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余は良心である。 Sarko , directeur de conscience
どうも神聖フランス帝國皇帝サルコぢ一世サマにおかれましてはライシテ Laïcité、徹底政教分離法のことで話題のキレが悪いままであります。ライシテというのは1905年に制定された法でありまして、簡単に説明するなら「教会は国家に干渉してはならず、国家は教会に干渉してはならない」 というものです。けれど、日本國における「徹底政教分離」という語から連想するイメージや事柄とはまったく異なったものと考えた方がいいように思います。だって、1905年に徹底政教分離が法となっても、現在もフランス共和国の13祝祭日のうち8祭日はカトリックの典礼暦と同じ(移動)祝祭日ですし、日曜日は主日 jour dominical なので原則として店舗開業もできないし、トラックや営業車が高速道路を走るのもダメです(ただし、いずれも事前の認可申請すれば働けなくもない)。もそっと身近な話題では自治体によっては1905年以前の習慣のまま幼稚園と小学校は要理受講日として水曜日が休校日ですし、毎週金曜日の社員食堂も学食も給食もお魚メニュウだったりします。

何かとこの1905年制定のライシテが共和国内で宗教絡みの問題が起きるたびに引き合いに出されますが、カト的には更に第二ヴァチカン公会議と1968年の学生革命が徹底政教分離の決定打であった年と見たほうがいいかもしれません。この時に世俗(ライック laïque )にもたらした意識改革は現在もカトリック社会生活の中に重く残っており、聖も俗も完璧二分していると思われます。

前前から皇帝サルコぢ一世サマがこの1905年の徹底政教分離法をいぢくるという噂が流れておりましたし、すでに皇帝サマは日曜日に誰もが自由に労働できるようにしようとしています。昨年12月20日のラテラノ教会で叙勲直後の演説(カトリック)、今年1月のサウヂアラビアで国王陛下を前にしての演説(イスラーム)、そして今月13日、花の都はおパリで行われたCRIF(Conseil Representatif des Institutions juives de France の略、フランスにおけるユダヤ教代表議会)主催の晩餐会での演説と皇帝サマがそれぞれに違う舌を使って思いを述べられたことで臣民は皇帝サマのご真意が理解できずに渦に巻き込まれているような現状と言えるかもしれません。

まず、昨年12月20日、皇帝サルコぢ一世サマはラテラノ教会内で、フランスの根源は本質的にキリスト教であり、フランスとキリスト教の関係の深さと重要性を強調なさり、徹底政教分離の現状では道徳倫理が廃れる可能性もあるので誰もが宗教に対して平等、自由に向き合えればよいとのたまわれました。
次に、1月14日サウヂアラビアはリヤドでの演説では、文明国の根源は宗教であり、文明国にひとつの文明を押し付けるべきではない、とおっしゃいました。以上、宗教を持たないヒトを区別した発言に「無神論者にも良心がある。信仰の有無で分けるものではない。」と反論したラ・ロシェルの司教さまもテレビ画面に登場いたしました。
そして、2月13日です。ユダヤ教の団体主催の晩餐会で皇帝サマがおっしゃったのは、自らがイスラエルの友であり、イスラエルを認めない人々とは謁見もしないし、握手もしてやらない、と明言されたのです。おまけに12月と1月に受けたライシテ関係の批判について1905年以降の道徳が宗教道徳に劣るなどとチンは言ってない、と加えられました。

昨年春、大統領選挙直前のテレビ番組で紹介されたサルコぢがカトリックの侍者装束をした白黒写真を見たけれど、その時点でサルコぢは2度目の結婚(もちろん市民婚のみ)で、セシリア夫人と二人の間の息子が洗礼を受けているかどうかも果てしなく「non」だったし、昨年12月のヴァチカン訪問の前月にはセシリア夫人と離婚したばかりでした。皇帝サルコぢ一世サマはおん自ら、アンリ4世以降代々フランスの国家元首が教皇から受けることができる勲章を望まれ、それも伝統に則ってラテラノ大聖堂で行われましたけれど、
あれってミサだったんでしょ?
離婚したてのサルコぢが聖体拝領できたのか謎でしたが、先日、地元のカトリック司祭に質問したら、なんと伝統ならばごミサなのに、サルコぢがああだから、共同祈祷のみの式だったそうです。

