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仏蘭西は「ヴァチカンの長女」か「末っ子」か、いや、楽園外の地を這う某か?
2010年8月23日月曜日。
こうして新しい週を迎え、先日16日にこの場でお話した 仏蘭西政府によるロマはじめ遊牧民政策の新しい見解 について、その後は糸を引き引き巻き巻き、いくら巻いても糸玉が大きくなるばかりと共和国内の誰もが予想し始めたようです。

というのも、先週後半になり連日、共和国内に不法滞在のロマの人々が母国だか祖国だかルーマニアに送還されており、22日午前に仏蘭西は北部リル Lilles 教区内の71歳になります修道司祭アルテュウル・エルヴェ Arthur Hervet 師がご自身の政府からの叙勲の栄誉(l'Ordre national du Mérite 勲章)を返還し、共和国内のロマ族擁護と援助の続行を表明しました。
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この方がロマ族擁護のため勲章を共和国に返還されたアルテュウル神父様 FACELLY/SIPA


この数時間後、正午過ぎ、イタリアはローマ教皇の別邸があるカステルガンドルフォにおいて恒例のアンヂェルス Angélus (聖母への祈りの時間)でのお話で、その場に仏蘭西からの巡礼団もいたことから仏蘭西語でここ数日の共和国内におけるロマ族の諸問題について神聖賢愚帝サルコぢ一世の方針とは反対に、何語を話そうが、どこの出自であろうが国境無き博愛精神で弱者救済に努めるように、とのお言葉を下さったのです。お言葉後、しぃいいいん。(ですが、ビデオを拝見しますとB16はすこぶる上機嫌のご様子)

あまりにタイムリィつうか、教皇さまの援護射撃で主日だというのに午後からお仏蘭西は大騒ぎとなりました。しかも、アルテュウル神父さまが勲章を返還する際に神聖賢愚帝サルコぢ一世が「心臓発作でお倒れあそばしませ」とまでマイクに向かっておっしゃってしまったこともニュウスに。ほらね、以下、証拠ビデオ。



上のビデオの後半に登場するエクス・アルル Aix- Arles 教区の大司教さまも政府見解には賛成できないとはっきりとした意見を公表されています。私の南仏時代はまさにエクス・アルル教区内におりまして、私個人はエクス・アルル教区のルルド巡礼団に加えていただいた恩恵もございますが、事実、エクス・アルル教区内の草原の多くにロマやツィガアヌなど遊牧民が寝泊りしており、彼らの生活救済のためにエクス・アルル教区の聖俗が一丸となって働いていることも私はよく存じております。

数時間後にアルテュウル神父さまは「サルコぢなんか心臓発作で倒れちゃえばいいンだ」発言を後悔 しているとだけ表明されてはおりますが、マスコミ側は時間が経てば経つほど「仏蘭西vsヴァチカン」を大きく扱い、なんと「La guerre 戦争」という語まで見出しに踊るほどになりました。サルコぢにしてみればこの土日のカトリック教゛会からの挑発行動にぶったまげ「敵は本能寺にあり」ではなく「敵はヴァチカンにあり」で怒髪天を突いたのか、月曜朝にはサルコぢの臣下であるブリス・オルトゥフ Brice Hortefeux 内務大臣が仏蘭西カトリック司教団団長であるパリ大司教のアンドレ・ヴァントワ André Vingt-Trois 枢機卿に出頭要請。遅くても来週中には仏蘭西カトリックの最長上と共和国内務大臣の会談が行われるとの事で、なんと月曜午後にはヴァントワ枢機卿側は「既に準備万端」と返答されたそうです。

うむぅうう、正義はどちらの上に?

