<< 消えつつあるもの。 仏蘭西びとも頭(こうべ)を垂れます。 >>
どこがナチスなんだろう?ひどいレッテルを貼ってくれたものだな、しかし。
いつもの年ならお盆の時期は電脳内の日本語環境は静かなものですが、どうも今年は騒がしいというか、こちらの気に障るネタが漏れ続けているようです。日本國においては65回目の終戦の日、仏蘭西においては被昇天の聖母のお祭り日の翌日にこのような記事を見てしまいました。(毎度のごとく、拙者が気になる点は太字)

フランス:移民政策に強い批判 国連委「ナチスまがいだ」
2010年8月16日 11時10分 更新:8月16日 13時9分

【パリ福原直樹】国内を放浪するロマ族や「非定住者」の違法キャンプの撤去や、移民出身の犯罪者に対する「国籍はく奪」などの政策を打ち出したフランスのサルコジ政権に対し、国内外から「外国人や移民の排斥だ」との強い批判が出ている。国連の差別撤廃委員会では「ナチスまがいの政策」との異例の強い意見が出た。15日には、ロマ族などが高速道路を車両で一時封鎖しサルコジ政権に抗議した。▼仏では7月、アラブ系の移民や、国内を放浪する「非定住者」が、警官に発砲したり商店を略奪する暴動が起きた。これに対しサルコジ大統領は(1)違法キャンプ撤去(2)移民出身者が警官を殺害した場合の国籍はく奪--などの方針を表明。仏政府幹部はイスラム教に基づく「一夫多妻主義」を実践する移民の国籍はく奪も示唆した。▼だが、仏の状況を審議する国連差別撤廃委では先週、多くの委員が「人種や出身による差別の強化だ」と批判。「仏政府幹部には差別撤廃の意欲がない」「国是の平等・博愛の精神を取り戻すべきだ」との意見も出た。同委は27日にも仏に関する報告書を出すが、厳しい内容になるのは必至だ。▼これに加え仏では「国籍はく奪はテロや内乱罪で適用される重罪で、そぐわない。移民出身者だけを差別するのも違法だ」(パリ大学教授)などの批判が噴出。野党第1党の社会党は「移民排斥を訴え、極右票を取り込もうとする政治的宣伝だ」とも指摘した。▼これらに対し、仏政府は「治安安定こそ人権の基本だ」(ルルーシュ欧州問題担当相=閣外相)として譲らず、ロマ族のキャンプ撤去を続けている。国連の批判には、大統領の支持政党の国民運動連合(UMP)幹部が「差別撤廃委の委員らの多くは(アフリカなど)人権を尊重しない国の出身だ」と挑発的な態度を示した。▼一方、報道によると、15日朝、ボルドー(西部)付近の違法キャンプを追放されたロマ族など約250台のキャンピングカーなどが、高速道路の橋の上で約9時間、封鎖を実行。警察が催涙ガスの使用などを警告したため、封鎖は解除された。▼支援団体によると、当局が満足なキャンプ地を提供しないことなどへの抗議で、付近の高速は大渋滞した。



以上、毎日.jp に掲載された記事ですが、同じ毎日.jpに掲載された以下の記事が上の記事の内容の副読記事として良いように思います。

フランス:サルコジ政権が「ロマ」規制強化 人権団体反発
2010年7月30日 21時35分

【パリ福原直樹】フランスのサルコジ政権が、国内を放浪する民族ロマや「非定住者」への圧力を強めている。一部の非定住者が今月、暴動を起こしたのがきっかけで、仏政府は28日、ロマらの違法キャンプを撤去するなどの方針を決めた。だが長い間、差別されてきた人々への強権発動は、国際社会や人権団体から大きな反発を招いている。▼仏中部の町で18日、非定住者50人が、警察署や商店を襲撃したり、駐車車両を燃やす暴動が発生した。その数日前、近くを車で通行中の非定住者の男性(22)が警察の検問を無視して逃走、警官に射殺されており、暴動はこれに対する報復とみられている。▼サルコジ大統領は28日、緊急の閣僚会議を招集し、▽ロマを中心とした300カ所の違法キャンプの撤去▽国外から来たロマが罪を犯した場合、即時の強制送還▽非定住者の納税状況の調査--などの方針を決めた。▼大統領府は、ロマをより簡易に国外追放できる法案を年内にも提出する方針も示している。▼仏は暴動後に開かれた欧州連合(EU)外相会議で、「ロマ問題の解決でEUは協力すべきだ」と主張した。だが60万人と多くのロマを抱えるルーマニアは、「ロマを犯罪集団として扱うべきではない」と反発欧州の人権組織「欧州会議」(47カ国)の幹部も、「仏は非定住者と市民を平等に扱うべきだ」と指摘している。▼一方、仏の人権団体「人権連盟」のサロンクール副会長は毎日新聞に「今回の仏の措置は、暴動を口実にした非定住者やロマの摘発で、差別だ」と批判している。▼フランスの非定住者は一般的には、キャンピングカーで国内各地を移り住む元遊牧民など約40万人を指し、国外から来たロマ2万人とは区別される。今回、暴動を起こしたのは非定住者で、仏の人権団体は、政府の対応を「非定住者とロマを混同している」とも批判している。

