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まだ決心がつきませんか?
と、或るマダムから問いかけられたのはしばらく前、今年3月に私が参加したロオマ巡礼団の納会においてです。私が何の決心をつけられないのかというと 養子縁組 であります。地においては偶然、天においては必然ですが、その納会の前日、マダムは初孫を授かりました。ロオマ巡礼を終え、各自が普通の生活に戻ってしばらくしての再会での挨拶でその吉報をマダムから教えられ、お祝いの言葉を私が発した途端、養子縁組の話題をマダムから出してきたことになります。
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↑ ヴァチカンはサンピエトロ大聖堂の天使たち ↑

日本國内のカトリック教会で挙式することを望む男女二人の結婚準備において、指導者が男女二人に養子縁組の話までするでしょうか?(ご存知の方、教えてください)
仏蘭西のカトリック教会では結婚準備講座において、男女それぞれが家庭を造る召命を与えられているとし、ひとつの家庭を持った二人が子供をつくり、子供を教会と学校教育の協力を得て育てることについて教えられます。そして子育てを終えた夫妻または子供に恵まれない夫妻が 世界中の不幸な子供をひとりでもいいから引き取り育てることに働くこと も家庭召命のうちのひとつであると教えられます。このようなベースがあるせいか、養子縁組と言う形を取れずとも長期休暇のたびに子供をあずかる家庭や、逆に子供が親から離れて滞在する林間学校(仏蘭西風に言うならばコロニィ・ド・ヴァカンス Colonie De Vacances)に出張する初老夫妻も見かけます。日常では町を歩けば明らかに親子関係が養子縁組である方々がゴロゴロいることも事実ですし、有名人が率先して海外の貧困環境から乳幼児を引き取り育てる見本を行い、それを世間が喜んで一般人にアピールしていることも日常です。

仏蘭西共和国内のカトリック教会や、おそらくプロテスタント教会でも世界中の恵まれない子供との養子縁組を結婚準備においてひとつの家庭を築くであろう男女に勧めており、その世界中というのは国益世界第六位の仏蘭西の後ろに続くアフリカ、アジア、南米の各国です。この勧めが教会と言う宗教組織からの一方的な勧めかと言うと、仏蘭西の場合は恵まれない子供を引き取ったところで政府から養育援助金が支給される制度が既に存在します。ですから、「ウチにはヨソの子供を育てる余裕がないの」という理由は仏蘭西では通用しません。が、政府が養子縁組について生活支援を物資金銭でしてくれるということで、この物資と金銭を目当てに養子縁組を決める共和国民が多々いることも事実です。

このような地球上のヒトが決めた国境を取っ払って、自分より恵まれない子供をひとりでも多く救済し育て上げるという使命について仏蘭西における問題点は、異教の環境から乳幼児を引き取った場合に後になってスキャンダルを先方の国や家庭から起こされる場合が多々あるという点です。最も多いのはイスラーム国から子供を引き取った場合のスキャンダルで、話がなぜか乳幼児人身売買に摩り替わっていたりもします。そして、第二次大戦前後はユダヤ系未成年者との養子縁組です。収容所に連れて行かれないようにとカトリック改宗されたことが後になって強制改宗または自分が望まない改宗だったとなったりします。いずれも裁判沙汰になっていることが多いです。また、最近私が聞いた話では、旧ソヴィエト諸国(いわゆるコメコンですな)から子供を引き取り育てはしたものの、やはり道徳面で互いに心労を感じているというもの。ただし、これは宗派の問題と言うより、それ以前の各自の性格や素、つまり相性ではないか、と私は凡女なりに察しもしました。


余談ですが、ココんちの♂♀が市民婚を挙げた時、ココんち♂の証人をお願いしたムッシュウは9人姉弟の上から二番目にあたる長男でした。彼から聞いた話ですが、彼はパリ一区の極貧環境で産まれ、誕生と同時に仏蘭西西南部の或る家庭に引き取られました。既にその家庭には夫妻の実子である女児がひとり。この養父母ご夫妻は彼を引き取った後、7人の子供を引き取り、その構成はアフリカ系、アジア系、障害児などさまざまです。現在、このご夫妻の実子である長女はカトリック修道女となり家を出、成人した養子も数名が独立し、養父母宅を離れました。夫の証人である彼の場合は初恋の女性と恋におち、子供ができ、結婚。現在は二児の父親です。


