<< 帝の勅命 それでも心を込めて神を仰ぐ。 >>
「les vêpres 夕祷」を「la messe ミサ」と和訳する日本國 ┐(-д-`;)┌
二時間ほど前に拙ブログに掲載した昨夕、花の都は巴里のノートルダム寺院で行われた東日本大震災からまもなく一周年を迎える日本のためにと意向が加えられた夕祷について、仏蘭西より8時間早く太陽が昇降する日本國で次々とヘンテコな報道が流れています。

私が今朝一番で読んだ記事はコレ ↓ ひとつ前のエントリー掲載記事と重複します)

パリ・ノートルダム寺院で「慰霊と感謝のミサ」

2012.3.10 10:51

 東日本大震災から1年を前に、パリのノートルダム寺院で9日、震災犠牲者の慰霊と、日本に対する支援への感謝を示すミサが行われた。大聖堂にはパリ在住の日本人やパリ市民など約2000人が集まり、なお苦難の渦中にある被災者のため祈った。
 ノートルダム寺院は震災直後の昨年3月13日にも震災犠牲者追悼ミサを行っている。今回のミサはパリ在住の日本人有志が同寺院に打診、教会側が日本との連帯を分かち合う場を設けることに賛同した。
 1時間半に及んだミサで、パリ在住のピアニスト、菅野潤さん(55)=宮城県塩釜市出身=は「フランスや世界が、日本のために寄せてくれた支援が、どれほど希望を見いだすよすがとなったことか。深く感謝している」とあいさつした。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120310/erp12031010530001-n1.htm




この記事を読んですぐ、仏蘭西司教団が創立したカトリック専門チャンネルの電脳版でビデオ検索したら、このビデオが見つかりました。
VêPRES à NOTRE DAME
Vêpres du vendredi, célébrées pour le Japon
http://www.ktotv.com/videos-chretiennes/emissions/nouveautes/vepres-a-notre-dame-vepres-du-vendredi,-celebrees-pour-le-japon/00065053

タイトルの冒頭に Vêpres とあります。日本語で流れた報道にあるミサ Messe ではありません。Vêpresについて我が手元の仏和辞書で引くと「《カトリック》晩課、晩の祈り」とあり、これまた間違った訳で情けなくなりますが、Vêpresは夕祷です。ミサとはまったく異なる聖務日課(Offices)のうちのひとつです。ビデオを拝見すると、明らかにミサではありませんし、映像の内容と掲載記事に添付された写真は一致しますので、昨日、ノートルダム寺院での行事はミサではなく夕祷ですね。

Vêpres という単語は宗教用語であれど、仏和辞書に載っていない単語ではありません。記事を書いた人物は辞書で確かめずに日本に配信したのでしょうか?それとも夕祷では「インパクトが足らない」し、どうせ「ミサ」と和訳したところでカトリックのミサの中身について知る日本国民は一割に満たないから「ミサでいいよ」と文責担当者が許したのでしょうか?

こんな違訳が今の日本國では許されているのだ・・・と呆れたけれど、今から小一時間前には以下のニュウスも電脳域で見つけました。NHKの報道。

佐渡裕さん 大聖堂で震災追悼の調べ

3月10日 6時57分

東日本大震災から1年を前に、パリのノートルダム大聖堂で震災で犠牲になった人を追悼する演奏会が開かれ、世界的に活躍する指揮者の佐渡裕さんが、日本の子どもたちと共に被災地の復興への願いを込めて曲を奏でました。
演奏会は9日、パリの中心部にあるゴシック建築の最高傑作とも言われるノートルダム大聖堂で行われました。
まずは、東日本大震災で犠牲になった人たちを追悼するためのミサが特別に行われ、1000人以上の参列者が日本のために祈りをささげました。
続いて大聖堂の祭壇の前で、世界的に活躍する指揮者の佐渡裕さんと、日本の小学生から高校生までおよそ40人で構成されたオーケストラが演奏を披露しました。
佐渡さんはまず、震災の犠牲者を追悼する曲として、バッハの「G線上のアリア」の演奏を指揮し、繊細さと躍動感を織り交ぜ、観客を魅了しました。
そして、被災地の復興を願って、「見上げてごらん夜の星を」を演奏すると、盛んな拍手が沸き起こりました。
佐渡さんは、「被災地の復興には時間がかかるでしょうが、私たちもあきらめずに、こうした活動を続けていきたい」と話していました。
佐渡さんたちは、震災からちょうど1年となる11日、パリのユネスコ本部で大規模なチャリティーコンサートを開くことにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120310/k10013623841000.html





