<< 巴里が久しぶりに燃えている。 独断で思い込んで消えてもらいまショウ >>
【Carême】春を迎える日まで我慢、我慢。
Chaussée aux moines (ショセ・オ・モワ~ヌ)というチーズを買って食べました。
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テレビを見ているとしばしば中世時代の僧院の食卓で修道士がこのチーズを食べたいがために口減らしのいたずらをするという設定のコマーシャルが流れます。このチーズはフランスの西、腕のように大西洋に飛び出たブルターニュの袖元あたりMayenne(マイエンヌ)県にある Craon (クラオン)という小さな町で昔の聖クレモン(Saint Clément)修道院の製法で作られているものです。

フランスの庶民の食卓に並ぶFromages(フォマージュ、=チーズ), vins(ヴァン、=ワイン), bière(ビエール、=ビール), eau-de-vie(オ・ドゥ・ヴィ、=蒸留酒)の多くは修道院で生まれたものが多く、現在も修道院名や創業年を商標にしたものがほとんどです。物語としては蒸留酒にまつわる話が面白く、修道者の怠惰や失敗による偶然の産物であったりします。シャンパンの誕生はまさにこれ。偶然とは言え口に入れたらとろけるお味で捨てられず、しばらくは「お薬、おくすり♪」と言い聞かせていたそうです。ちなみにフランスで知られる蒸留酒La Bénédictine(ラ・ベネディクティヌ)は1510年、La Chartreuse(ラ・シャルトルーズ)は1605年が初生産年とのこと。かのウイスキは聖パトリックが生み出したものとアイルランドでは伝えられており、文献にWhisky なる語が登場するのは1494年のスコットランドだったそう。

こんなことを読んでしまうと耶蘇教の修道士は禁欲生活どころか美食飽食生活だったのであろう、と連想してしまいます。が、毎年3月はCarême(カレム)と呼ばれる40日間の禁欲に入る月です。移動祝祭日である復活祭から遡って40日目から始まるのでカレムも毎年開始日が異なります。arriver comme mars en carême は直訳すれば「禁欲の三月のようになる」ですが、これは「必ずやってくる」、つまり「逃れられない」という意味で使われたりします。この節制の40日間は大斎(たいさい)と呼ばれますが、その内容を厳密に説明すると
毎年復活祭前の四旬節(灰の水曜日から聖金曜日まで)の間、1日に1回だけの十分な食事とそのほかに朝ともう1回わずかな食事をとることができ、18歳以上満60歳に達するまでのすべての成人が守ります。
となりますが、カトリックや正教会の聖職者や修道士、修道女に伺うと、ほとんどの方が「厳密には私達が努力しますから、あなたたち(つまり世俗)は無理のないように。できれば何かひとつ好きなものを我慢したり、一日一善の善行を心がけてください」とおっしゃいます。実際、この言葉に従う俗世に生きる人が多いものです。仕事中に空腹で倒れたら大変です。無理は禁物です。

フランスではイスラム教徒の方々がラマダン月をCarême(カレム)と呼ぶことが多くなりました。特に女性が好んで使いますね。それもちょっと恥ずかしそうに口にします。カレムという音はおしゃれなのかな?

le 10 mars 2006, Vivien

そうそう、Chaussée aux moines(ショセ・オ・モワ~ヌ)の意味ですが、直訳するとChaussée(ショセ)は「(中央部の盛り上がった)凸凹道」、aux moines(オ・モワ~ヌ)は「修道士の上」ですので「修道士の上の凸道」・・・はて?なんだそりゃ?

b0070127_0555849.jpg・・・としばし考えてひらめくものはこれでしょう。

← 修道士の あ・た・ま

うむ、確かに同じ色と質感である。
「修道士の頭」チーズですが、ほのかに臭いおもちのような噛み応えで美味しいですよ。お塩の効いた焼きたての外はカリパリ中はモっちりのバゲットに合います。