天下のおル・モンドさまの2月14日付記事に『Sarkozy et Dieu サルコぢと神』というものがありました。政治面に書かれている内容としてはとても宗教臭いです。かなり長い記事でしたけど、カト的に面白い証言が書かれておりました。
サルコぢはヴァカンス先の大西洋岸アルカションで、セシリア夫人と息子の三人で主日ミサにあずかったし、昨夏のリュスティジェ枢機卿の葬儀ミサで聖体拝領をしたという噂が流れたにもかかわらず、(おそらくエリゼ宮付)司祭であったドミニコ会のフィリプ・ヴェルダン Philippe Verdin 師の話では
"Je ne suis pas le Raspoutine de Sarkozy. Il ne m'a jamais demandé la confession, ni interrogé sur la situation des divorcés-remariés par rapport à l'Eglise."
私はサルコぢのラスプゥチンではありません。
彼は私に決して告解を望んだことはありませんし、教会に報告するための離婚、再婚について質問したこともありません。
.....( ̄口 ̄;)!! アイヤー。 
それぢゃ、叙勲ミサで聖体拝領なんてナイナイ、ありえなーい。ありえるかもしんないとちびっとでも思った私が甘かった。サルさまは臣民にアピールするためにはミサにも行けば、これまでどの大統領も決してしなかった聖体も拝領しちゃうし、訪問先では殉教者の墓参もしちゃうけんども、アピールできないことはなーんにもしないということになります。なんつうか、サルが大統領になっちゃった日からうっかり思ってはいたことですが、普通、国父さまというのは臣民の見本でありますし、政教一致の時代は国王たるもの世俗の見本が建前だったはず。フランス共和国の場合は共和国民が投票して大統領を決めますが、こういうサルを選んだ共和国民の「ヒトを見る目」と「鑑の選び方」に問題があるのかもしれません。その共和国民の鑑に選ばれたはずの大統領が今のライシテぢゃ倫理道徳が不十分などあっちこっちでしゃべっていることになります。

同じ記事の中には皇帝サルコぢ一世サマがテニスプレーヤーのアメリ・モレスノ Amélie Mauresmoや有名歌手とならば数時間話せるのに、ラベ・ピエールや教皇さまとの謁見に同伴したギィ・ジルベール Guy Gilbert 神父、近未来の聖人と噂の高いエンマニュエル修道女 Soeur Emmanuele には素通りだったという側近の証言も書かれています。彼はチャンピオンや歌手の前では我は常に神と共にあり、頂上の頂上、チャンピオンの中のチャンピオンと振舞っても、昨年夏、米仏往復のハッタリをかましてリュスティジェ枢機卿の葬儀ミサに出席しても700人の司祭が棺を聖別した後にようやく聖水をかける番がまわってきたではないか....という記事は凄いな。日本の全国紙でこんな記事内容を読んだことないかも。

うーん、兎にも角にもサルコぢサマがライシテをいぢくることで、今後、フランス国内にモスク建設が積極的に行われるだろうとニュウスが取り上げるようになって一週間が過ぎました。今週に入ってから生討論番組でもサルコぢとライシテについて取り上げ始めています。
France 5 : C dans l'air.
Sarko, directeur de conscience サルコ、良心の指導者

France 3 : Ce soir (ou jamais)
Les franc-maçons  フリーメイソン
どちらもかなり面白かったです。フリーメーソンの儀式を初めて見ました。こういう衣装で、こういうことをするとは。手前の頭骸骨はどなたでしょ?世界中に60000人も会員がいるのだそうです。そして、C dans l'air では下方にテロップで流れる視聴者からの質問で「ライシテしても学校で宗教美術や音楽、歴史で宗教が出てくるのはなぜ?」というものがあり、思わず笑ってしまいました。フランスの生活文化史から政教分離を理由に宗教を出せなくなってしまったら、芸術も歴史も消えてしまいかねません。そして、この番組の終盤でサルコぢが1905年法の改正によって共和国内をコミュノタリズム le Communautarisme を実行しようとしているのではないかという話になりました。これが実施されるといずれ市民戦争が起こるだろうと危機感を持っている共和国民が多いとか。それぞれの象徴(教会、モスク、シナゴーグ、集会場など)の周りに皇帝サルコぢサマがおっしゃるように誰もが自分の宗教に対して平等、自由に向き合えるようにすることを意味するらしいのです。時代の逆行のようにも感じますけれど、いつのまにか共和国の「良心の絶対指導者」にもなられた皇帝サマの思惑はどのようなものなのでしょう。

