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カラスの悪知恵によるキツネとタヌキの化かし合い
5月1日。
フランスは Fêtes du Travail (フェト・ドゥ・トラヴァイユ、労働の日)の国定祝祭日で、一日中どこからともなく「第一インターナショナル」の斉唱が聞こえてくる日でもあります。が、共和国万民にとって5月1日は鈴蘭の花を「友愛の証」として交換する日でもあります。こんにち鈴蘭をもらうと幸運が舞い込んでくるのだそうです。春の到来を告げる鈴蘭の開花は同時に幸運をもたらすと信じる共和国民はロマンチストな労働者なのでしょう。



で、例の「共謀罪」やら「密告、盗聴」について、偶然かもしれませんがフランスではここ数日そりゃー大騒ぎのニュウスが流れ続けており、耳を澄ませばDST(内務省管轄の国内諜報機関)やらAgent secret (アジャンセクレ、=シークレットエイジェント)やらフランスの情報機関名が聞こえてきます。ニュウスは以下のとおり。注目すべきキーワードを赤にしてみます。
<フランス>内相追い落とし、大統領と首相疑惑否定に躍起
【パリ福井聡】フランスのドビルパン首相が、来春の大統領選でライバル関係にある、同じ保守系与党のサルコジ内相の追い落としを図ったとする疑惑が浮上し、仏政界を揺るがす事態になっている。首相の後ろ盾とされるシラク大統領の関与を指摘する報道も現れ、首相と大統領はともに疑惑の否定に躍起になっている。▼2年前の台湾へのフリゲート艦輸出をめぐる汚職捜査の中で、サルコジ内相を含む仏政財界有力者がルクセンブルクの銀行「クリアストリーム」に隠し口座を設け、資金洗浄と裏金のやり取りをしていたとの匿名文書が捜査当局に届いたことが疑惑の発端となった。▼文書の「疑惑リスト」には、サルコジ氏のほか、元エアバス副社長、ストラスカーン元蔵相、シュベヌマン元内相らの名が挙げられていた。4月になって仏各紙が、文書の送り主がドビルパン首相に近い人物の疑いがあると報道。首相への捜査の可能性も報じられた。▼ルモンド紙によると、匿名文書が届いた04年1月当時、外相だったドビルパン氏がシラク大統領の命を受け、諜報(ちょうほう)専門家のロンド将軍にサルコジ氏の疑惑捜査を指令した。文書には改ざんの跡があり偽物と判明したが、その後、ドビルパン氏はサルコジ氏の再調査を改めて命じた。最近、同将軍の自宅を捜索した当局は「シラクとサルコジの政治対立が顕在化」と記されたメモを押収したという。▼これに対し、ドビルパン首相は28日、「将軍と私はサルコジ氏個人が外国口座で利益を得たなどと話した事実はない」と疑惑を否定した。シラク大統領も「政治家個人を標的にした捜査を命じたことなど断じてない」との声明を発表した。▼サルコジ内相の支持者らは「首相は文書が偽物と判明したのにその事実を隠し、内相を不利な立場に陥れた」と首相を批判。大統領選を1年後に控え、内相と首相の仲はさらに険悪化の一途をたどっている。
[毎日新聞 05月01日 10時25分 ]
日本の政治家のみなさまがたも共謀罪法案を通して、こんなことをしてみたいのかな?と思っちゃったりしました。先日の民主党メール事件よりは内容濃い、あのメール事件が小学校学級会レベルならこのフランスの事件は中学生徒会レベルくらいに当たるかもしれません。

