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普通の、ドーナツ。
それも、リングドーナッツ。
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昨日、スーパーマルシェのパン売り場で見つけました。
これを食べれば太るとわかっちゃあいるけれど、定期的に発作的に食べたくなるもののひとつがドーナツであります。こうして見た目は同じドーナツでも、日本國内で食べるドーナツの2倍以上、3倍は重いです。「重い」という表現が適当かどうかわかりませんが、例えるなら細長いフランスパン(フランス語ではバゲット Baguette )も外見は同じなれど、口に入れた瞬間があまりに違います。日本のフランスパンは軽い、しゅわっと溶けてしまうことさえありますが、フランスのバゲットは顎を念入りに使わないと飲めないほど中身が密集していて重いのです。

どうやら、ドーナツも、同様。

先日の みかんの缶詰 に続きまして、これ、ドーナツもまたフランスでは簡単に食べられそうで食べられないものです。おそらく花の都おパリのどこかには日本のようなドーナツ専門店があるかもしれませんが、フランスの地方でドーナツのようなものはベニェ un beignet と言う名でおやつ時間(午後4時)に再開店するパン屋さんに出ています。たいていは前日余ったパンのあまりを揚げていると思われます。だから地方によってはブリオッシュの揚げ物が前世であったであろうベニェに出会う確率が高いです。ブリオッシュも本物であればあるほどもっちりしていますから、揚げたところで表面は軽くとも中は重たく、ひとついただいたら腹持ちが良いです。

「腹持ちが良い」で思い出しましたが、ベニェもイスラーム家庭で好んで作られるおやつ菓子です。特にラマダーンの間はベニェにしろ他のお菓子にしろ夜明け前にお腹に入れて日没までお腹の中で膨らんでいてくれるものが好ましいからです。
以前に書いた記憶がありますが、南仏に住んでいた頃、モロッコ移民のマダム、アイシャが作るベニェが本当に美味しくて、美味しくて。6人の子を持つアイシャは夜が明ける前からベニェ作りに取り掛かり、小麦粉ではなくセモリナ粉を力づくで練って練って練りこんで、形を円に整えて揚げるのだそうです。お砂糖をまぶし、好みのジャムかニュテラを付け、濃い珈琲かミントティーと一緒にいただく・・・ってぇのがモロッコ<<移民>>風だそう。読んだだけで太りそうな話ですけれど、もっちりとした重さと腹持ちの良さは小麦粉では表現しきれないようにも思います。本当に美味。

面白いもので、フランスという国の中ではマグレブ Maghreb と北アフリカ諸国(主に旧フランス植民地であったモロッコ、アルジェリア、チュニジアの三国)を一緒くたにするものの、このマグレブ移民の世界を覗くと、三か国が生活文化の様々な部分でそれぞれの個性を主張し、時に舌戦に至ることさえあります。よく知られているのはクスクス料理の違いですが、ベニェも同様でモロッコではセモリナが主流でも他の二国は小麦粉が主流らしいです。と、書いて置きますけれど、これは国の違いと言うより部族風習の違いと眺めた方がいいような気もします。マグレブの肝っ玉かーさんズのほとんどがお料理上手ですから、出会ったら吉日。3か国それぞれの料理レシピや秘訣を教えてもらい、ご自分も家庭で楽しむことをお勧めします。

フランスでは家庭では兎も角、一般にレストランが活気づくのは午後9時頃からですので、パン屋さんが閉店する7時頃までにベニェでも買って、カフェで一服、お夕食まで時間つぶしというのも楽しいものです。ぜひぜひ。

le 13 août 2009, Hippolyte
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by ma_cocotte | 2009-08-13 17:47 | The ou Cafe? | Comments(0)
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