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教皇さまの引退宣言
きょう2月11日、カトリックの暦においては「世界病者の日」という記念日でした。この日は世界中の病気で苦しんでいる方にふさわしい援助の手がさしのべられるように祈ると共に、病気である人ご自身が苦しみの意味をよく受け止めることができるように奨められており、そういう意向の日の朝、教皇さまが引退を発表されたことはとても意味あることであり、私たちに自ら見本を示されたのではないかとさえ思えます。



おそらくですけれど、仏蘭西共和国という国においてこの報道開示は2月11日の午後12時半に解禁だったのではないかと思われます。午後12時半に仏国営放送France3の全国ニュウス番組が開始になりますが、トップはもちろん「教皇ベネディクト16世、引退 Démission de Benoît XVI」で、その後、午後1時の仏国営放送France2も民放の雄TF1もトップにこの報道を流した後、識者を呼んでの特番につなげていました。

私はいつもどおり「ながら視聴」でしたが、午後12時半の第一報を耳にした時、現職の教皇が引退するのはカトリックの歴史上4人目であり、前回はグレゴリオ12世(教皇在位 1406-1415年)だったので約600年ぶりのできごとであるという説明が頭に残りました。カトリックという世界ではしばしば「先人に倣え」という言葉が飛び交うものですが、真実以上に保守派と褒め称えられてしまった教皇ベネディクト16世、ヨゼフ・ラッツィンガアという方はたった4人しかいない先人が選んだ道に倣ったわけです。ちなみにベネディクト16世は第265代教皇ですから、他の260の教皇方は終身だったことになります。

教皇さまのおみ足がここ2年くらいで急に弱くなられたことは知るひとには知られていたことですが、おみ足が弱くなられても聡明さはなんら変わらないことで誰もが楽観していましたのに、ご退位の決断はそりゃ近しい方々には前に知らされてはいたでしょうけれど、市井に生きる聖俗信者にはぶったまげさせられる知らせでした。何せ2013年の間にたった4人の教皇しか生前に退位していないのですからして。

教皇さまがきょう2月11日に今月末2013年2月28日午後8時をもって退位さえることを発表しましたが、実はカトリックの暦では二日後の水曜日に「灰の水曜日(仏語でCendres)」をもって四旬節という節制月に入ります。今年の場合、3月31日(3月30日の日没後)に迎える復活祭のために節制をもって善い準備をするのです。教皇座の空位発生後15~20日の間に新教皇を選出するためのコンクラアヴェと呼ばれる選挙が行われるという規定があるので、四旬節中にコンクラアヴェが行われることになります。順調に選挙が進めば良いですけれど、思うに復活祭直前の7日間(聖週間)には多くの行事があるので、新しい教皇様は聖週間に入る前に選ばれるのではないでしょうか。3月23日がリミットかなあ。

さて、今月28日に退位された教皇さまは新教皇選出選挙には参加せず、カステル・ガンドルフォの別邸にまずお引越されるのだそうです。そして、ヴァチカン市国内にある観想修道院の修理が完了後、教皇さまはこの修道院に入られ、祈りと内省の時を過ごされることになるのだそうです。

なんだか驚きました。
ご健康を理由に教皇職からこうして離れられる決意をされたことも、前例の少なさからどれほど祈り考えられて答えを示していただいたのだろうと思い巡らすだけで心揺さぶられますが、修道司祭出身ではなく教区司祭として聖職を極められた教皇さまがこうして現役を退かれた後に、厳しく沈黙を守るであろう観想修道院の環境に御身をゆだねられるという事実。本当に感動を覚えます。世界中のひとびとから一挙手一投足注目される存在、常にスポットライトをあびるような華やかな世界から沈黙を厳しく守り、簡素に生きる世界に移動するなんてまねしたくてもそう簡単にできないけれど、教皇さま、ヨゼフ・ラッツィンガアはひとりのカトリックとして私たちに人生の見本を、教皇としての現代にふさわしい新しい生き様を示されたのではないかと思うのです。

あらためてヨゼフ・ラッツィンガアという一人物はそんぢょそこらにいない人物だと実感しました。
ヨゼフ・ラッツィンガアのような聡明さを身につけることはできなくても、ヨゼフ・ラッツィンガアが選んだ簡素な環境で祈りで過ごす余生については難しくても倣えるかもしれません。
教皇さま、本当におつかれさまでした。
教皇さまは観想修道院と言えど、私室で共に暮らしていた愛猫も一緒に連れて行くのかしら?とか、また以前のようにお庭に集まる猫にお声をかける毎日になるのかしら?と想像しているきょう、2013年2月11日の午後の私です。

le 11 février 2013, Notre-Dame de Lourdes

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by ma_cocotte | 2013-02-11 23:23 | 『?』なKTOりっくん | Comments(5)
Commented by シスターみみっく at 2013-02-12 10:51 x
驚きました。
でもとても勇気あるご決断だと思います。
私ごときが何ですが、ご健康と心の平安をお祈りします。
Commented by ma_cocotte at 2013-02-12 15:40
+ みみっく姉さま

ヴぃっくりしたなーもー でしたよね。
私はB16ファンなので、報道を聞いてしばらくウロウロしてしまいました。
世俗の仏人の間でも教皇さまの勇気ある決断を称える意見が多い
ようです。

なんだかラッツィンガア師が教皇に着座された後、やたら
伝統主義の教皇だと喧伝されたけれど、今回のご決断から
拝察するに、ラッツィンガア師ほど進歩、先行く羊飼いは
いらっしゃらないように思えます。善い前例を御自ら示されたと
思いませんか。

みみっく姉さまのお祈りもあって教皇さまは生かされています。
どんな観想生活を送られるのか、あてくしは今から興味津々なのであります。
みみっく姉さま、一緒にヲッチしましょうね♪
Commented by 伊望 at 2013-02-12 21:22 x
『保守派』『保守派』と言われますが、別にさして保守派とも思えませんでしたがね、いたって普通で・・・イメージの問題だったのでしょうか?

教会法上教皇が生前退位した場合は、本人の意向がどうであれ、観相修道院内で完全沈黙生活を送らないといけないと、昔聞いたことがあるのですが、これはほんとうでしょうか?

Commented by ma_cocotte at 2013-02-12 22:54
+ 伊望さま、

伊望さんもそう思われますか?
伝統主義だの保守派だのやたら喧伝されていたけれど、きちんと
ラッツィンガアなる人物をおさらいすると本当にそう?と気づけますよね。

生前退位の場合の観想修道生活の義務について、私は存じませんでした。
カトリック史上、過去に4教皇しか生前退位していないとのことなので、
4教皇が前例ゆえ、現教会法で定められているのでしょうか。
守秘の問題もあるのかしら・・・・
ですが、そういう定めがあるのならば、教区司祭出身の現教皇が
退位後観想の生活に入るというのは納得いきますよね。
(高位聖職者という身分を横に置いて、もし教区司祭ならば
定年引退後の生活の自由や、埋葬先の選択も各自にあるので。)
Commented by ma_cocotte at 2013-02-12 23:07
+ 伊望さま、

以下、見つけました。このコメント最下段のURL先をご覧いただけましたら
さいわいです。今回の件は
  >Pope Benedict XVI has given his resignation freely,
  >in accordance with Canon 332 §2
  >of the Code of Canon Law.
です。

THE SUPREME AUTHORITY OF THE CHURCH (Cann. 330 - 367)
THE ROMAN PONTIFF

http://www.vatican.va/archive/ENG1104/__P16.HTM
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