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地中海の西岸でのこと
地中海は西岸の、フランス共和国はニースで重篤な事件があったのは先日7月14日の午後11時でした。
こうして週末を迎え、仏蘭西の習慣上、土日の情報量が激減する中、きょうび便利なもので電脳世界では微量ながらも最新(と庶民には思われる)情報が目に入るようになりました。

日曜の早朝に私が見聞したニュウスからぼんやり思うこと。

先ず、昨日土曜の午後、イスラム国(=ISあらためDAESHだけれど、共和国内ではイスラム国 L'Etat Islamique の呼称が戻りつつあります)からニースの無差別テロ事件に関与していることが公言されたという報道。これは正直、どこまで本当かなあ?と。現時点では戦闘劣勢にあるISが当然のごとく、ニースでの惨事の情報を電脳で手に入れたことで「乗っかった」可能性もなきにしもあらず。・・・ですが、だったら同様に他のイスラム原理教条主義過激派グループが名乗り出るだろうから・・・名乗り出ないところを見ると、ISの、例のラマダン月直前の電脳での呼びかけに容疑者が応じての犯行というつなげ方を否定できないように思います。でも、イスラム国が言いだしっぺで、あの呼びかけに世界中のイスラム原理教条過激派が乗っかるのも自然かなあ。

次に容疑者の氏名が Mohamed Lahouaiej Bouhlel モハメド・ラウエジ・ブゥレルで、報道においてはMohamed Bouhlel モハメド・ブゥレルと略され始めている点。モハメドはイスラムを生活実践している家庭 に生まれた男児に命名される最も人気ある男子名で、後半の二つが苗字。チュニジア典型の苗字だと思います。これで思い出したのが、私がマルセイユの職業訓練校で一緒だったチュニジアの女性が仏蘭西国籍取得の際、自分の苗字をフランス風(?)に改め、共和国もそれを了承したことで、彼女のフランスでのIDカードは「新しい苗字」だったことです。もちろん「フランス風」というのは彼女の心象による改変であったことが第一だと思いますけれど、いずれにせよ、フランスという国ではそれが可能で、サルコぢ前大統領の苗字も父親がフランス国籍取得時に「フランス風」に改めて登録したものです。

そして、容疑者モハメッドの元妻が警察に拘留されたらしい。
この女性について名前が伏せられているものの、L'ex-femme de l'homme d'origine tunisienne と表されているので、おそらく彼女は(昨日、私が推察したとおり)チュニジア系の「フランス国籍保有者」ではないかと思います。そして、この二人の婚姻が9年前らしいので、この元妻が「フランス国籍保有者」であることを頼りに、容疑者が仏国移住。長期滞在許可証を彼女の配偶者を理由に申請したのではないかと。もうひとつは彼らの間に二人の子供がいるので、もしこの二人の子供がフランス国内で出生していたら「仏国籍者」になり、両親は彼らが成人するまで未成年の間はフランス国内に滞在する義務が発生するので長期滞在許可を養育を理由に申請できます。まあ、元妻は兎も角、容疑者本人はどちらかを理由に長期滞在申請し、認められたのでしょう。(以上、決して違法ではなく、むしろ共和国に従った手続きになります)。

そして、そして。
どうやら昨日までに5人の、容疑者モハメッドに近しい人物が警察に拘留されたとのこと。うちひとりは元妻だと思いますが。これについては、当然だと思います。どっからどう眺めても容疑者が一匹狼の単独犯だとは想像できません。今朝になって、容疑者が急速に教条原理主義者に化けたと発表があったと繰り返されていますが、だとすると、昨日の、容疑者の住まいがある団地でのご近所のムスリムさんの証言がかみ合わなくなって来ます。引っ越して一年未満だったら、「彼はラマダンをしていない」に納得行きますが、もし長年同じ団地に住んでいて、彼が急に原理教条者になったとするなら、「(去年まで、二年前まで)一緒に礼拝し、共にラマダンも過ごしたのに」と証言するでしょうにね。このあたりは内務省や軍関係者にしか真実が明かされていないのかもしれません。

もうひとつ、きょうの朝、気になったのは、ニースの事件現場にいたひとびとが当日の警備が手薄だと証言し始めていることで、これについてかなりムキになって政府が反論している点です。野党側がこれに乗っかって、現政権(つまり社会党)批判をはじめてもいるのですが。
警備の手薄について私は否定できないなあ。
正直、今年はじめに地元の国鉄駅から新幹線に乗り、パリモンパルナス駅へ。そこからシャトルバスに乗り換えてロワシ(日本ではシャルル・ド・ゴール空港という名前で知られています)に行きましたが、国鉄駅も空港も呆れるほど、がっくりするほど「警備ゼロ」でした。二人並んでだらだら歩く迷彩服を来たおにいさん、おねいさんを何度か見たけれど、あの姿を恐れてテロ実行を諦めるテロリストちゃんはいないと思いました。

そういう立派な施設や首都パリ市内は別にして、地方都市になると警備で顕著になるのが地方警察 Police municipale と中央警察 Police Nationale &憲兵隊 Gendarmerie による共同警備で、地方警察官は他の二者に比べ軽装だし、銃装備していません。普段、こういう花火などのイヴェントで交通規制で活躍するのは地方警察官ですからして、娯楽の少ないフランス共和国で花火が打ち上げられるのは年2回程度、ひとつは7月14日、もうひとつは12月31日。この両者については万民が楽しめる無料イヴェントなので、ひとびとが集い、快く興奮した状態から突然パニックに陥ったことで「警備が誰もいなかった」と証言するひとに罪はなんらないと思います。おそらくニースの場合も警備の主体は地方警察官だったのではないかな・・・とちょっと想像しています。でないと、2kmの暴走という事実がかみ合わなくなるというか。タイヤをパンクさせる方法がなかったのかな・・・などいろいろともやもや。


ニースの病院では16名のご遺体の身元が不明のままだそうです。一方で電脳世界では家族友人を探すひとびとがたくさんいます。どうか無事に見つかりますように。
兎に角、きょうも「地には善意の(すべての)ひとに平和あれ」と心ン中で射祷続けますです。


le 17 juillet 2016, Alexis


これまで何度かココでつぶやいてはいることですが。
単純な話、イスラムでの善は異教徒にとっての悪であり、異教徒にとっての善はイスラムにおいて悪であることが多く、その典型例が名誉殺人(=男性からのプロポーズを断った女性が火達磨などに遭う)や見せしめの処刑行為などです。
それらに加え、イスラム国に限ったことではありませんが、これまで長年のイスパレ問題にも関わることで、彼らの思想に聖戦で殉教した男子は天国に直行し70数名の処女と性的に交わることができるという「なんだそりゃ?」な、それこそコーランのどこに書かれているのか知りたくなる刷り込みと、乳幼児を聖戦のために差し出した場合、彼らの多くは腹巻爆弾の犠牲になるわけですが、その乳幼児もまた天国に直行し「天使になる」という刷り込みがあります。
だから、今回の事件で未成年者の絶命に涙するのは、彼らイスラム原理教条過激派ではない「普通のひとびと」です。彼らの世界では容疑者は殉教であり、今頃、天国で性的に満たされている、即死した子供たちは天国でかわいらしい天使だよ、という確信のみです。


ったく、どーかしている。
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by ma_cocotte | 2016-07-17 15:08 | actualite 現時点の現場から | Comments(0)
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