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あのヒト、ロクハチだから。 Il est SOIXANTE-HUIT, donc...
この、2008年5月の一ヶ月間、テレビで繰り返し流れていたのは、先日つぶやいた「イスラエル建国60周年」に関する番組と、もうひとつは「Mai 1968 メ・ミルヌフソンソワサントユイット」、1968五月革命についての番組でした。
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*TF1 : Mai 68-Mai 2008
*France 3 : Mai 68
*France 2 : Mai 68 "Sous les pavés la page"
日本國の人々でフランスの1968五月革命を知るヒトはフランスに関わられる方がほとんどかと拝察します。私なんぞはフランスという国にさして興味を持っていなかったので、「フランス」と「革命」の二つのキーワーズならば、自ずと目の前にはオスカルさまが幻覚となって現れ、口からは「フランス大革命、いちななはちく」と大学受験時代とさして変わらぬリアクションしかできなかったりします。

ところが、フランス共和国という国では「革命 Révolution」と聞くと、「68? ソワサントユイット?」と山川問答するヒトが多かったりします。大昔、私が南仏の学生街で一人暮らしをしていた時、電話番号交換を仏蘭西びととしたら、私の電話番号の中に 68 ソワサント・ユイット というKWが入っていたので、反射的に「ソワサント・ユイット?なんてすばらしい。あの革命と同じ数字だ」と言ってきました。当時、フランス無知の私はそう言われても脳内蛍光灯でしたし、着灯する前に自分からスイッチを切ってしまったのも事実です。が、その後、こうしてフランスに住み続けていると、やたら 68 ソワサント・ユイット でピクンっ!と反応し、68という数字を賛美するヒトに出っくわすことばかりです。

でー、Mai 1968、学生革命ですけれど、1968年5月にユダヤ系のアナキストさんであるダニエル・コーン=ベンディット Daniel Cohn-Bendit 氏が中心となって蜂起した反体制運動で、5月21日にパリで起こった暴動がその頂点の日として今も語り継がれていたりなんかします。当時の大統領があのシャルル・ド・ゴールだったというのも時空間の中で浮遊してしまうような感覚に襲われたりもしますが(そんな昔?と思うか、ついこの間なのにド・ゴールがいたのか!?と思うのか)、この運動でまず要求されたのが
教授独占の位階体制に対する民主化要求
で、この革命の成果は
1.教授の権限の縮小
2.学生の主体性を文部省が公的に承認
3.アグレガシオン等の民主化
4.大学自治の確立
正直、「ふーーーーん」としか言えない。というのも、自らフランス共和国という国の国立大学に21世紀に入ってから通ってみたけれど、教授の権限はニホーンとは比べ物になりませんです。威厳ありすぎマンボ、シャカシャカ。学生の主体やら自治というのは「大学だから」というより、既に高校生にもなれば支持政党を持ち、満足も不満も心に沸いたあらゆる感情を公共でのデモ行進やら学内ストライキで表明する自由が与えられていることを指すのかな、と思いますね。高校にも大学にも全国規模の組合がありますし、その活動は成熟したものです。ガイジンであるあてくしが楽しみにしていた授業にいきなり学生労働組合が後方からビラ撒きしながら侵入してきて、教授が「どうぞ」と1m以上の高さある教壇を譲るなーんて映画のような場面はこの眼で何度も見ています。こういう時だけ教授は学生に優しいというか甘いけれど、教授は教授でこちとら寝ずに準備した定期試験をいきなりストライキで中止にしやがったりしますから。
バス代、返せ。ヽ(`Д´)ノ
アグレガシオーン Agrégation (一級教員資格)とカペス C.P.E.S. (中等教育教員適性証)については、あてくしはガイジンながらもすんばらしーシステムだと思います。なんというかあらゆることが浄化されたシステムだと思うけど、今月今夜のこの場所ではそれについては書きません。

この学生革命について小難しいことはよく知らないけれど、それまで公立大学に住み込みでいたカトリック司祭を追い出したのも「成果のひとつ」ですね。昨年、帰天された リュスティヂェ枢機卿 は1968年当時、ソルボンヌの住み込み司祭 aumônier で学生たちに追い出された一人だと聞いた記憶がございます。