さて、世界中の不幸な子供たちを救済する考えですが、仏蘭西と日本國では意識に大きな違いがあるようにも見えます。養子縁組について仏蘭西では現在もこうして活発ですが、日本國では衰退傾向にあるかと思います。
仏蘭西にこうして住んでいると、仏蘭西が日本からも子供をもらい、日本を救済していると信じている仏蘭西が世界の中心かつ理想国と思い込んでいる田舎者の仏蘭西凡人に出くわしたりもします。実情は仏蘭西が世界第六位の国勢なのだから上位五か国から養子を迎えることは滅多にありません。その基準があるとするなら、本当ならば世界第二位の国勢である日本國内に世界第一位の米国以外の数多の国から迎え入れた養子が存在してもいいはずなのです。が、現実的には「無い」に等しいでしょう。

なぜ日本國では、第二次大戦後において国勢だけでなく国民の生活水準も向上したのに養子縁組が衰退したのか、この点、世界の平和を思うならば考えねばならない点かもしれません。

今年6月21日、ローマ教皇ベネディクト16世が いかなる難民(戦争、政治、自然災害、等)をも受け入れるのは私たちにとって義務である と私たちにおっしゃったことは記憶に新しいところです cf. http://malicieuse.exblog.jp/11330685 。このスピーチについて、教皇さまは現場で拝聴した人物のみに語りかけたのでもなければ、欧州限定でもなく、カトリックの基本であるヒトが定めた国境なんぞを取っ払い全世界の隅々まで散らばるカトリックひとりひとりに語りかけられたことは言うまでもありません。ところが、どうもカトリックさんたちの中には教皇さまのこの求めよりも自国の憲法遵守を第一に挙げ、自身の現状より不幸かつ平和でない環境にいる人々の受け入れを拒もうとしている人々がいます。これ、なにかおかしいですね。教皇さまにとっては世界中のカトリックに努力してもらうようお声をかけるにしても、もちろん数多ある国々にそれぞれの法律があることも重々わかっていますが、それでも救済に努めようではないか、と万民に声をかけているのです。教皇さまに近しい立場であれば、聖側であれ、世俗であれ、教皇さまの希望を実現するために動くのがカトリック世界です。法律を破ることはしてはなりませんが、教皇さまの希望にできるだけ近づけるように法律を変えようとする運動はカトリックとしてできるならする しかないでしょう。それが結果として実現しなかったとしても動くことが何より大切なことです。カトリックの中での枠組みで見定めるなら、仏蘭西のようなエヴァンヂェリゼ国なら兎も角、ミッション国である日本國でローマ教皇の意向が国政に生かされる方が稀でしょうが、それでも動くのが世界にちらばるカトリック魂の役割です。

6月21日の教皇さまが万民に求めたいかなる難民の受け入れですが、国籍、性別、年齢制限はありません。魂そのものの救済です。このご意向をそのまま日本國内に住むカトリックが受け入れ、仏蘭西の例をまねるなら、日本國近隣諸国のカトリック貧困家庭から乳幼児を預かり育て、その子供を一人前にして国や家族に返すという務めを「できるならする」ではないでしょうか。アジア諸国でカトリックが多い国となるとフィリピン、韓国とヴェトナムなど旧仏領が挙げられます。日本國の場合、日本國より富裕国を数えるには片方の指で足りるのに、日本國より貧しい国を数えるためには両手両足の指では足りません。その貧しい国の中に住む魂を自分のそばに向かえ、どうひとつの幸せを共に喜び合えるでしょうか。教皇さまは万民にこの考える種を蒔かれたのだと思います。今の日本国内の現状で養子縁組が難しいとしても、世界中の恵まれない人々のために何かできることはないものでしょうか。