ちなみに、皇帝サルコぢ一世サマご自身は社会主義革命によって故国を追われたハンガリー貴族を父に持ち、スファラディ(聖書に登場する土地出身のユダヤ人)系の母(彼女はテサロニケの出)との間に生まれた男子で、カトリック洗礼を受けたものの、父親が愛人を作って家を出てからは、ユダヤ教倫理や生活道徳を身につけた母の手で育てられています。
それぞれ同じ倫理道徳仲間のみで固まった方が平和なのでしょうか?
うーーーーーーーん。脳内便秘になりそう。

le 20 février 2008, Aimée
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by ma_cocotte | 2008-02-20 05:48 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(12)
Commented by rice_shower at 2008-02-20 10:32 x
アメリカ大統領予備選で、ハッカビーがあそこまで支持を得ていることや、TVの討論会でヒラリンもオバマンも自らの信仰の強さを懸命にアピールする姿とか、宗教を通して見ると、あの国の危うさが浮かび上がって来る気がします。
>コミュノタリズム le Communautarisme を実行しようとしているのではないか
おお、竹下せんせの本を読んでいたので、良く理解できる。 

ところで、キリスト教理解へのアプローチは皇室(とりあえず、赤十字設立に貢献した昭憲皇太后あたりから)を媒介とすることにしたよ。
現皇后は今上天皇のプロポーズを受けるにあたり「(キリスト教信仰の)神をすてるつもりはないが、よろしいでしょうか?」と問い、天皇は「私も
神を信じている」と答えたそうな。 美智子皇后が天皇家の祭祀に非常に積極的なのは、実家のカトリック信仰(及び英国文化の影響)により培われた人智を超えしものへの畏敬とストイシズムによる、との視点にほぼ間違いは無かろうと。(続く)
 
Commented by rice_shower at 2008-02-20 10:35 x
(続き)
昭和天皇とバチカンの関係とか(http://mr826.net/psi/blog/070305)、今上天皇の少年時の家庭教師のバイニング夫人は、昭和天皇の「東部の、プロテスタントの女性を」との要望(英国教でも良かったろうに...)に沿ったものだったとか、興味深いエピソードも少なくないしね。

やっとマックス・ヴェーバー(『プロテスタンティズムの倫理と~』)を読み始める気になった。
Commented by ma_cocotte at 2008-02-20 16:36
❒ rice_showerさま、おお、エイメリカの話を引き合いに出してくださった。
コミュノタリズムの件でエイメリカの例を出そうと思い立ったけど、今回は
抑えてみたのです、実は。
サルコぢの狙いはエイメリカ型コミュノタリズムではないかとも言われています。

オバマンの信仰面についても現在、調べている最中です。
普通、ありえないのですよ。イスラームの改宗。それゆえ「隠れキリシタン」
な元イスラームが欧米にはたくさんおり、たまにドキュ番組も流れるほど
深刻だったりします。

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2008-02-20 16:47
❒ で、「皇室とキリスト教」ですが、元華族の明治維新後の宗旨を調べ
られると見えてくるものがあります。皇室側からだと姫宮方の降嫁先は
神社仏閣しか見えないと思いますよ。
天皇皇后両陛下の会話の中でのポイントは天皇陛下がおっしゃった「神」
がどういうものなのか、ですね。キリスト教なら三位一体 Saint Trinity、
他の一神教も含めるなら「全知全能の神 All mighty God」でしょう。
が、神道における「神」は全知全能を800に割っていることになります。
3どころではないのだな。いや、3に分けてもそれぞれが1なんぢゃが。

昭和天皇の末の姫宮さまのセンセはカトリック修道女どすえ~。
rice_showerさまはまだ小泉信三氏からは眺めてらっしゃらないのですか?
英國国教会・・・う~ん、英國王はローマ教皇と似たような役割を英國
国教会内では担っておりますんで、政教分離精神を養うには幼子には
混乱を来たすかもしれません。祭祀継承面ではいいのかなあ。・・・と、
ウィリアムやヘンリーの礼拝所作を見てはそう思ったりもしますが。
Commented by siojake at 2008-02-20 21:28 x
同じ時のお言葉、CM2のお子様方に云々…というの聞いて、連れと
「やっぱりこの人ってそっち方面バリバリなんだろうねぇ」
なーんて話しておりました。刺激的すぎますよ、あまりにも。

そういえばウチの街のマダム・サル側候補者は
「新しいモスクを市内に建てる」のを公約に挙げてたけど、トップダウンの
ご指示がそれなりにあったからかしらん?
聴いたときは単なる人気取りにしか思えませんでしたが。

所で、youtubeで大阪府知事がTV討論でバトルってのを見まして、
番組進行役キャスターの様子に呆けてしまいました。
言葉が理解できるから余計にってのは置いといて、こちらの討論番組の
「アニマトゥールは舵取り役、ゲストの皆さんは大激論」というパターンに
いつしか慣れてしまったのか、すごく見心地?が悪かったです。
Commented by ma_cocotte at 2008-02-20 22:46
❒ siojakeさま、CM2発言についてまもなくUPします。現在、脳内で
練り練り中です(爆笑。「聴講する自由を与える」とは聞いていません。
これ、いろんな意味で大変だと思います。わが地元のパレスチナ難民
マダムが瞬間沸騰するのが目に見えるようだ。