仏蘭西カトリック司教団の背後にはこのお方 ↓ が最高総司令官でございますからして
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世の常をお調べ中の教皇様  © SIPA


兎にも角にも、この週末の二日間で仏蘭西カトリック司祭と教皇さまが仏蘭西政府の遊牧民政策とは反対の立場を表明、世俗にも勧めるまで、仏蘭西共和国の中道よりヒダリ側はサルコぢの今回の対遊牧民政策は2012年の次期大統領選に向け、極右票を割るための作戦だと批判しており、彼らは中道よりヒダリであればあるほどアンチ・カトリックで、離婚、中絶、同性愛何でもオッケーあるねの立場でうれしそうにカトリック司祭や修道者、信者を叩きのめす日常なのに、この週末で「へ?カトリックっておいらの見方なの?」となり、一方、中道より右派はこの週末を境にヴァチカンやカトリックに対し「だったら、お前らがサン・ピエトロ広場にロマ族を集めて養えよ!」と激怒の状態に入っているという世俗はオロオロの状態なのです。良心に従うと 柳に風 の実例がこうして明らかになり始めている今日この頃なのでした。

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ミギもヒダリも、いらっしゃ~い —S.RELLANDINI / REUTERS


ワタクシは仏蘭西のカトリック教会はロマ族を共和国内に受け入れるとおっしゃるのなら、生活指導の中に遵法指導を含めていただきたいですね。長年、彼らの共和国内における違法行為が今回の政策方針転換の根幹問題なのですから。


続くぅ。

le 23 août 2010, Rose de Lyma
23日にヴァントワ 23 Vingt-Trois 枢機卿がお呼び出しされたのね。
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by ma_cocotte | 2010-08-23 17:35 | 『?』なKTOりっくん | Comments(4)
Commented by al_lamia at 2010-08-24 16:47
あの〜〜〜門外漢は、非常に興味深く読ませて頂きました
そして・・・ やはり 今回「のみは」サルコジ帝を支持
それにしても、カトリックの方には申し訳ないのですが
今の法王さまってねぇ〜〜〜、前のヨハネ・パウロ様が見事だったので
今回の件もヨハネ・パウロ二世様も、サルコジ帝には反対でしょうが
でも、なんらかの対策なんぞの案をだされたかも
ヴァチカンって、近世ではナチス時代の事もあり
まぁ、そのときの法王様の態度で色々なんではありませんか?
只、反対ではなく、対策とか代案なんぞを出されてでしょうね
何となく、今の日本民主党の野党時代とか、現自民(今は野党)なんぞと、似たような次元と考えるのは、大変失礼なんでしょうね
Commented by ma_cocotte at 2010-08-24 17:35
+ al_lamia さま、
私個人はJPIIより現教皇さまをお慕い申し上げているのです。
仏蘭西国内の旧遊牧民社会に対して、フランスのカトリックは
彼らの生活援助のために既に動いているのです。

上手に言えませんが、フランス政府も、カトリックはじめとする
慈善団体も彼らに尽くしているけれど、彼らが満足せず、更なる
要求と不法行為を続けているのです。
つまり、現段階で政府は限界を感じ、カトリック側はまだ
絶望に至っていないという見方にすればわかりやすいでしょうか?
ですが、政府はお金を必要とする救済であり、カトリックは
人道援助なのでお金の消耗度がまるきり違います。
仏蘭西人が共和国に納める税金は共和国民のために優先使用されるのが
筋だと思います。故に彼らは自分達もフランス市民権があると
主張し始めています。

ところで、教皇は独裁ではなく合議制なんですよ。
Commented by JOYママ at 2010-08-24 20:56 x
やはり遠い日本の門外漢の印象と、現地の状況は相当の差がありますね
あの〜〜「故に彼らは自分達もフランス市民権があると主張し始めています。」・・・・・って、事は、彼等も税金おさめているのでしょうか?
難解です

「教皇は独裁ではなく合議制」なんですか?
知りませんでした・・・イタリア・ルネッサンスの時代を引きずっているようで
申し訳ありません。
色々勉強になります・・・深謝
Commented by ma_cocotte at 2010-08-25 00:07
+ JOYママさま

彼らは住所不定なので税金が発生しないと思われます。が、
低所得者としての医療費免除などの恩恵にはあずかっているかも
しれません。
納税と社会福祉両面から既に長いこと、政府は彼らに定住策を
出しており、その勧めに従っている旧遊牧民は多々います。

教皇は独裁の絶対君主ではありません。
カトリック用語で従順や恭順など、目上に対しての盲目従順を連想する
単語がありますが、世間の独裁とはまったく違います。
わかりにくいですよね。
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