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「黒い足」がまたひとり、旅に出た。
今日の朝7時半にココんちの電話が鳴りました。
一時間ほど前にココんちのモンココの祖母が息を引き取ったという報せでした。92歳。
彼女についてフランス共和国の国籍者と冠せばそれで済むけふこの頃ですけれど、彼女の名前はアントワネット Antoinette であっても、生まれと育ちは現在のアルヂェリアのオランという地中海に面した漁村であり、何世代も前にアルヂェリアに移住したカタルウニャ人の家庭の出でした。だから、彼女はフランス国籍だけを持っているガイジンのようなものだったのです。事実、子供の頃はカタルウニャ語が日常会話だったし、家庭の味はカタルウニャ料理でした。

彼女の運命で、結婚してまもなくアルジェリアの政情が限りなく不安定となり、フランスに戻ることを決めました。こういう北アフリカからフランス本土への帰還民をフランスでは人種が何であってもピエ・ノワール Pied-noir 、=黒い足というレッテルが貼られます。

生まれ育った土地からフランスに戻る時、ニンゲンひとりにつき許された荷物はかばんひとつだったので、誰もが家、家財道具、犬猫も手放して船に乗ったそうです。しかも、乗った船がボルドーに行くのか、マルセイユに行くのかも定かではなかったらしい。

こういう目に遭うのも、かつての帝国主義の報復のせいだ、と脳みそを洗いにかかる方々もいるけれど、そういうことを言うひとびとが北アフリカに入り込むまで、現地ではベルベル族のムスリムも、ユダヤ教徒も、キリスト教徒も仲良く平和に共存していたのに、共産主義者が入り込んでから互いを疑い、憎みあい、互いを追い出そうと懸命になったというのがココんちのマミィ(=おばあちゃん)が常に繰り返していたことでした。

だから、きょうの朝、アルヂェリア生まれのカタルーニャ人であるフランス国籍者のピエノワールである一証人がまたひとり、人生最期の一人旅に出たのでした。今頃、あちらで愛おしい夫君と再会していることでしょうけれど、こちらは元気でかわいらしいマミィが遠くなり、とても寂しくなりました。


le 10 mars 2015, Vivien

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by ma_cocotte | 2015-03-10 17:35 | 『?』なメディテらねぇ | Comments(1)
Commented by みゆき at 2015-03-17 02:40 x
フルーツミックスの缶詰からこの記事を見つけました。L私も行って缶詰にときめいてきます。ロンドンですが。
素敵な記事なのでシェアさせて下さい。
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