おそらくシラク大統領とその腰巾着のド・ヴィルパン首相はサルコぢ内相はじめとする「有名人ご一行」がフランス国外に隠し口座を設けて裏金操作をしていたと匿名文書を送付して密告してサルコぢ失脚を狙ったのに、文書改竄痕ありの理由で「話はなかったこと」になってしまった。故に表向きは第三者のド・ヴィルパンがその結果に納得できず諜報専門の将軍さまに再調査を改めて命じたのでしょう。新聞にこの執着をすっぱ抜かれたシラク大統領とド・ヴィルパン首相は「僕たちが一個人を追い詰めようとなんて決してしまっしぇん」と事実無根やらマスコミによる濡れ衣があてがわれたと表明し、一方のサルコぢ陣営は「やましいのは僕ぢゃない。彼らだ!」とシラク&ド・ヴィルパン両氏の逆共謀説をマスコミと一緒に共和国民に訴えていることになります。
なんか変なの。(←棒読み)
だってさ、まずサルコぢは内務大臣なので共和国内全ての警察のボスです。DST(国内諜報部)だってサルコの傘下。そこにド・ヴィルパン氏が「あんたの上司サルコの汚職を調べよ」と言ったところであまりに空しく無駄な気もするんだけれど。途中頓挫は当然なんぢゃ?
そしてもうひとつ、諜報専門家の将軍さま(って、DGSE 国際情報部のボスでしょう)たるものが2004年に依頼された件についてのメモを2006年まで自宅内のどこか、捜査員が簡単に見つけられるような場所に放置していたのでしょうか?
・・・一素人、ド田舎に住むツル脳おばちゃんの素朴な疑問です。
おそらくですけど、諜報専門家の将軍さまはそのメモを取っておかねばならなかった理由があるのでしょうね。上の記事に書かれたメモの内容は取っておくのに値する内容とは思えんが。ルモンド紙によりますと、諜報専門の将軍さまは予審判事にド・ヴィルパンは再審査依頼の会合で『捜査はシラク大統領の指示だ』として、サルコジ氏の名前も挙げたと供述していたそうです。「罪を擦り付けられた」サルコぢ内相は今年1月にすでに民事訴訟を起こし済みで、今回の蒸し返し報道には、「司法を信頼する」という発言のみでお口にチャックをかけています。
どっちがキツネで、どっちがタヌキなんでしょ?カラスは誰?
穿った見方をすれば、2004年の段階でサルコぢがシラク、ド・ヴィルパン両氏に甘い餌を投げた長期計画なのではありません? サルコぢ、有利すぎて臭い。「キツネとタヌキの化かし合い」やカラスの悪知恵も遊びが過ぎると共和国民に嘲笑されかねないので引き際が肝心ですぞい、お三方。


le 1er mai 2006, Joseph
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by ma_cocotte | 2006-05-01 18:02 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(12)
Commented by 黒猫亭主人 at 2006-05-03 11:13 x
ここっつぁま、いとご無沙汰でござんした。
モウ、ワテ、ホンマニよ云ハンワ、ってな状況でして(今もですが)。

でも、些か暇をめっけましたんで、立ち寄り。

さうですか、茶番ですなあ。ときに、佛國ではサルコ人気はどないなもんでっしゃろか? そして、ロワイヤル人気は?
(すんまへん、過去ログも検索してまへんので、もし書いてはったら堪忍だす)
Commented by ma_cocotte at 2006-05-03 16:12
■黒猫亭主人殿。
先生が行方不明になってしまい、別館の更新さえなくなってしまったので、
この数日、粕谷先生のブログコメントでマグレブな話を楽しんでおりました。
なんか小さなことからコツコツやらんとマグレブ話は大きな誤解を日本に
もたらしそうですね。ちょっと考えてしまいました。

サルコぢですが、裏極右と勘違いされる過激言動が目立っているかも
しれません。日本人の私が聞けばあったり前な発言ですが、フランス人には
過激かつ不安材料になるみたいです。ロワイヤル女史は一見好調です。
少なくとも同棲相手のオランドくんより。PSは予想される候補者乱立
ですが、ジャック・ラングは年齢でチャンスをモロに失った人物、シュトラスカーン
は今ひとつ。と、個人予想はこうなるけれど、結局、社会主義なんで、人格
より全体主義主張ですよね?社会党方針を読めば「誰でもいい」ことになります。
で、社会党方針を読むと「移民天国」が仏蘭西に再びやってきます。

争点はNationalisme のあり方だと思われ・・・。さて、先生なら仏蘭西に
おけるナシオナリズムをどう位置付けます?
Commented by 7sept at 2006-05-04 18:01 x
ma cocotteさま
フランス語チンプンカンプンの私、ようよう話の内容がわかりました。
全くフィガロなんぞ読むよりよほども貴女のブログのが解り易い。しかしそのメモなるもの怪しすぎ、あったとしてわざと? でもこの時期になんで? サルコジさまは、たなぼたですな。なんだか選挙戦がアメリカみたいに相手をこき下ろす戦略みたいですごく嫌。日本はほめ殺しで、あれも気持ち悪いけれど。品行方正にお願いしたいですね。で、ロワイヤルさんっていったいなんでこんなに人気あるわけ? フランス人の友人が言いましたよ だってドイツも首相は女性になったじゃないの フランスも遅れていられないわ  おいおい ですよ
>>社会党方針を読むと「移民天国」が仏蘭西に再びやってきます<<

亡きミッテランのおかげで主人は滞在労働許可証10年がもらえてね、家族呼び寄せで働かない私も10年滞在許可証をいただいてますんでね、文句言いませんよあたしゃ。でもね、先日滞在許可証の更新に県庁言って驚いた。朝の5時から並ぶんですぜ~~移民多すぎ!!あんたも?は~い お^^ほほ

