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消えつつある小項目
仏蘭西国営放送で毎日毎夕放映されているQuestions pour un champion くえすしおん・ぷぅ・あんしゃんぴおん http://questions-pour-un-champion.france3.fr/emission/ という視聴者参加のクイズ番組があり、第一回放映が1988年11月7日だそうですからかれこれ24年の長寿番組になります。

このクイズ番組の放映時間は30分ほどで、一回ごとにチャンピオンが決まる勝ち抜き戦で、3つのパートに分かれています。それぞれの質問には小項目があり、歴史、偉人、健康、文化などなど。このあたりまでは、日本国内で放映されるクイズ番組とさして変わらないと思いますが、仏蘭西のこの長寿番組での数ある質問項目のひとつに「宗教」という項目があるのです。放映時間が主婦にとっては夕飯の準備時間でもあるので、主婦はどうしても「~ながら視聴」になりますが、耳だけテレビに傾けていると宗教項目のクイズの主は旧約聖書または新約聖書からの質問がマジョリティです。

1905年末にライシテという完全政教分離法が施行され、1968年の学生革命後は公立校でまったく道徳を教えることがなくなったと言われる仏蘭西で、現在もクイズ番組とは言え「宗教」という項目が残っていることもガイジンの私にしてみれば不思議ですが、チャンピオンになろうとする出場一般人が意外にも数ある選択肢の中から「宗教」を選ぶこともあるので驚きます。司会者が出す「宗教」の質問だろうが、出場者自ら選んだ「宗教」の問題だろうが、正答率も高い。

仏蘭西という国は元はカトリックが国教だった国なれど、特に1968年の学生革命を境に成人に子が授かったところで必ずしも子供に幼児洗礼を授けなくなったことでも知られています。カトリック教会にしてみれば、この事実は「崩壊」に等しいことでもありますが、クイズ番組を傍観していると宗教についての質問で60歳以上の高齢者が正解するのは彼らの生育歴を振り返れば「当たり前」だとしても、30歳や40歳台の共和国民でも正答していることがあります。今の仏蘭西でカトリックの生活を日常で守っている共和国民は5%程度と言われているので、どこかロジックが合わない気がします。

が、更に一歩引いて仏蘭西共和国民を眺めてみると、共和国民は早いと15歳前後で政治運動に関わり出し、もちろん政治の道は中道から右にも、左にも敷かれており、しかも左は左に行けば行くほど枝分かれが激しいという細やかさです。
今年は仏蘭西共和国大統領選挙の年だけれど、1905年に完全政教分離されていても、日本國の政治に比べると宗教との関わりが強いです。これもまたガイジンの、殊更日本人には納得行かないし、政治に宗教が絡むなんて、もしそれが本当ならば仏蘭西は世界の後進国ではないかとまで断言する日本人もいます。ですが、少し考えてみると仏蘭西共和国民が宗旨とする宗教はイスラーム、カトリック、プロテスタント、ユダヤ教といずれも生活実践宗教ですし、プロテスタント以外は包括宗教だから政治を完全に生活から切り離すとこれまた矛盾が生じるわけです。(日本は逆に生活から宗教を簡単に切り離せる生活環境だと思われます)。ちなみに前出の宗教の次に控えし仏蘭西で勢いある宗教は「エホバ」だったりしますね。エホバも生活宗教のひとつに数えられると思われます。

さて、生まれながらにいずれかの宗教の家庭で育った仏蘭西共和国民が15歳も過ぎた頃に政治に興味を持ち始め、それが中道より左で、左であればあるほど、宗教とは離れることになり、左の政治に心酔したオトナは場合によっては生まれ育った実家と縁を切るなんてこともあります。一例が仏蘭西社会党員で前回の大統領選挙で決戦に残ったセゴレェヌ・ロワイヤル女史。彼女はロワイヤル一族で唯一の左傾政党支持者だったんですね。一族の中には中道右派どころか極右もいらっさるという事実。
そして、調べてみると極左政党の幹部の出自が意外にも日本語でいうところの「熱心なカトリック」はたまた「熱心なユダヤ教」の家庭に育った方が多い。彼らは現在、テレビやラジオ、新聞のインタビュウで宗教の鍵語を聞いただけで目尻の角度がびゅーんとつりあがってしまうけれど、15歳以前は家族でお祈りし、礼拝に行き、家庭宗旨のお勉強もしていたのです。

そういうヒダリながら宗教の話題についていける、そう、クイズ番組で宗教が項目の質問が出てもスララっと解答できる共和国民は何も彼ら有名人に限ったことではないし、世の中のヒエラルキアというものは必ず頂点がある三角形なので、いくらでもいると言えます。
とは言え、先に書いたように1968年以降、家庭の宗旨というか、家庭内の信仰生活が軽んじられるようになり、仏蘭西の公教育においても年々、宗教との距離を置いている(いや、イスラームとは年々親密になっているけれど)ことで、もし1968年に生まれた共和国民でも今年で44歳ですから「幼児洗礼、何それ?」という発想しかしない共和国民も第二、第三世代に入っていることになります。だから、毎夕放映される高視聴率のクイズ番組から「宗教」という項目が消えるのも時間の問題かもしれません。旧約聖書からの質問が新約聖書からの質問よりは長く番組に残ることは確実でしょうけれどね。

それとも、クイズ番組から宗教の項目が消えずとも、クアルンからの出題が増えるのかしらね。
これは大いにありえる仏蘭西共和国の近未来であります。うん。


le 4 mars 2012, Casimir


仏蘭西共和国内で血がしたたるお肉を食べることも難しくなったしね。(-。-) ボソッ
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by ma_cocotte | 2012-03-04 23:48 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(0)
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