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by ma_cocotte | 2006-03-10 19:14 | 『春』 Rien de special | Comments(23)
Commented by 枇杷 at 2006-03-10 23:16 x
玄米菜食なので、心掛けなくてもおそらく小斎くらいにはなってると思います。大斎もそんなに生活に支障を来たさないと思います。
好きなもの断ちといっても断って苦しいものは少ないというか、玄米菜食に切り替えた時に3ヶ月くらい辛かったかなあ。コーラも大好きだったけど今は口にしないし。とりあえず、母の友人がユニセフで古着集めのまとめをされているので、また着ていただけるようなのを見繕うなどをしています。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-11 00:01
■枇杷さま、私も内部から変えてみようと先週木曜日から肉抜き生活に
入っています。(いや、日曜日にハムをちびっとかぢった)
禁断症状がもっと出るかなあ、と思ったけれどそれほどでもなく、夫と二人で
驚いています。
中央協議会の説明を読むと、小斎は他の愛徳精神で代用できるとありますね。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/memo/lent.htm

私も何ができるか考えてみようかなあ。
Commented by あんとに庵 at 2006-03-11 00:52 x
旨いチーズとパンに餓えている私にとって目に毒でございます。ほんとに修道士のおつむりまでもが旨そうなチーズに見えます。
島にいると、チーズとパンには餓えます。あと寿司。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-11 01:03
■あんとに庵さま、お餅を忘れていると思う・・・(笑。
なんで島なのにお寿司が?新鮮な魚介がうんざまんざありそうなのに。
このチーズのCMをご覧入れたいです。そこはかとなくグレゴリオ聖歌の音律で
商品名を唱和しつつ、ひとりの鐘当番の修道士が上層に吊り上げられた後、
「アーメ~ン♪」とはもって終わり。薬、くすり、と言いつつ蒸留酒をグビグビ
していた修道士には笑えますね。
チーズの包み紙の修道士はF会装束をお召しです?
下の人形はおらが町のぼろ市に出ていた托鉢ベネディクタン人形です。
Commented by bun at 2006-03-11 09:29 x
ごぶさたしております。

お話を拝読していて思い出すのは日本の一休さんでした。フランスにも子供の修道士がとんちで次々と難題を解決する、なんてお話があったら面白いですね。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-11 16:54
■bunさま、こちらだと今でもドラマシリーズで神父もの、修道女ものの
推理ドラマなんてあります。ミサ司式の手伝いをする子供はEnfant de
coeur、日本語だと侍者(じしゃ)と呼びます。実際、13歳頃に行われる
Cofirmation(=堅信)まで子供は週に一度Cathechisme(公教要理)
という授業を受けるので、神父さまと問答の繰り返しになります。一昔前
は当たり前だったそうですが、今でもたまにそういう問答で神父さまがピンときた
男子に「神父にならないか?」というスカウトがかかるそうですよ。

Commented by 黒猫亭主人 at 2006-03-11 23:37 x
「修道士の上の凸道」爆笑。
たしかに、色と云ひ、質感と云ひ……。
もちろん、「修道士の道」ですよね。修道士であふれてたんでせうか。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-12 05:22
■黒猫亭主人殿、いえ、先生、質問です。
この熟語はなぜ des ではなくて aux なのですか?
修道院に向かう道ならばau monastère ?ということは修道士に(なる
ための)凸凹道・・・つまり安易ではない、という意味でしょうか? 
例えば champ des oiseaux はdesなのに・・・。chassée des moines
という語もフランスのgoogleでは出てきました。仏蘭西語は難しすぎます。
そしてついでに、tête de moine はスイスの名物チーズでした。