le 12 septembre 2009, Apollinaire

今年はじめだったか教皇さまの今年の目標はアラビア半島に教区を置くことだと仏蘭西では報じられました。地球上でカトリックの教区が置かれていない土地はアラビア半島なのだそうです。もちろんバチカンとアラビア半島各国との外交レベルの協議で実現することでしょうけれども、今年も9月半ばに入り、残り3か月ほどで実現するのでしょうか。気になるところです。私たちが必ずしも知らない、救いの手を差し伸べる先がまだまだ地球上にあるということです。
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by ma_cocotte | 2009-09-12 18:33 | 『?』なたわ言 | Comments(9)
Commented by Lucia at 2009-09-14 08:58 x
フランスでの養子縁組と言うのは、あくまで結婚した男女だけに許された法律なのでしょうか?結婚しても、一方が不幸にも亡くなったり、行方知れずになったりした場合、一人のなった人も養子縁組できるのでしょうか?
独り者の私は、養子縁組は出来ないので(多分多くの日本の方たちもそうしているように)、諸事情で学校にも通えないような子供たちの経済支援をしています。
その場合、カトリック信徒だと支援を受けるチャンスはより多いようですが、他の宗教では、貧困は先祖や本人の責任と考えることが多いと聞いて、私は先輩が長らく活動を続けているタイの仏教徒の子供たちの支援を始めました。小学校低学年だった一人は、今年で大学卒業できるはずです。今では、タイの小神学校の生徒の支援もしています。
こうした経済支援は、養子縁組でないから、彼らは自国で生活し、自立すれば彼らの社会で貢献していけるので、こうした運動も大切ではないでしょうか?
Commented by ma_cocotte at 2009-09-14 15:46
◎ Lucia さま、

仏蘭西の養子縁組は婚姻した男女に「のみ」と限定されていないと
拝察しています。
カトリックの道徳を抜きにするならば、パックスという婚姻宣誓をしない
市民婚の形もあります(確か同性の共同生活にも有効だったかも・・・)。

逆に、カトリックの中を見るならば、男女とも世俗奉献という制度があります。
世俗で普通に生きながら、奉献し、独身を貫きます。この形、教区に奉献
する形のようです。日本のカトリックには許されていない制度でしょうか。

私は上のエントリーで私ども夫婦に養子縁組を勧められたことを書きましたが、
世界中の個人ができることを「する」が各自の基本だと上の文章に含めた
つもりです。ですから、仏蘭西でも子育てを終えたご夫妻が、子供が
集う施設に自ら動かれ、滞在して、援助してもいます。

  >他の宗教では、貧困は先祖や本人の責任と考えることが多い

この点ですよね。
カトリックが教皇さまを先頭に打ち壊そうとしていることは。
ただし、電脳域散策をしますと日本国内のカトリックには固有の考えがある?
ように見えますが。
Commented by Lucia at 2009-09-17 08:49 x
ma_cocotte様のを初めとするいくつかのブログは読ませて頂いていますが、視力の低下もあるので、私は電脳散策はしていません。
それをすることで、自分の信仰が強められるのなら良いのですが、そうでなければ、文責がはっきりした良い読み物を選ぶ方が、私のような人間には適切だと思えるからです。
日本のカトリックの方たちが、教皇様のお考えから離れてしまわないことを祈っています。
Commented by ma_cocotte at 2009-09-17 13:53
◎ Lucia さま、

    >他の宗教では、貧困は先祖や本人の責任と考えることが多い

日本國内のカトリックにおいて、この点 ↑ の意識を変えることが大切だと
個人的には考えています。私自身、子供の頃から仏壇と位牌のある家庭
に育ち、カトリック系学校ではあったものの普通に幽霊の本などまわし
読みしていましたし、校内には軍人の幽霊が出るポイントもいくつか
ありました。日本には太古からの土着文化があり、そこには因果応報やら
輪廻転生、神道の「次、清」など、こちらがその中身を知ったところで
「ああ、あのこと」と関連付けられるほど生活に浸透した思考もあるので、
この点についての光のスポットの当て方を変えるだけで、カト的な解放に
つながるのかなあ?と。
ですが、貧困は本人の責任である部分もあると私は思います。が、
貧困は悪だから富裕な環境から切り捨てる、消す、寄らない・・・と思考が
そういう方面に向かう個の心理なり、社会の心理が恐ろしいと思います。
Commented by 養親 at 2009-09-17 17:25 x
初めまして。宗教とは全く関係なく、フランスにおいて養子縁組をしている日本人です。この記事を読み、大きな勘違いをされているようにお見受けしましたので、書き込みさせて頂きます。

フランスでの養子縁組と里親制度を混同されてらっしゃいませんか?
里親制度は、一定期間他人の子を自宅に引き取り、寝食を与えると共に教育をするという事に、給料が出ていると私は考えております。
それに対し養子縁組は、補助金が1回出ますが、その金額は実際にかかった縁組費用の何割にも満たないということをご存知でしょうか?その何割にも満たない補助金を目当てに養子縁組をする人が存在するのであれば、そのもくろみは大損です。貴方様のおっしゃるところの‘大多数いるのは事実’というのは、どの数字を根拠に仰るのでしょうか?万が一いたとしても、それは万が一であり大多数でないことは確かです。