◇ことば・ロマ
インドが起源とされる流浪の民族で、欧州には推定で1000万人以上が在住。ルーマニアなど中・東欧を中心に定住する一方、移動を続ける人もいる。欧州で非定住者やロマらはジプシーなどと呼ばれ差別されてきた。





なんか、なんだかなー な記事であります。

正直、十年近く仏蘭西の市井に寄留し、ロマ含め共和国内でヂャン・デュ・ヴォワヤーヂュ gens du voyage(=直訳すると「旅する人々」、ジプシーが差別語ということで使用されるようになった彼らを指す造語) らの行状と、彼らについての定住政策と実際定住策に従って生き始めたヂャン・デュ・ヴォワヤーヂュの内情を垣間見てきた私としては上の記事に出てくる国連や人権団体の主張は「ご尤も、綺麗事、建前、理想論」にしか読めず、国連や人権団体でピチピチ働く方々は本当に仏蘭西共和国内の近年の対ヂャン・デュ・ヴォワヤーヂュ Gens du voyage の諸策についてよくよくご存知の上で意見を述べられているのか疑わしく思います。

私はサルコぢの御世を好ましく思っていませんが、今回ばかりはサルコぢ政権に同情申し上げます。何をもって「ナチスまがいの政策」なのだろう?差別だか弱者だか、差別されている弱者の集まりだか知らないけれど、その枠組みに含まれる人間ならば殺人やら放火やら盗みなどどんな犯罪を犯し続けても世間から差別されていることを理由に無罪放免になるのでしょうか?
事の発端はサルコぢがヂャン・デュ・ヴォワヤーヂュの代表数名をエリゼ宮の午餐に招いた時から決裂は始まっていたと思います。午餐後、サルコぢは会見ではっきりとメルセデス(=ベンツ)を乗り回す彼らを救済することに疑問を持ち始めていると言いました。そうなんですよ、なぜか彼らのほとんどが最新の美しいメルセデスベンツに乗っています。支援者が用意した邸宅に仲間内で入れ替わり立ち代わり数か月住んでおり、邸宅の庭には高級キャンピングカーが数台停車。邸宅にはパラボラアンテナ、居間には大画面テレビ。登校しない子供は日がな一日大画面テレビで衛星放送を楽しんでいます。子供の数は10人を越え、彼らが兄弟姉妹、従兄弟姉妹、それとも同朋とは言え「赤の他人」かさえわかりません。一方、上の記事に登場する非定住者キャンプも記事だけを読めば知らないヒトはスラムを想像するかもしれませんが、現実は水道も電気も引ける場所に豪華キャンピングカーを停泊、日よけを張り、市井の人間には優雅にさえ見える生活を彼らはしています。

以下、15日ボルドーであった「旅する人々」による橋梁封鎖の抗議行動ですが、キャンピングカーやキャラバンを引く乗用車などご覧ください。



定住政策に応じた彼らには家族数に合わせて公団の一室が与えられ、生活保障も他の仏蘭西人、移民や難民と同じ条件であり、もし最低収入条件にあてはまるのならば医療費無料にもなります。非定住の方は具合が悪くなると、街中で盗んだ財布から保険証カードを抜き出して、緊急を装って医院に飛び込んだりします。医院や歯科医院で臭い芝居を怪しんだ受付と彼らの口論を見たことがあるのは私だけではないと思います。

定住しない仏蘭西国籍を持ちながら大陸を自由に行き交う彼らをどう定住している仏蘭西国籍者とまったく平らに等しく扱うのか、そのようなマジックができるものなのでしょうか?彼らが乗り回す高級車も彼らが共和国外で盗んで共和国内に持ち込み、共和国内で勝手に他人の車から取り外したナンバーをくっつけて乗っているし、その逆も彼らの中で行われています。共和国内で彼らが盗んだ金品を大陸の別の国の古美術屋で発見されることも多々。彼らの悪行について背後に大陸各国のマフィアが絡んでいることも指摘され、金銭で援助しても金がマフィアに流れてしまっている可能性もあるとのこと。いろいろ理由をつけて未成年者を学校にも通わせないことで、彼らのキャンプ先に教師や社会福祉関係者を派遣、カトリックやプロテスタント教会でも司祭や牧師、世俗ボランティアを派遣したところで、夜逃げのごとく或る日突然予告無しに跡形もなく消えるのも常です。
この夜逃げのように消えるクセも定住に応じた彼ら同朋にもよくあることですし、同じ団地に住むことになった他の移民や難民と揉め事が起こるのも常で、彼らの居留区内で殺人や放火、暴動に発展したことも過去にあります。

