしても限界があるでしょうね。それはカトリック
世界に限らず、ですね。フランスという国は抜き打ち検査が好きな国で、
特に教育機関での抜き打ちは頻繁です。
2月第二週にフランス国内で流れたスキャンダルで、大司教告発に
ついては教会内部問題として大司教側が公に告発した司祭たちの
ミッションを変えています(この世界にクビという言葉はないので、あえて
こういう表現を選ばせていただきますね)。
世俗の団体におけるスキャンダルは教皇庁側から査察宣言されても
いますが、聖俗双方どちらからも元の精神に戻って人が集うまでには
時間がかかりそう。当然だわな。

マスコミが必ずしも教会に敵意を持っているとは言い切れないような
気がします。もちろん反宗教の立場は団体も個人も数多いるけれど。
その辺を私たちが冷静に判断できるよう立場を守っていきたいですね。
Commented by ma_cocotte at 2009-03-06 13:05
★ 謙虚さとは at 2009-03-06 12:17

イエズスのペトロさん、まだ無断転載を続けますか?
いい加減、快楽を止めたらいかがですか。
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