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海地の首都は太子港である。 Port-au-Prince, la capitale d'Haïti
久しぶりに音声学のお話。ワクワク。

先程、興味深いブログ記事を二つ、拝読しました。
ひとつは福島祥行先生のブログ 黒猫亭 から2010年1月17日付のエントリー、
Il y a 15 ans, à Kobe… 
http://chat--noir.com/j/?p=782
もうひとつは竹下節子先生のブログ L'art de croire から2010年1月20日付のエントリー
Port-au-Prince
http://spinou.exblog.jp/13535424/
です。いずれも先の1月12日にカリブ海に浮かぶ国のひとつ Haïti の首都 Port au Prince で起こった震災がきっかけとなった話題と申しましょうか。福島先生は Haïti 、竹下先生は Port au Prince の発音と日本語表記について書かれています。私にとっては偶然ではありますが、お二方のブログエントリーが同日のRSSで紹介されたこと、でお・ぐら~しあすです。素人ながら音声学大好きの私には楽し、嬉しのお題です。

拙ブログではこれまで日本國の報道に倣い、HaïtiハイチPort au Princeポルトプランス と英語の発音に近いであろう音をカタカナで表わしておりましたが、福島先生はHaïtiハイチ をカタカナで アイティ と表わし、竹下先生はPort au Princeポール・オ・プランス とカタカナで表わしていらっしゃいます。夕食時にココんちの仏蘭西びと♂で試してみました。「う・え・ら・かぴたる・だいち? Où est la capital d'Haïti? ハイチの首都はどこだっけ?」と。すると「ポォ・オ・プランス」と言う返答。ただし、このカタカナの表記「ポォ・オ・プランス」は彼の発音にもっとも近い表わし方であっても正しくはありません。これが日本語表記の限界。千代の富士。Port の ポ から P を引いた オ の音と、直後の au の ・オ・ の音は明らかに違います。が、竹下先生がおっしゃる Port の ル の音をココんちの仏蘭西びと♂は発声しませんでした。rt をのどで鳴らすのみです。ふむぅ・・・これは南仏発音であらうか?

余談ですが、発音というか訛りで面白い症例が私の身近にあります。それはココんちの仏蘭西びと♂には一歳年上の姉がおります。彼は7歳、姉は8歳まで花の都はお巴里の西ナンテール Nanterre で育ち、その後、仏蘭西中西部に半年滞在後、南仏のイストル Istres という空軍基地のある町に成人までおりました。ところが、です。一歳上の姉はパリ特有の訛り、単語尾の r の音を強く残すクセを携えたままの現在であり、ココんちの仏蘭西びと♂にはパリ訛りが残っていません。たかが一歳の違いなのに、大きな違いが両者にあります。大昔、チョムスキだったかハリデだったか忘れましたが、どちらかが「言語習得は九歳まで」と唱えていませんでしたっけ?

さて、愛知、いえ、ハイチ、いえ、アイチ、いえ、アイティ。私の耳が悪いせいだと思いますが、テレビやラジオから聞こえてくる音は微妙に H が生きているように思います。チの音は私の耳には チ と聞こえてしまうけれども、もし私が発声する時は ティ を意識した方が確実に仏蘭西びとには通じます。これは Je (=私)をどうしても ジュ と発音してしまう私が シュ と意識して発音すると仏蘭西びとに通じることや、Tu (=あなた)を チュ と発音すると多くの仏蘭西びとは Je と勘違いすることが多く、 テュ と私が意識して発声すると通じることが多いことなどと通じる日本人の発声問題点なのかもしれませんが・・・私だけのハンディキャップ、いや、アンディキャプか。はっはっは。Haïti が私には ハイティ と聞こえるのは有音のアッシュ h aspiré だから?なーんてつぶやいたところで、ミーはハッタリかまし屋だっぺ。

竹下先生がPort au Princeポール・オ・プランス とカタカナで表現されたのは竹下先生がパリ旧市内にお住まいだからかもしれません。・・・・って、これも r と rt ではビミョーに違うかもすれません。

私のキーボードとこんぴーたにはまだ音声記号文字をダウンロードしていないので、上のぼやきつぶやきも消化不良状態で申し訳なく、だったらつぶやくな!なのですけれど、インターネットで調べてみたところ、
Port au Prince 英語 /ˌpɔrtoʊˈprɪns/  仏語 [pɔʁopʁɛ̃s]
Haïti  英語 /ˈheɪtiː/ 仏語 [a.iti]
という音声記号を見つけました。ぐゎ、この音声記号は英仏共、私が日頃使っている音声記号とは違います。我が手元のお手軽仏仏辞書ミクロ・ル・ロベエr LE ROBERT MICRO で port を引くと私に馴染みある音声記号で書かれてはいるのですが。母音5音+ン音便の日本語では母音16音に鼻濁音も喉音もある仏蘭西語をカナかなで表現するのは難しいですな。その表現の難しさがとんでもなく面白いけど。音声学、万歳。

