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元祖・生臭坊主の影響力は今も絶大。
少し前ですけれど、ココんちの郵便受けにこのようなチラシが入っておりました。
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ど、どんっっ!

このコメカミに青筋立ったおっさん、誰よ?

えとですね、このおっさんですけれど、アルマン・ヂャン・デュ・プレシ・ドゥ・リシュリュ Armand-Jean du Plessis de Richelieu とおっさる、苗字に「ド de 」が二つくっつくモノホンのおフランス貴族(三男坊に生まれながらも家督を継いだ時は侯爵で、司教就任時に男爵の称号に移行したそうだ)で、もひとつおまけにこの方にはカーディナル Cardinal、=枢機卿なんて称号も付くのです。カトリックの聖職者でありながら、ルイ13世に愛された政治家でもあり、フランスではいまだ絶対権威あるアッカデミィ・フォンセーズ Academie Française の創立者でもあります。ソルボンヌの学長職に就いたこともあるんだぜ。つい最近、中米はパラグアイでルゴ司教が大統領に選出されましたが、大統領の椅子と引き換えに司教というか司祭としての「聖職停止」状態にルゴさんはありますけれど、リシュリュさんはまんべんなく聖俗職両天秤で生涯を終えた方であります。リシュリュ宰相&枢機卿の生きた時代にライシテ laïcité、徹底政教分離なんて言葉があったかどうか、それこそアッカデミィ・フォンセーズにお問い合わせでございます。

さて、1585年9月9日パリに生まれ、1642年12月4日に帰天したリシュリュ枢機卿ですが、なぜか今年がチラシのごとく1608-2008で400年記念祭なんであります。

なんで1608年?
リシュリュ卿のお誕生日から計算すると1608年のリシュリュさんは23歳ですけれど?
で、チラシの裏を見てみました。

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目ぇ凝らせば読めなくもありませんが、中ほどにこんなことが書いてあります。
..., en cette anneé 2008 qui marque le 400éme anniversaire de la nomination du futur de Louis XIII comme évêque de Luçon.
2008年はリュソン司教としてルイ13世の未来の『首相』が任命されて
400年目に当たります。
だから、ヴァンデ Vendée 県の県会議で今年2008年を「リシュリュ年 Anneé Richelieu」に決めたンですと。つまり、1608年はリシュリュ師が23歳の若さでフランス中西部はリュソン教区の教区長(=カトリック教会の職、司教 evéque と呼ばれる階位)に任命された年なのです。そ、それを理由に県議会が「リシュリュウ記念年」決定とは
思いっきり、政教一致 ヾ(`◇´)
ヴァンデ県の政治の最長上は、前回の大統領選にも出馬した右突き当たりから二番目に座す(近未来には右突き当たりになるだろうと噂されている)フィリプ・ド・ヴィリエ Philippe de Villiers 氏ですからね。公では右突き当たり、私生活ではカトリックの伝統主義者で、6人のお子達のうちひとりは宣教女だとか。この最長上の個人の事情を省いても、ヴァンデという県はふくろう党やら 大革命時のカトリック教徒虐殺 の事実を未だ引き摺り続けている土地です。てか、732年のポワチエの戦い以降、ポワチエから大西洋岸にかけての土地は何百年もの間断続的にあらゆる宗教の戦場でしたけれど。翻弄されたのはいつも庶民。

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↑ 戦場ラ・ロシェル La Rochelle でのリシュリュ枢機卿 ↑
左に見えるトンスラーズはフランシスカンとベネディクタンでないかい?