太平洋に浮かぶ島国の、しかもほぼ単一民族がその国土内で生きている日本という国ではユーラシア大陸で国境を自由に越えて旅を続ける彼らの現実を想像することも限界があるかもしれません。が、こういう現実を見聞しているならば、上の記事の内容においてルルーシュ欧州問題担当相が「治安安定こそ人権の基本だ」とおっしゃったことにはうなづけても、他の国連や人権団体の意見にはうなづくことが難しいのです。国を横切る、縦切るだけの通過民だとしても仏蘭西国籍を持っているなら仏蘭西滞在中は仏蘭西の法律と道徳に倣うのが成人ではないのでしょうか。常識ある成人ならどこの国籍であろうと仏蘭西国籍を持っていなくとも仏蘭西に滞在するなら寄留国・仏蘭西の法に遵法しますよねぇ。

以下は或る日突然夜が明けたら80台のキャンピングカーが許可も取らずに違法に土地を占拠。退去の交渉を役所がしたところでそう簡単には動かない(本当は夜逃げするくらいだから動ける)Gens du voyage の生活の様子を紹介したビデオです。



かわいそうですか?

私が傍観している限り、仏蘭西政府はよくやっていると思います。日本國政府では「しない」でしょう。衣食住で不自由ないほどの定住策を打ち出しても彼らが満足できないまま、盗みなどニュウスにもならない犯罪を子供も大人も協力して続け、止めません。

ぱっと見たら彼らの方が贅沢で派手な生活をしているにも関わらず、国連やら他国から「仏蘭西は差別されている彼らにもっと恩恵を」と願われたところで今以上に仏蘭西は彼らに何を与えたら良いのでしょう?盗みもせずに、スーパーどころかディスカウントストアで買い物をする欧州人はいくらでもおり、そういうディスカウントストアでもスリを楽しんでいるのが彼らです。

なんだかなー。


le 16 août 2010, Etienne
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by ma_cocotte | 2010-08-16 21:50 | actualite 現時点の現場から | Comments(4)
Commented by al_lamia at 2010-08-17 17:57
イタリアでの同じでは?
もっとも最近の情報は知りませんが・・・
優しい「ルーマニア」にお戻りになった方がよろしいでしょうね
Commented by 紅の子豚 at 2010-08-17 22:20 x
はじめまして。
猫ちゃんブログと合わせて 愛読させてもらっています。

なんというか、このような方々は人種・国籍の別なく、どの地域にもいるものなのですね。 ものすごく似たメンタリティーの方々が日本にもいらっしゃいますもの。

私としては 性善説を信じたいと思っていますが、
人間は 一度でも 人にたかることを覚え、それに対する恥の気持ちを忘れてしまうと、際限なく転がり落ちていけるものなんだなぁ~と痛感する今日この頃です。

「子供手当て」「高校の無料化」 この二つも 制度自体は良いことだと思いますが、『どうしてこの人々にまで????』とむやみやたらと対象を広げるのはなぜなのでしょう。
本当に なんだかなぁ~  です。
Commented by ma_cocotte at 2010-08-17 22:52
+ al_lamiaさま、

いや、ルーマニアは引き取るどころか、EUに頼り切っていると
思われます。
彼ら「旅する人々」は国境を越えて遊牧しているのでもちろん
イタリアにも立ち寄っています。
不法な場所を真夜中に陣取ってインスタントな町を作り、
市町村側が立ち退きを求めても「そう簡単には動けない」と
反論するのに、ある夜突然すっからかんに彼らは跡形もなく
消えるのです。つまり彼らはすぐに立ち退けるのですよ。

困ったもんです
Commented by ma_cocotte at 2010-08-17 22:58
+ 虹の子豚さま、はじめまして。

おっしゃるとおりです。
こちらでも官民一体となって彼らの言い分を第一に善と取り、
彼らが満足するように各自ができることで動いての今があります。
だから、後になって泣いているのは善意で動いている方々で、
今回のサルコぢ政権など傍観している私からすると善行に
疲れ果ててしまってのこの結論のように見えてしまいます。

記事だけ読むと悲惨な状況を想像してしまいがちですが、衛生
にしても彼らは恵まれた環境にあり、世界の貧困の環境とは
似ても似つきません。
サルコぢがメルセデスを乗り回している彼らより他に救済の先が
あるのではないかとつぶやいたこと、私も頷いてしまいます。

日本の子供手当や高校の無償化などは家庭の総収入から割り出した
月謝にした方が「平等」のように思います。役所側の仕事が
増えるけれど(笑
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