ちなみに、タイトルの 海地 と 太子港 は中国語表記ですワイ。
日本語はフランスを仏蘭西と書くけれど、台湾では確か法國でした。ホランス?
私の場合、France は フォンス と発声すると仏蘭西びとに通じます。Paris は パヒ。

le 21 janvier 2010, Agnès


とぅいっらー twitter の使い方がわからないっぺ。(-。-) ボソッ
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by ma_cocotte | 2010-01-21 04:01 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(4)
Commented by 黒猫亭主人 at 2010-01-21 23:06 x
なんせ、クレオールぢゃ Repiblik d Ayiti 仏語ぢゃ République d'Haïti ですからね。エリズィヨンしてるし。まあ、h muet だか aspiré だかゆれうごく Henri みたいなケースもありますが――基本的に「外来語」はアスピレで、さうなると母音字省略せず de Henri てな風なんですがね、このゲルマン語由来の名前は、「既に仏語」意識が高い人にとっちゃミュエになるやうでして、d'Henri てふ人も少なからず――、国名がかうなら、やっぱ「アイティ」でせうな。

そして、Port-au-Prince も、仏語ぢゃ「ポールォ・プランス」、クレオールだと「ポート・プラェンス」でせうね。「ポルト・オー・プランス」てえのは、「ハイチ」同様、英語との「ピジン」ですな。

ちなみに、ttp://www.kaigai-senkyo.jp/letter/55/55_2.html では、現地風に「ポートプレンス」とお書きですわい。
Commented by ma_cocotte at 2010-01-22 00:52
+ 黒猫亭のご主人さま、
外来語の H はアスピレが基本なのですね。___φ( ̄^ ̄ ) 感謝です。
話それますが、今週はやたら Henri IV の名がラジオやテレビに登場
します。ちなみにこんにちはルイ十六世のご命日(最敬礼)。
ココんちの仏びと♂に何回も Port au Prince を発声してもらいましたが、
やはり or の r はのどを軽くならす程度の音なので日本語のカタカナ
では正確に表わせないですね。私個人は ル という子音+母音の
カタカナを選びたくありません。あくまで r です。私の耳が悪いせいか
p と b の音も口で表現するとどうしても子音+母音の プ ブ に
なってしまいます。唇だけで発する音というのも難しいですね。
マスターしたらおそらく筋肉が変わって人相まで変わりそうですけれど。

それにしても、先生。海外宣教会の報告まで見つけられましたか!(爆笑
Prince を プ「れ」ンス と発音するのも妙ですが、どこかの国語だと
i を エ と読むのでしょうか????
Commented by 黒猫亭主人 at 2010-01-22 06:32 x
ラジオやテレビの Henri IV は élision はどないなっとりますやろ??

語末・語中の [R] は弱化しよりますな。学生たちも、「耳コピー」させると、Bonjour が [ボンジュー] になりま。さういや、pourquoi pas を pkwapa と「聞こえるとほり」に書いたりしませんかね、仏人のお子さんがたも?

そして、in [ε~] (←苦しい発音記号)は [ε] が [a] に近くなった鼻母音ですよって、そもそも [エ] よりなんですが、南の方ぢゃさらに開口度小で [エン] ぽくなれしまへんでしたかいな? ケベック仏語でも du vin が [ヂュ・ヴェン] てな感じですし。

そして、Port-au-Prince は、アイティ・クレオールぢゃ Pòtoprens てふつづりどほりに発音されてるハズなんで、[ポートプレンス] 。それでググッたら、あのページがヒットしよったわけでさ。

Commented by ma_cocotte at 2010-01-22 07:13
+ 黒猫亭のご主人さま、

Bonjour ですが、パリヂアンは「ボンヂューッハ」と聞こえるくらい強い
r を出しませんか?芸能人でも本物のパリヂアンの訛りは凄いものが
あります。
Pourquoi は私の耳だと p と k の間でかすかにのどをゆらす音が
聞こえます。prk という三子音の連続とでも言いませうか。
子音の連続で思い出しましたが、仏蘭西のBDに Les Schtroumpfs
という本がありますよね。大昔、音声学の博士課程にいた仏人にこの
発音は仏蘭西びとでもできんと教えられました。

in ですが、そーいやマルセイユのアクサンだと cinq をセインクと発音
します。bien をなぜか ビエンg と最後に g 音を出すヒトもいますね。
ココんちの仏びと♂の母。彼女はOrange あたりの生まれです。
ケベックの発音は「強い」という表現をしますが、du を ヂュ と出すなら
確かに強く聞こえますね。
ハイチですが、今回の件で現地の方の発音を聞いているとどこか
セネガルの訛りと似ていると思いました。近いけれどマルティニックと
ハイチではまったく違いますね。興味深いです。
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