リシュリュ師ですが23歳で国王の一存で司教職に就いたり、1622年12月、37歳で国王から枢機卿に任命されちゃった、現代では早すぎる出世というか、任務を受け入れた方ですけれど、カトリック司祭でありながら戦闘士となったり、政治や教育にも関わった方で、女性関係も華やかだったという話もございます。そんな彼が死を目の前にしてこの世で最期の告解で告白した言葉は「私には国家の敵より他に敵はなかった」で、おフランスのためならば彼の意向に沿わないナンピトも「国家の敵」と見做し「信賞必罰など必要無い。必罰だけが重要だ」と裁きまくったカトリック聖職者でもありました。が、リシュリュ枢機卿はヒトに厳しく猫に甘かったという嘘か真かの記録もあり。(どこぞの 教皇B16 とお似ましか?)
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猫というものは、実にかわいらしい動物ぢゃな!
サロンの虎ぢゃな。なんと柔らかなものか!ひどく優しいものぢゃ!

Le Cardinal bâilla trois fois sans cesser son jeu, et dit :
— C’est un bien joli animal qu’un chat ! c’est un tigre de salon : quelle souplesse ! quelle finesse extraordinaire ! Voyez ce petit jaune qui fait semblant de dormir pour que l’autre rayé ne prenne pas garde à lui, et tombe sur son frère ? et celui-là, comme il le déchire ! voyez comme il lui enfonce ses griffes dans le côté ! Il le tuerait, je crois, il le mangerait, s’il était plus fort ! C’est très-plaisant ! quels jolis animaux ! 
@Cinq-Mars, Chapitre XXIV, Le Travail
こんなエエ氏出の三男坊リシュリュウ枢機卿ですが、生まれながらの虚弱体質は生涯変わらず、発熱、呼吸困難、肝臓疾患、神経痛、偏頭痛、不眠症、憂鬱病、痔疾、膀胱疾患、皮膚の腫れ物などに悩まされながらも、おフランスの近代化に尽くされた大政治家かつ大文化人として今も崇め祀られていたりします。なんと彼の名を戴いた戦艦リシュリュー号なんて存在しますね。この持病から想像するに思い切り弱そうな軍艦ですけれど、1939年から1958年まで活躍、1945年には東京湾に入港しています。そして、1635年にリシュリュ卿によって創立されたアカデミィ・フォンセーズは「フランス語の純化機関」であります。外来語受け入れのハードルは未だ常にあまりに高しですが、ここ数年、男女職務表現の無差別化で甘いという噂を小耳に挟んだりしています。その話は横に置いて、もう一方の横に置いてありそうなリシュリュ卿の話題を拾ってみますと、カトリック聖職者としてのリシュリュ師は初めてフランス語でミサを司式した人物とも言われています。ミサがラテン語一本化したとされるトリエント公会議は1545年から1563年にかけて開催されておりますから、リシュリュ師はもしかして違反を犯されてらっさることになるかもしれません。余談ですけれど、トリエント公会議前までは各国語での背面ミサがあげられており、B16が昨年7月以降、この典礼で司式されたりしています

ところで、このリシュリュ年のイヴェントですが、チラシの中に一覧表。
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そもそもヴァンデ県ですが、中世遺跡がそこら中にゴロゴロあり、それを文化遺産として守っているのはよろしうござんすが、ほとんどに入場料が付きまとうという他県では見られぬ集金手段。こんなチラシの中から「入場無料 Gratuit」というキーワードを探すのが喜びとなっている私ですが、そりゃ、上のチラシの右下から二番目に注目ですわよね。
MESSE SOLENNELLES 荘厳ミサ
なんと、9月21日と12月21日の二回もリュソンの司教座大聖堂 Cathédrale de Luçon であげられます。9月21日のごミサは司式者がCardinal Poupard プゥパァ枢機卿ですと。cf. Paul Joseph Jean Poupard
この 大聖堂のオルガンも有名 みたいですし、ふむぅ、目と耳の保養にもなる至福の2時間未満でありましょうか。私の9月21日は日本國内潜伏中であります。残念!