天下のエネエチケエさんまで「夕祷」ではなく「ミサ」と報道し、おまけに「ミサが特別行われ」とまであります。カトリックの夕祷 vêpres は毎日行われる日課で、仏蘭西のカトリック専門チャンネルKTOでは毎月曜から金曜までノートルダムで行われる夕祷を放映しています。
証拠→ Vêpres à Notre Dame http://www.ktotv.com/videos-chretiennes/emissions/vepres-a-notre-dame.html
つまり、3月9日、巴里のノートルダム寺院で特別だったことは金曜日に必ず行われる夕祷に「日本のため célébrées pour le Japon」という祈りの意向が加えられたことです。ノートルダム寺院の聖務日課になんら特別はありません。

なんだかなー。パリのノートルダム寺院で行われたことが数時間後には日本語世界で「日本人にわかりやすい物語」に変わってしまっています。こういうこと、報道の世界で行って構わないことなのでしょうか?

私個人は報道がこういうことをしてはいけないと思います。

vêpres を「ミサ」と訳すような日本人を雇っているンですか、共同通信社は。
辞書を引ける年齢、日本語を読める年齢ならvêpres を「ミサ」とは訳しません。試験でマルはもらえません。

こうやって報道から報道へ「ミサ」という単語がつながって、いずれ「本当の話」に化けてしまうのです。
おそろしいですこと。

le 10 mars 2012, Vivien


ノートルダム寺院 の「寺院」も日本人にわかりやすい和訳で、事実と異なりますね。
[PR]
by ma_cocotte | 2012-03-10 17:57 | actualite 現時点の現場から | Comments(6)
Commented by al_lamia at 2012-03-11 17:37
ん〜〜私もこの報道はみましたし、凄い!と思いましたが
このブログを拝見して 納得ですね
多分、日本では「《カトリック》晩課、晩の祈り」と放送しても
というか、放送だとかえって一般には 解らないと思います
私もまぁ、プロテスタントの学校と回りにプロテスタントの
家族がおりますので、多少 解るかな?なので
その辺を考えると、ミサになってしまうのかも知れませんね
時間は短縮できても、文化の理解は難しいですから
Commented by ma_cocotte at 2012-03-11 21:58
+ al_lamia さま

一連のこの報道、首をかしげてしまいます。
ミサという単語もカトリック用語だから、新教では用いませんし、
夕祷など聖務日課も正教と聖公会に習慣が残っているくらいで、
新教のほとんどの教派では行っていません。
だったら、キリスト教すべてに共通する「祈祷会」が最も日本人に
解りやすい単語のような気がしてならないのです。

なぜ夕祷をミサと訳したのかさっぱりわからないし、この記事に限らず、
実は日本国内の海外情報はこれほど粗い和訳で構わないのかもしれない
と気づきました。
Commented by Leonie at 2012-03-19 22:21 x
Vêpresだったのですね。日本での報道を知ってからmesse, victimes, japon, notre-dameでググってみたら
http://www.notredamedeparis.fr/spip.php?article1146
http://www.lepoint.fr/societe/une-messe-a-notre-dame-de-paris-a-l-intention-des-victimes-au-japon-12-03-2011-1305534_23.php
にヒットしたのでてっきりミサだと思いました。どこで夕の祈りとミサが入れかわったのかなぁ?
Commented by ma_cocotte at 2012-03-19 22:53
+ Leonie さま

いただいたURLのふたつとも2011年の記事ですね。あの時はごミサ
でしたよ。世界中でもっとも早く祈りをささげてくださったのがパリ大司教区
だったのではないでしょうか。私も当時、KTOでミサ中継を拝見しました。


今年は夕祷において意向が日本のためとして祈られ、夕祷後の夕ミサ後に
日本から来仏した方々によるコンサートが聖堂内で催されたようです。
Commented by Leonie at 2012-03-19 23:03 x
いやん!2011年だったのですね!日付見るの忘れていたわ!失礼いたしました~。
いまktotvで日本の教会特集しています。びっくり!
Commented by ma_cocotte at 2012-03-20 01:53
+ Leonie さま、

きょう(3月19日)のノートルダム・ド・パリの夕祷の意向はモントバンと
トゥールーズで犠牲となった方々のためですね。
http://www.eglise.catholique.fr/conference-des-eveques-de-france/textes-et-declarations/fraternite-avec-la-communaute-juive-de-france-13852.html
なんだか大統領選挙を目前に妙にぶっそうな仏蘭西です。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 帝の勅命 それでも心を込めて神を仰ぐ。 >>