ところで、モスク建設の話をどう思われますか?
ココんちのフランスびと♂は約300の教会建築の放置(全壊待ち)で、
モスク建設を国が補助するのは疑問が残ると常に言っています。

昨晩のCe soir (ou jamais)も面白かったですね。
http://ce-soir-ou-jamais.france3.fr/article.php?id_article=435&id_rubrique=202
それにしてもサルコってフランスをどうしたいんでしょう?
公約違反もここまで来ると大したもんだと思うけど、マネはしたくありません。
Commented by rice_shower at 2008-02-21 10:03 x
>小泉信三氏
今上天皇の類まれとも云うべきバランスの取れた人格が、如何に形成され、キリスト教がどのように影響を与えたかを知るところから入ろうと、実は小泉氏の著書も注文したところです。(未だ、どんな人かは知らんのです)

ところで、シラクの隠し口座の件、こちらではこの程度の報道しか有りません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080202-00000067-san-in
産経はてめえの所(故鹿内信隆)が絡んでいた可能性大なのに、これで終わり? 他大手メディアも全然やる気無し。
フランスだけが頼り。
Commented by ma_cocotte at 2008-02-21 14:59
❒ rice_showerさま、
小泉信三氏に触れると福澤諭吉語録にもおみ足運びませんと。(^_^)
塾内で「先生」と呼べるのは福澤諭吉のみ。
一般教員は「さん」付で呼ぶあの環境の中でどういうspritが養われるか。

面白いですよ。
慶応義塾は福澤教ミッションスクールかもしれません。

シラク氏ですけれど、弁護士に最新エントリー(↑)に登場している
シモーヌ・ヴェイユ女史の息子を選んで挑まれておりますよ。
Commented by siojake at 2008-02-21 20:52 x
ma_cocotteさま、
>ところで、モスク建設の話をどう思われますか?

最初にこの文言を目にしたとき、対ドラちゃん用アイデアに詰まって
判りやすい餌の用意に走った?と思いました。
市営多目的スペース(会議や展示に使うような)を定期的集会に貸す位
ならまだしも、建設となると疑問。それ以前にするべき事は沢山ありますし。

大きな街でも修復に手が回らない教会や城は山ほど、先人の遺した
自国の文化を守らんでどうするんでしょ。
Commented by ma_cocotte at 2008-02-21 22:36
❒ siojakeさま、
ここのところ、今朝のテレマタンのキャトルヴェリテのセゴ姐発言を
見ていても思ったことですけれど、どっちが左派だか右派だかわからなく
なって来ませんか。野党は何でも政府の言い分に反論するのが仕事
だとしても、現在のPS発言はサルコぢ案より保守に思えたりもします。

この分だとドラちゃんの圧勝&楽勝でしょうね。

C dans l'air の投稿ではありませんが、ライシテだったら歴史でも
音楽でも美術でも宗教に触れるな!という条件を飲んだら、歴史を
語れなくなってしまうのではないかと。こういう意見を書く人物というのは
幼いか、かなり左傾か、ヒダリ寄り移民のいずれかですよね。

モスクの話はパリ・モスク内の親アルジェリアという政治的問題が
深く絡んでいると言う話も漏れ聞きました。
私はこの件についての国庫金援助には疑問あり。
Commented by at 2008-06-13 05:53 x
ずいぶん昔のエントリへのコメントで失礼いたします。さるこさんは就任直後からなんかやるたびに知人のフランス人が「酔っ払って記者会見に出た!」とか「また○○!」と逐一報告に来てくれるので(ていうか愚痴)やあマリアンヌの中の人も大変だなと面白半分に見ていたのですが、ううん、ほんとうに大変なのでありますね。

>ライシテだったら歴史でも音楽でも美術でも宗教に触れるな!という条件を飲んだら

culte de l'Être Suprême ... (めまい) いやそれほどひどくないことを祈ります。ええ。本当に。
Commented by ma_cocotte at 2008-06-13 06:36
★ 鰤さま、おそれ入谷の鬼子母神でございます。
日本國在住でらっしゃいますよね?朝お早くございませんか?
フランスびと人脈もございますか。
ぜひ、サルコがLa Conscienceとマスコミに譬えられているとお知らせ
くださいませ。元はカトリックが国教だった国で良心は=神ですから、
サルコが良心に譬えられたのは「ユユシキコト」だと拝察しています。

が、この一年、私利私欲が優先しているようにしか見えません。
神聖皇帝サルコ一世です、本当に。(涙
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