Commented by 黒猫亭主人 at 2006-05-04 22:05 x
 テンノーはんのござらぬ佛國にとって、護持すべきは「共和主義=普遍主義」でせう。軸の反対側は「個別主義=その場主義」。一方、人権にかんしては、「人種差別主義」と「人間平等主義」が相対するかと。したがって、佛のミギは「共和主義」を護持するわけですが、その中が、民族主義・共同体主義的なヤカラと、人間普遍主義的なウカラに分かれます。前者の代表はル・ペン、後者の代表はシュヴェヌマンかな。そして、ヒダリは「反共和主義」ですが、「民族主義」になるとこれは宗教戦争で、「平等主義」なら共産党かな。本来「左翼=進歩派」なので「ラシスト←→平等主義」の軸を「左右」に割り振りたいとこですが、そこが佛國のオモロイとこ、てふかニポンと違ふところですな。
 てふわけで、佛のナスィオナリストは、とりもなほさず「共和主義者」のことやけど、人権を巡って分裂してると。非ナスィオナリストとは、もしかするとアナルスィストのことやも。
 大雑把な分析でスイマヘン。でも、佛の将来は普遍主義と個別主義をいかに接合するかに掛かってますな。その辺は、ぼくの弟子が研究中。
Commented by ma_cocotte at 2006-05-04 23:05
■7septさま、この推理ゲームは面白いですよ。
ココんちの仏蘭西ビト♂はド・ヴィルパン単独犯行説を推しています。
シラクはまったく絡んでいないと。その理由はド・ヴィルパンのサルコぢへの
嫉妬ですと・・・。なんか仏蘭西ビト独特の「嫉妬オチ」、詰まりませんね。

私はやっぱりシラクとの共謀をイチオシ。なんだけれど、更に手繰ると餌を投げたのはサルコぢで引っかかった国家元首と腹心ではないか?と。
ここまで来ると妄想域♪ でもどう考えてもアヂャンスセクレの将軍さまがメモを簡単に見つかる場所に放置するとは思えません。なぜ暖炉に
投じなかったンぢゃあっ?

昨日の国会中継は白熱していましたね。

セゴレーヌさまは二番煎じですよねー(棒読み)。
私は実はジャック・ラングやベルナール・コシュネ贔屓だったんだけれど、
PSは結局ヒダリの全体主義ですもんね。誰でも同じですよ。それに
先週の番組でジャック・ラングは口がうまく回らないおぢいちゃんに
なったことが証明されちゃったんでもうダメでしょう・・・残念です。
こういうことも運命が深く関わっているものだ、とあらためて思いました。

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2006-05-04 23:07
■7septさまのご夫君ってニッポンびとですか?
あらら、存じませんでした。
パリの滞在許可証発給の現状はよろしくなさそうですね。日本人留学生の
お子たちがあの段階でメゲちゃうらしいと噂に聞いています。
マルセイユも物凄い雰囲気を醸し出していますが。はじめて行った
健康診断所での「ピピ、ピピ」という四音のみで紙コップを叩くおばちゃん
の顔、忘れません。
Commented by ma_cocotte at 2006-05-05 03:57
■黒猫亭主殿、む、難しい・・・。
個別主義については「宗教」があたるかも?家庭内で守るなら関知しないけれど
公衆でのアピールにはかなり神経を尖らせていると思います。イスラム系
第二、第三世代になるとこのあたりの意識があるヒトとラジカルがきれいに
線引きできそうな最近です。人権については基本は「共和国民」でしょうね。
だが、この国は複数国籍保持を許しているところに曖昧さが出てくるのだ
と思います。ここ数日のサルコぢ移民法案はまさに絡んでおり。今日の
C dan l'air でも移民問題がテーマだったけれどフランスに来て14年
目で現在も国籍をもらえないアルジェリア人が「今あっちに行っても私の家
はない。助けて」と言っていましたが、アルジェリア国籍を持っているなら
あちらの社会福祉に頼りなさい、と言うしかありませんよね。それはもちろん
日本国籍の私にも同じ台詞が言われることになります。

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2006-05-05 04:29
■で、ナシオナリズムですが、来年の選挙はこれが論点であり各党の
ウリになると私は見ています。ん~がっ、フランスというのはドイツのゲルマン
民族、大英帝國のアングロサクソン民族、ロシアのスラブ民族のような主
となる明確な民族がもはやないと言ってよく、ほんの運で苗字がたまたま
フランス系、でも先祖には必ずガイジンがいるのが共和国庶民ですよね?
国民総混血&移民がフランスという大地にたまたま登録しているだけの
ようなのに愛国心や第四標語のSolidalitéをどう共和国民に訴えるの
だろうと傍観者の私としては他人事なんで楽しみな論点です。