Commented by M@s@sumi at 2006-03-12 20:10 x
m@_cocotte 様、今晩は。

黒猫亭主人先生は今日はお休みのやうなので、わたくしが代りにお答へしませう。

扨、「chaussée aux moines」の「chaussée」は「車道」ではなく、「堤防」といふ意味です。また、この場合の「aux」は、「café au lait」の「au」と同じ用法で、英語の「with」に相当します。したがつて、「chaussée aux moines」は「修道士たちが犇(ひしめ)いてゐる堤防」といふやうな意味でせう。(多分。違つたら御免。)

今回、話題になつてゐるフロマージュの Chaussée aux Moines といふ商品名は、「修道士たちによつて為された偉業」といふ意味合ひを含んでゐるのせう。(多分。違つたら御免。)

佛蘭西各地に Chaussée aux Moines といふ地名が残つてゐますが、m@_cocotte様がお住まひの地方には Chaussée aux Moines はありませんか。いづれにしましても、Chaussée aux Moines の由来については、次のウェブページの「Presentation of Vertou」を読んで頂ければ、御理解頂けるかと存じます。

Vertou (Municipality, Loire-Atlantique, France)
http://www.crwflags.com/fotw/flags/fr-44-vu.html
Commented by ma_cocotte at 2006-03-12 21:11
■m@s@sumiさま、ほっほー、m@s@sumi殿説はそうなりますか。
私は現代フランスのロンポワンの盛り上がりだと思っておりました。
何せ修道士の脳天が先にインプットされましたゆえ(笑。
「修道士の道」で連想すると視覚では凸凹道ということで舗装前のあぜ
道ですね。中世時代、荘園外は石畳ではありませんし、修道院は辺鄙な
場所にあるのが常。(薔薇の名前の世界ですね)。
精神面なら「修道士になるのは甘くない」でしょうか。Long and Winding
Road っぽい発想。
地名で調べたらChaussée des moinesと二種あることを知りました。
故にますます謎が深まったわけでございます。
URL、教えてくださってありがとうございます。早速読んでみます。
でもさ、やっぱり修道士の脳天と同じ色と質感(金髪のひよこ毛がはえか
かった感じ)に瓜二つだと思う。ひっひっひ。

Commented by ma_cocotte at 2006-03-12 21:18
■m@s@sumiさま、拝読。
「修道士によって築かれた堤防」が良訳でしょうか????
15-17世紀、セーヴル川の氾濫を防ぐために築いた、とありますね。
余談ですけれど、今年夏引越先はセーヴル川沿いの龍伝説がある町です。
昔の修道士さんって何でも屋だった?と思ってしまうくらい働き者ですね。

こんにちの黒猫亭の亭主殿は舞台の上でございましょーなー(笑。
日本時間丑三つ時頃に何か書き込まれるかも。
Commented by sakurakura787 at 2006-03-15 20:01
チーズを眺めた後で、修道士さんの似た色合いの頭(失礼)を
見ると、さらにチーズが食べたくなった私って。。。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-15 20:57
■さくらくらさま、美味しいチーズは美味しいですよ~。
食べましょう!フランスのチーズだとKiri や楕円形のCaprice des Anges
(カプリス・デザンジュ)などが食べやすいです。お勧め。

あ、ザビエル頭を見るなり舐めないように。
Commented by 黒猫亭主人 at 2006-03-17 04:03 x
おばんです。
いや、もう、なんか学生さんは春休みを謳歌しとる(仏蘭西とエライちがひですな)のに、われわれは(といふか、ぼくは)、学内外の仕事で連日会議&会議です。で、資料作りは夜中にテイク・アウト。てなわけで、どちらさまにも不義理・無沙汰でござんした。
m@s@sumiさま、なるほど「修道士堤」でしたか。メモメモ〆(。_。)
ところで、chaussée aux ... でググッてみると、ティオティワカン遺跡の「死者の道」があがってきました。何でも、人骨がごろごろ発掘されたのが由来ださうで。「死者でいっぱいの道」か「死者付きの道」ってとこですかね。
前置詞の à は、ラテン語の ad (~へ/に)に由来するぶんのほか、ab(~から)に由来するぶんもありまして、こっちは de と同じ意味ですさかいに、「~に属する/~の」(属格)の意味も持つことになったりしてますな。ほな、また一週間後くらゐに――ヒマがあるとえゝなあ……。
Commented by ma_cocotte at 2006-03-17 17:06
■黒猫亭主人殿、昨晩のFrance 2は学生とDe Robien 文部大臣、
雇用者やら野党など含めて大討論生番組でした。後期が始まったばかり
ゆえぶちかましているのでしょうかねぇ。昨夕から始まったソルボンヌ近辺の
破壊活動はパリ郊外暴動となんら変わりなく、私はああいう態度を見ると
もう引いてしまいますね。ちょっと目的が変わり始めている気がします。
いけません。