下へ続く
Commented by 養親 at 2009-09-17 17:26 x
又月々の養育援助費は、養子だからといって多くなる訳ではなく、実子と同じです。その援助費だけで一人の子供を育てることが出来ると思われますか?他人様の子供をひきとり、育てていけるある程度の余裕がなければ養親の資格は出ません。この養親資格もお役所関係・それ関係の厳しい審査を受けた上で資格を得、その後は長い間縁組を待つのです。そして念願の縁組をした後も、訪問・面談と成年になるまで続くのです。
この記事は、いくら個人の雑記帳とは言えネット上のことで他人の目に触れるのです。あまりにも事実とはかけ離れた物事を、ご自身よく理解されていない物事を‘フランスでは’と言い切ってしまうのは、あまりにも大きな間違いではないでしょうか?貴方様にそのつもりがなかったとしても、こちら養親に対する大きな侮辱として取れました。
貴方様のような、養子に対する偏見を持つ人々がこのフランスから一人でも減ってもらえればと、養親を代表する気持ちでこれを書かせて頂きました。では失礼致しました。
Commented by ma_cocotte at 2009-09-17 20:31
◎ 養親さま、はじめまして。
いろいろご指摘ありがとうございました。そして、拙文でお心痛めましたこと、
申し訳ありません。
月々の未成年者の【養育援助金】が実子にも支給されることはこれまで
拙ブログで何度か触れてきた事項です。
養親さんからのコメントを拝読し思ったことを以下に書きます。
まず、養親さまがこう書かれたこと

  >里親制度は、一定期間他人の子を自宅に引き取り、寝食を与えると
  >共に教育をするという事に、給料が出ていると私は考えております。

だとするなら、他人の子を引き取った成人に政府から報酬が出ており、
そのお金は預かった子供のためではないと私には読めます。
次に、養親さんが教えてくださった
  ①養子縁組は、補助金が1回出ます
  ②月々の養育援助費は、養子だからといって多くなる訳ではなく、
    実子と同じ
つまり初年度のみ養子縁組の補助金が出、翌年から成人まで政府から
全ての国内在住未成年に平等に養育援助金が支給されるのですから、
私が書いた「物資と金銭を目当てに養子縁組を決める共和国民」は
数多いることになります。

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2009-09-17 20:39
◎ 養親さま、
共和国内に限らず世界中の不幸な子供を引き取る希望を持ち、自治体に
申請したところで収入面などで不適格と却下されたら、そこまで努力した
善意を誰が批難するのでしょうか?

養親さんの方か私宛に養子縁組費用が政府からの養子縁組
【補助】金について「損得」勘定しているかのごとく

      「その「もくろみ」は大損」

と書かれたりしたら、養親さんがおっしゃる

 >貴方様のおっしゃるところの‘大多数いるのは事実’というのは、
 >どの数字を根拠に仰るのでしょうか?万が一いたとしても、
 >それは万が一であり大多数でないことは確かです。

は「大多数いる」証明になってしまいませんか?

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2009-09-17 20:52
◎ 養親さま、
世界中のひとりでも多くの不幸な子供に普通の日常を経験する手伝いを
するために私たちが金銭的に損したっていいではありませんか。
里親制度を選択するか、養子縁組を選択するかは、各家庭の判断です。
損得ではありません。

 >この養親資格もお役所関係・それ関係の厳しい審査を受けた上で
 >資格を得、その後は長い間縁組を待つのです。そして念願の縁組を
 >した後も、訪問・面談と成年になるまで続くのです。

存じております。未成年者が成人になるまで親が適格かどうかチェック
する訪問、面談だけでなく、裁判所判事の呼び出しもあります。
良い制度です。
逆に、共和国では金銭的に恵まれた家庭の子女でも、その親に未成年者
養育に問題があれば裁判所が介入して、子供を親から離して預かる
施設もあります。
養親さんがここに書かれた話題の方が共和国と国民の精神を読者が
誤解するように思えます。
養親さんご夫妻が仏政府に未来の共和国の力となる一魂の養育を
認められた適格者なのですから、金銭的に大きく損であろうが、手に入る
金銭にこだわらない、良心ある共和国民を育ててください。
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