あ、UMPですけれど「オンナ」で勝負となると現防衛大臣のミシェル・アイヨ・
マリが出るだろう、と噂です。
Commented by 伊望 at 2006-05-05 22:24 x
>明確な民族がもはやないと言ってよく、ほんの運で苗字がたまた
>まフランス系、でも先祖には必ずガイジンがいるのが共和国庶民
>ですよね?
>国民総混血&移民がフランスという大地にたまたま登録している
>だけのようなのに

だからこそ国民統合の象徴としてのナシオナリズムが必要とされるのですよ。北米などよりはそう顕著ではないにせよ。

フランスのナシオナリズムは『フランス文化』と『(そもそもフランス革命初期は外国人であっても共和制の理念に賛同するものであれば市民権が得られたという、専制に対しての汎概念としての)共和国の概念』の相克がみられて面白です。

アメリカやカナダはもっと極端ですよ。いたるところに国家、野球やアメフト、ホッケー試合での国家妻斉唱、学校で毎朝国家斉唱(カナダ)忠誠宣言(アメリカ)などなど。ことあるごとに「自分はカナダ人」「自分はアメリカ人」と呪文のように繰り返し思い込ませる。逆にこれをしないと国として統合がとれずバラバラになって瓦解してしまうでしょう。

ここが日本など、特にナシオナリズムを意識せずとも自然に国或いは文化集団として統合が得られる国と異なりますね。
Commented by しぇリ~ at 2006-05-05 22:33 x
伊望様の

>いたるところに国家、野球やアメフト、ホッケー試合での国家妻斉唱、学校で毎朝国家斉唱(カナダ)忠誠宣言(アメリカ)~

そうなんですよ!米ハイスクールでは毎日ですよ!なので私は君が代を知らなくても未だにアメリカ国歌と忠誠宣言ができますよ。
「君は留学生だからしなくてよいよ」と言ってくださる先生もいらっしゃいましたが、アメフトや野球の試合ではやめるなんてそんなことはできませんでしたよ。

>国民統合の象徴としてのナシオナリズム~

北米と仏では移民の背景が違うので、もし仏がナシオナリスムを取り上げるとすると非常に難しいと思うのですが。。
どう政教分離するかが焦点かなと。。。

Commented by ma_cocotte at 2006-05-06 03:29
■伊望さま、フランスにおいてのナシオナリズムですが、移民の人達に
質問すると「税金が自分に還元される、自分の子供がたくさん勉強できる、
食べていける」ゆえに「フランスが好き」だそう。これは「国家への信頼」
で「愛国心」にはならないのかもしれませんが、仏蘭西では国民を愛国に
導く重要素なんぢゃないかなあ、と考えたりしています。
仏蘭西は亜米利加や加奈陀の祝詞型とはちょっと違いますが、公立には
「自由・平等・博愛」と赤白青のシマシマ看板が掲げられていますし、道
のロンポワン(ロータリー?)に国旗掲揚していたり、学校や通りの名前
に国家の偉人名など視覚に訴える方法を選んでいるように思います。
公立の建物内には国家元首の写真とマリアンヌという守護女神の胸像
も飾られています、そういえば。

日本は国土やら民族やら文化やら島国ならではの濃さがある(つまり
英國型)のに、なんで今更「愛国心」なんでしょう。個人のアイデンティティが
曖昧という自覚がある? 私は手始めに日本國は税金を国民の生活
に現れる形で還元するだけでも違うと思うのです。国際的アピールは
もう十分でしょう、と。
Commented by ma_cocotte at 2006-05-06 03:43
■しぇリ~さま、忠誠宣言しましたか。I pledge allegiance to the flag of the United States of America, and to The Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.

「神の下に」入っていましたか?アメリカくらい政教分離してんのに一致
している国はありませんよね(笑。
仏蘭西のナシオナリズムは来年大統領選挙の論点になると私は見ています。
寄った大地に税金払ってどう愛を持つのか?兵役もなくなり、就職
先のひとつですもんね。それに移民によっては兵役も公職も「忠誠心」
の面で区別せざるをえない。これは国防から見れば差別ぢゃなくて区別ですよ。
兵役訓練のドキュなどこちらではよく流れるけれど、グループの
団結を重んじる兵役で宗教区別はできんよ。うーん、考えちゃいますね。
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