「修道士の堤」で人骨ゴロゴロなんて言葉が続くと、なぜか
「修道士の人柱でできた堤」か?と妄想に走ってしまいます。
「死者付きの道」ということは墓地への参道ということではないかなあ。
古い墓地には聖堂が併設されているのも常ですし。

adやabだと目的語がヒト以外になる、と短絡的に考えてしまいがちですね。
deも含むとなるとなんとなく理解できますが。修道士の堤ねぇ。
あなおそろし。
Commented by Lyrique☆ at 2006-11-18 18:42 x
はじめまして!
同じチーズを、御土産で頂きました。

何に一番合うのかが知りたくて検索していたら、偶然同じチーズの包み紙を目にして飛び込んで来てshまいました。

食べ方だけでなく、バックグラウンドまで詳しく知る事が出来てとても嬉しいです。
Commented by ma_cocotte at 2006-11-18 20:38
■Lyrique☆さま、はじめまして、ようこそ。
表面がカリカリした状態、塩がきいたバゲットが合うと思います。
クラコット(でしたっけ?)や北欧っぽいビスコットもいいかもしれません。
Commented by Lyrique☆ at 2006-11-19 01:13 x
ma_cocotte様

こちらを読むまでCM流れてるようなチーズとは知りませんでした。
こちらの記事、是非紹介させて頂きたいのですが、別サイトなのでトラバは張れないのかな?

宜しければ、この話題の日記で文字リンクで紹介させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?
Commented by ma_cocotte at 2006-11-19 01:47
■Lyrique☆さま、貴ブログの本文中にこちらのURLが貼られていれば
トラックバックができると思います。
CMにカトリックの聖職者の装束のキャラが登場することはフランスでは
しばしばありますよ。最近はお掃除の洗剤のCMにCuré (キュレ、教区
司祭)と修道女が登場します。
Commented by Lyrique☆ at 2006-11-19 02:28 x
ma_cocotte様
トラバはやはり駄目みたいでしたので、HNとURLで紹介させて頂きました。
宜しければお手数ですが御確認下さい。

楽しいお話どうもありがとうございました♪(^^)
Commented by ma_cocotte at 2006-11-19 02:52
■Lyrique☆さま、お知らせありがとうございます。
こちらからTBいたしました。よろしくお取り計らいください。
Commented by Lyrique☆ at 2006-11-19 03:24 x
ma_cocotte様
トラバ有難う御座いました。
お手数お掛けし申し訳有りません。

何回か試して反映されてないようだったので、やはり最近凄く多いスパムトラバ防止の為、同じサイトじゃないと駄目なのかと・・・「ごめんなさい、駄目でした」とコメント入れようと再度戻ったら、いつの間にか反映されていて、ほっとしました♪(^^)
Commented by ma_cocotte at 2006-11-19 15:15
■Lyrique☆さま、いえ、そちらからのTBはまだ頂戴しておりません。
私の方からTBを入れたのです。本文中最後の貴ブログタイトルは
私が加えたものです。

私のTBアドレスはこちら↓ですので、今一度試していただけますか。

http://malicieuse.exblog.jp/tb/4246063
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