超スペシアルウルトラスーパーど貧乏な私がリシュリュ年に何ができるかわかりませんが、
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このような名前の薔薇を園芸店で見つけました。カーディナルなのに真紅の薔薇ではなく、
 の薔薇 ねぇ。
肥沃から程遠いココんちの庭でリシュリュさまが開花してくださることを祈りつつ。( ̄人 ̄)

le 22 mai 2008, Emile
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by ma_cocotte | 2008-05-22 17:31 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(12)
Commented by 伊望 at 2008-05-22 23:05 x
リシュリュー枢機卿といえば、三銃士での悪役ぶり!というか策士ぶり!!!
憧れました。。。

日本の後白河法王と同じように煮ても焼いても食えないイメージがあります。

・・・というのはかのデュマ大先生による子供時代の刷り込み(笑)

ともかく僕が役者だったらぜひやってみたい人です。
ダルタニャンよりよっぽどステキだと思います。
Commented by LYS at 2008-05-23 02:53 x
紫の薔薇楽しみにしてます。ところでエントリーとかけ離れて恐縮なのですが。フランスでは外国人に地方参政権を認めているのですか?

ルモンドで外人に対する参政権を付与する法案が否決されたとあったのですが、国政を含み全ての参政権のようです。

外人でEU諸国の国民とアジアのようにEU以外からの外人で地方参政権資付与資格に違いがあるのでしょうか?
Commented by ma_cocotte at 2008-05-23 04:59
☆ 伊望さま、
リシュリュウというヒトはまさに「悪の後白河」かも。
彼の公の業績はもちろんのこと、私生活は知れば知るほど摩訶不思議
なので引き込まれますね。そもそもこの三男坊、次男である兄が教区
司祭から修道司祭になったことで、無理やり教区神学校に進学させられたとか。
その次男は後にリシュリュウのコネやらネゴで大出世、結局、修道司祭
の立場ではいられなくなったそうです。なんだかひっちゃかめっちゃかな
時代ですわ(これだから、太陽王の時代につながるのかも)。

リシュリュウが登場する小説、あらためて読んでみたくなりました。
Commented by ma_cocotte at 2008-05-23 05:10
☆ LYS さま、
フランスでは外国人に地方参政権を認めていませんよ。
外国人に参政権を与えると公約したのは大統領選時のセゴ姐です。
とんでもないと思ったのは私だけではあるまい。ですが、イスラーム移民
には魅力的な公約だったみたいです。EUのガイジンにも選挙権はないと
思いましたけれど。ただ、マグレブやアフリカ出身者に多い二重国籍者は
参政権がございますよ。

LYS さんがおっしゃる「ルモンド」ですが、全国紙の「ルモンド」ですか?
http://www.lemonde.fr/
それとも「ルモンド・ディプロマティク」ですか?
http://www.monde-diplomatique.fr/
Commented by LYS at 2008-05-23 10:49 x
お手数をおかけします。全国紙です。
http://www.lemonde.fr/societe/article/2008/05/22/l-assemblee-refuse-d-accorder-le-droit-de-vote-aux-etrangers_1048540_3224.html#ens_id=1031893

Il s'est étonné que "l'on n'admette pas le vote des Européens aux élections régionales et cantonales" alors qu'ils peuvent voter aux municipales.
フランスの選挙制度についての理解が無いからだと思うのですが、elections regionales,cantonales, municipalesの違いが理解できないです。(日本だと国政、と地方選挙の二つ)
国政選挙 :les élections présidentielle, législatives,
地方選挙 :locales (municipales, regionales, cantonales)
EU :européennes 
Commented by ma_cocotte at 2008-05-23 15:37
☆ LYS さま、
regional(e) は地方議会を指し、複数の県で作る共同体です。
よく見聞するのはPACAですね。プロヴァンス、コートダヂュール、オザルプ
地方の共同体です。わかりやすいのがFrance 3 地方局の区分です。
こちら↓。政治もほぼ同じ区分です。
http://jt.france3.fr/

次にmunicipal(e)ですが、これは「市」をさします。わかりやすいのが、
Police Municipale の存在、市警です。が、日本と都市形成がまったく
異なるので、大抵、市にはcommune コミューヌという形で町村規模の
集落とも提携しています(例えば教育や職安、保険事務所など)。

現段階でEUの他国人や外国籍者に選挙権を与えたら「フランスは
終わり」だと思います。そこまでして票が欲しいのか、と哀れに思ったり
もしますね。>PS
Commented by anbai at 2008-05-23 18:11 x
400年前というと、日本では戦国の世ではないですか…多分。
何だか、時代まつりか何かのノリなんでしょうか?