で、21世紀のおフランスの市井、それも、ド庶民の中での68 ソワサント・ユイットですけれど。いかなるシチュエイシャンにおいても伝統を嫌って自分が機動力となっての改変こそが素晴らしいなんてほのめかす60歳くらいの人物がいたとすると、誰かが必ず「ああ、あのヒト、68だから」とボソっとつぶやいたりします。当時学生だった年代だけでなく、68革命で恐怖を心底味わっちゃって今ではやたら「伝統軽視・改革支持」を唱えるぢっつぁま、ばっつぁまも「68扱い」されたりします。
1968年当時生まれていない「若いもん」に。ヾ(`◇´)
でも、若いもんに「68(日本びとの私はあえてロクハチと読みたい)」と揶揄されてしまう彼らにとっては「あの頃、キミは若かった」と何もかもがキラキラして自分自身はぴちぴちだった頃をノスタルジックに懐かしんでしまうのも無理はありません。「68」の言い分では、彼らの親世代は懐古するばかりで「新」を見出そうとしないそうです。が、あの革命を経験した自分達は老いて尚、先を見ているかのような主張をします。
ガイジンとしての私的傍観になりますが、1968年から40年が経って、あの革命についての盲目的賛美は年々小さくなっているように見えるし、その革命賛美の火を消してはならないと蠢く団体も怪しくも多々ありますね。反体制革命だから中道より左を涼やかに眺める必要がありますが、フランス共産党(PCF)などは当初、この革命に賛同したものの、その底辺に主導者ダニエルのようなアナキストやトロツキスト主義者がいることを批判していたりもします。

そーこまで深刻でなくとも、例えばモナコのカロリーヌ王女のようにこの革命の影響を受けて育った上流階級の子女がT-シャツやジーンズを身につけたり、庶民風のアパルトマンをパパに買ってもらって「新しい時代」を楽しみ、婚姻なしに同棲を始め、他人の眼から見れば「ごく普通の家庭」を作ったりするなんて「上流階級の新しい遊び」を始めたりもしました。
40年経ち、現在のカロリーヌ王女は三度目の結婚にして保守的な立場にあらっしゃいますけれど、市井にはマリタル maritale (正式には婚姻していない)家庭だらけですし、子供が誕生してから結婚を決めるカップルもたくさんいます。

自分が改革の先頭であり続けたい彼らも60歳。65歳まで定年延長なんて案が通ったのも、彼らが改革の先頭だからこそであって、自分達が先頭にいたいがためにリタイアを彼らの力で先延ばしにしたのかも。...なんか、そう思うとアホらし。ε= (´∞` ) Bof 

le 31 mai 2008, Lise-Marie ← Elizabeth と Marie の複合名ぢゃな。
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by ma_cocotte | 2008-05-31 20:22 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(3)
Commented by 伊望 at 2008-06-03 22:39 x
伝説の”赤毛のダニー”(といっても僕の場合リアルタイムでは知りませんが)今や欧州議会議員なんですね。

一つ教えていただきたいことは、五月革命で結局何が変わったのでしょうか?
つまり、マリタル maritale家庭とか家庭或は性規範以外で。

フランスは左派の社会党であれ今に至るまで徹底した『エリート主義』でしょ?
(僕自身はエリート主義自体はそれ程悪いことだとは全く思いませんが)
Commented by ma_cocotte at 2008-06-03 23:44
☆ 伊望さま、
ダニエルさんですが仏蘭西国籍を破棄して、現在は独逸国籍らしいです。
仏蘭西にも「緑の党」が存在するけれど、この方につながるとなると、
アナキストの一派扱いされてしまうのでしょうか。なんだかなー。

5月革命によって変わったことといえば、大学からカトリック聖職者を完全に
追い出したことがひとつでは?それまではAumônie(=チャプレン)rが
認められていたらしいです。(現在も公立病院のAumônier制度は残って
います)
もうひとつは高校生や大学の組合の自治が認められたことではないでしょうか。
高校:http://www.fidl.org/
大学:http://www.unef.fr/

どちらも背後に政治が絡んでいますし、毎年夏には各政党が若い党員
探しで活動するのも常です。

続きます。
Commented by ma_cocotte at 2008-06-03 23:44
☆ 教授の権威ですが、ガイジンの私の傍観では現代においても日本の
それと比べたら比べ物にならないほどの絶対権力があります。
エリート主義も階層も仏蘭西には残っていますし、階層が違えば
無言を貫かれるのも日常茶飯事で見かけたり、自ら経験したりします。
もちろん口をきいてもらえない、目を合わせてもらえない立場がわたくし。

上手に表現できませんが、先導する者のカリスマは必要だと思います。
もちろんそれが反社会につながるのであったら困りますが。
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