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栄華は衰え
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しばらく前から我が枕元の友がこの本です。
エミル・ゾラの「ボヌール・デ・ダム百貨店」という小説。ボヌール・デ・ダムはBonheur des dames と書き、これを日本語に直訳すると「婦人の幸福」となります。19世紀後半の花の都は巴里が舞台の小説だけれど、登場人物が多いし、話題が男性向きとでも申しましょうか。寝しなに数ページ読めば、天然の睡眠薬となる本です。だから、毎晩必ずしも開いて読む気にもなりません(というか、引き込まれるほどの小説ならば枕の友にもなりませんでしょう)

きょう、お昼過ぎの地方局ニュウスを「ながら視聴」していたら、我が地方最大都市の中心にそびえる百貨店が閉店したことで、かつての店員たちから取ったインタビュウが流れました。店員さんたちはごもっともなことをおっしゃってはいるけれど、仏蘭西の、地方都市の百貨店が次々と閉店に追い込まれても仕方がないのではないかと、こうして仏蘭西という国に寄留している日本人♀は思うわけです。なぜなら、ココんち地元の旧市街にも巴里の有名百貨店の支店があるにはあるけれど、行ったところで品揃えはよくないし、それ以上に店員さんたちに「売る気」がまるでないのです。仏蘭西という国の生活文化背景から「お客様は神様です」という気持が店員の心に宿らないことは確かですが、そこまでの考えが宿らないにしても、もう少し「売る気」や「現在、就労中です」という気が店員さんから発散されていても良いと思うのです。が、そんな店員さんに会ったことはございません。

例えば洋服売場で自分のサイズが見つからないので店員さんに声をかけても面倒臭そうな表情をするし、例えばプレゼント用に包んでくださいとお願いしたところで紙袋に無造作に入れただけの形で渡されたりと、日本国内では考えられないような態度を店員さんたちは私たちに示してくれます。彼らが美しい表情をしているのは、デパート周辺で休憩時間に煙草をくゆらせている時です。彼らの立ち姿といい、煙草を持つ手といい、表情といい、そう簡単にはかもし出せないような雰囲気を漂わせているように日本人には見えるものです。

・・・と、その休憩時間の店員たちのくつろぎ方についてはエミル・ゾラが描く19世紀後半の巴里のデパート業界とは大して変わらないけれども、従業員の働く姿勢は月とすっぽん、別世界。名残なんてまるでない。いったい何を境にすっかり根こそぎ様変わりしたのだろう?としばし考えたけれど、それは社会主義思想の浸透によるものなのかしら?と想像もしてみたり。

いずれにせよ、今の仏蘭西という国でさえデパートという販売スタイルは巴里や主要大都市以外の土地では難しいように感じています。兎に角、デパートだけでなく、他の全国チェーン店の支店であっても、店員さんと向き合ったところで、客であるはずの自分が無駄に悩まされることもある。こんな仏蘭西という国で、インターネット販売が勢力を伸ばすのも無理ありません。

私もこの頃はインターネットでのお買い物ばかりするようになりました。

le 28 janvier 2013, Thomas d'Aquin

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by ma_cocotte | 2013-01-28 22:48 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(2)
Commented by kaocin at 2013-01-30 10:27 x
最近の日本国内における(というより東京内?)接客、特にチェーン系に多いと思うのですが、「過剰」に感じることが多いです。
話している間、にっこりして人の目をじっとのぞき込み、お釣りを渡す時はこちらの手を包みこむ。丁寧過ぎて時間がかかる。
こちとらセレブじゃないので、さっさとやって欲しいんですけどー。
それに、人の手に触ってほしくないんですけどー。
昔、書店の店員さんの、無愛想だけどカバーをかける手際の良さには憧れたものでした。
ヨーロッパみたいにコワイのもいやだけど、適度、がいいと思うんですけど…(…ぜいたくでしょうか…?)

あ、神保町近くにあるお蕎麦屋さんのおばさんは無愛想で有名です。
でも意地悪ではないです。
お客が少ない時はとても愛想がよくて優しいです。???
Commented by ma_cocotte at 2013-02-02 03:50
+ kaocin さま

私の場合、里帰りするたびに「サーヴィス過剰」実感しています。
毎日、東京で生活していても慣れるどころか、違和を感じ取れるくらい
「変」なのかもしれませんね。
お釣りを渡す時に手を包み込むというのは私は未だ経験していません。
となると、ここ1、2年に誕生したサーヴィスでしょうか?
うわわ、個人的には苦手というか、そんなことされたら不快だ・・・。

おそらく花の都パリならば店員さんも愛想よく、品物の包み方なども
丁寧だと想像します。・・・が、私の地元などは買ったものは袋に
突っ込まれるだけですし、「贈り物で」と言ったところで「それがなに?」
で、私に包み紙の筒が売られている場所を指で示してオシマイざます。

思い出した。
実家に戻った時に受けてしまう電話の勧誘も丁寧過ぎて、
会話が生きておらず首を傾げることが多いです。
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