あ、紫のバラというと…「ガラスの仮面」を思い出す私です。
地元にも、割と規模の大きいバラ園があるのですが、これほど鮮やかな紫を観たのは初めてです。

元々のバラ園(個人所有)
http://www.590.co.jp/bara.html

移植先:国立越後丘陵公園
http://echigo-park.jp/guide/flower/rose/index.html

どんな香りがするんでしょう?開花を楽しみに待ちます。
Commented by ma_cocotte at 2008-05-23 19:45
☆ anbai さま、
このリシュリュウ400年祭りが開催されるヴァンデ県はどちらかというと
中世史萌えスポットで、中世のテーマパークまであったりします。
リシュリュウは近世フランスの礎を築いたひとりでしょうかねぇ。
なんか彼の生涯を知れば知るほど、公私混同時代に思えなくもありませんが、
これから始まる太陽王の時代を考えれば「なるほど~」と思ったり。

いただいたURLの中の一重のバラが美しいですね。
たぶんカクテルという品種だと思います。
紫のバラ、カーディナル・ド・リシュリュウの開花が私も楽しみです。
つぼみがたくさんついた鉢を買ったのです。
オールドローズなので品の良い香りではないかしら?
Commented by Miruba at 2008-05-24 15:53 x
こんにちは

リシュリュー400年祭でしたか~全然しらんかった^^
日本オランダ年が400周年なのは知っていましたが^^

リシュリューさんはアンリ4世が暗殺されたことその後のルイ13世のころも何度も毒殺計画が噂されたことから非常に食べものには注意したそうですよ 体調があちこち悪いのも なにか盛られたのではないか とかんぐっていたようです ですから 自分の食事は猫たちにまず食べさせたそうですよ
猫が大好きではあったけれど 自分の命には変えられない ということでしょうね
Commented by 日本人 at 2008-05-24 15:56 x
解説ありがとうございます。

昨日出かけた折、花やの店頭で薄ピンクの大ぶりの薔薇を見かけ、思わず名前を確かめたところ、Pierre RONSARDでした。バレリーナノチュチュのように幾重にも花びらビラかさなり 厚みのある平べったい花に重みを感じました。エピキュリスムを代表するTOURS出身の中世の詩人の名前です。ホネテリックの授業でクィエ、クィエ レ ローズと暗唱してましたっけ。薔薇を名前で収集するのも面白いかも。今日は都心のビルの屋上庭園で プリンセス ドゥ モナコを見てきました。ピンクと白のグラデーションで大ぶりの薔薇には見られない凛とした品を感じました。紫色の薔薇もありました。 いや~薔薇っていいですね。
Commented by ma_cocotte at 2008-05-24 16:14
☆ miruba さま、
なんと、リシュリュウ卿!
猫に毒見をさせていたとな。許すまぢ。
というか、リシュリュウ卿のお取り巻きがクセモノ揃いだったという話も
ありますね。特に、僧服着た連中。
リシュリュウ卿に惹かれるのも心身の強弱が入り混じっての人生だから
なのかもしれません。知れば知るほど面白すぎ。

ココんちのフランスびと♂が「フリスキーが美味しいよ」と先日。(^_^)
Commented by ma_cocotte at 2008-05-24 16:16
☆ 日本人さま、はじめまして。
バラ、いいですよね。大好きです。
ピエール・ド・ロンサールは賞総なめのすばらしいバラですね。
こちらでも他とは別格の特別価格で店頭に出ています。
いつかはきっと!ですけれど、私に果たして育てられるのか。それが問題だ。
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