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«C’est un sacrifice»
«C’est un sacrifice» せたんさくりふぃす
"un sacrifice" を「犠牲」と訳すべきか、それとも「生贄 いけにえ」と訳すべきでしょうか。

昨日21日はお昼前から国営放送France 2 で、先日18日にアフガニスタンで旧支配勢力タリバンとの交戦で死亡した10人の戦士 Sébastien Devez, Damien Buil, Nicolas Grégoire, Rodolphe Penon, Melan Baouma, Kévin Chassaing, Damien Gaillet, Julien Le Pahun, Anthony Rivière, Alexis Taani の国葬が生放送されました。葬儀はまず、フランス共和国軍教区 Diocèse aux Armées Françaises のカテドラルである聖ルイ聖堂 l'église Saint-Louis des Invalides にて、10人の犠牲者のうちひとりがプロテスタント信者だったこともありエキュメニカルの語を冠した葬儀ミサがあげられました。
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司式は共和国軍教区長パトリック・ル・ガル Patrick Le Gal 司教さま。写真(↑)、聖俗を分ける柵の右に見える黒のガウンが牧師先生です。
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Photo par PATRICK KOVARIK@AFP
動く映像ではこちら(↓)
Dernier hommage aux 10 soldats français
http://videos.tf1.fr/video/news/0,,3989847,00-dernier-hommage-aux-10-soldats-francais-.html
一度の戦闘で10人の犠牲者を出し、こうしてアンヴァリッドで一度に10の棺が並び、見送られたのは、1983年レバノンはベイルートで自爆テロに巻き込まれて一度に58名の犠牲者を出して以来だそうです。
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↑ 1983年11月2日の葬儀 ↑ Photo par AFP

聖堂内での「聖の行事」後、10の棺がアンヴァリッドの中庭に移され「俗の行事」が始まり、恒例の犠牲者へのレジオンドヌール勲章の授与や国家元首による送別の言葉などがありましたが、いくら勲章をいただいても、大統領に«dix fils de la France フランス共和国の息子だ»と美辞麗句を塗ってもらっても、遺族の思いも、この日一日を「喪に服す」ことになった共和国民の思いも複雑ではないでしょうか。大統領の言葉の中に、冒頭の«C’est un sacrifice»なる一文が入っていますが、この文を訳すのに「犠牲」がいいのか、「生贄」がいいのか、共和国でガイジン寄生者に過ぎない私の立場でも選択に困ります。
10人の犠牲者ですが、最年少は19歳、年長が40歳で、フランス外人部隊所属の兵士やニューカレドニアの部隊から派兵された兵士もいましたし、犠牲者のうちひとりは先月22日にアフガン入りして一ヶ月も経たないうちに帰天してしまいました。

この式典から一夜明け、ニュウスで繰り返し流れていることは55%の共和国民が仏軍のアフガン撤退を希望し(追記:22日昼のニュウスでは共和国民の左傾支持65%、右傾支持61%が撤退希望)、昨日の葬儀でのサルコぢの弔文に納得した共和国民は48%ほどだったということです。
b0070127_17123318.jpg今回の戦闘が明らかになってまもなく、フランス陸海空軍の最長上であるヂャン・ルイ・ヂョルヂュラン Jean-Louis Georgelin 氏(写真、Photo par AFP)が、Mission très difficile、つまり「とても難しい使命」が犠牲となった彼らに課せられていたと記者会見の中で繰り返していたのが印象的でしたが、フランス共和国軍がなぜアフガニスタンに駐留し続けているのか、こんなド偉い方に質問はできませんが、巷で普通に聞こえてくる大義名分は「アフガニスタンの秩序回復とテロ防止」などなど。そんな理由を聞いてしまうと、ついうっかり、
だったら、撤退したら?(-。-) ボソッ
と、口からぼろっと出てしまったりします。
彼らがテロるのは異教徒がアフガンにおせっかいを焼き続けていることが原因のひとつだし、アフガンの生活秩序は必ずしも欧米の秩序と噛み合うわけではありません。こうして引き取られた遺体にキリスト教の祈りが捧げられていること自体、タリバンにとっては自爆したくなるほどの怒り事項なんだからして。欧米がイスラームに改宗して国教にでも定めない限り、大なり小なり、彼らにとっての聖なる戦闘はアフガニスタンの土壌で続くでしょう。精神世界がタリバン思想の大部分を占めているのに、欧米はそれを根こそぎ抹消して、欧米風の秩序が取って代わると安易に思っているのでしょうか。そりゃ、ある種、傲慢ではあるまいか?

私が通っていたフランス語講座にはアフガン難民の女性がいたけれど、避難先のイランで夫と生き別れ、彼女は5人の子供と共に難民として来仏。政府にあてがわれた4DKのアパルトマンに住み、ヴァカンスのたびに欧州中に散らばる親戚を互いに訪ね、共和国民より贅沢な暮らしをしていたりします。そういう物質面は横に置いても、当初、命を救ってもらったことでフランスでの常識的な格好をしていた彼女が徐々に再びスカーフを親戚への忌中を理由にしてかぶり始めたままそのまんま、肌身離さずつけている「神は偉大なり」とアラビア語で書かれたペンダントをつけたままご不浄に行ったことで授業中におかしくなっちゃったりしているのを傍観すると、彼女がいずれ母国に戻れた方が彼女にとっては生まれながらの道徳の中で安穏と暮らせるのではないかと私ゃ思ったりするのですが、物質的快楽を知った彼女はフランス国籍を獲得することを目標に掲げています。アフガニスタンに平和が戻ったら、フランスから定期的に通うのが理想だそうで。こんな夢想を彼女に与えたのはフランス共和国です。

現在、約3000人の仏共和国軍兵士がアフガニスタンに駐留しており、サルコぢは今回の件があったにしてもその方針をまったく変えるつもりがないという意思を表明しています。アフガンだけではありませんが難民に「ずっとフランスにいたい」と思わせる生活を提供する一方で、共和国民として生まれ育った兵士を「国家の犠牲」として捧げ続ける・・・うーーーーーん、脳内便秘になりますね。やっぱり「生贄」という和訳が適当なのかもしれません。

le 22 août 2008, Fabrice

<アフガン>仏軍部隊待ち伏せ攻撃…10人死亡、21人負傷
8月19日20時56分配信 毎日新聞

【バンコク栗田慎一】アフガニスタンの首都カブール郊外で18日から19日にかけ、パトロール中の国際治安支援部隊(ISAF)のフランス軍部隊が待ち伏せ攻撃を受けて戦闘となり、フランス兵10人が死亡、21人が負傷した。北大西洋条約機構(NATO)が率いるISAFのアフガン展開後、1回の戦闘では最悪の外国兵士の犠牲者数となった。▼現場はカブールの東約50キロのサロビ地区。AFP通信は仏当局者の話として、攻撃したのは旧支配勢力タリバンだと伝えた。▼サルコジ仏大統領は「仏部隊はテロとの戦いで大きな打撃を受けた」と述べ、19日中にカブールへ向かう意向を表明した。▼仏軍は02年から、比較的治安のよいカブール周辺に限定して約1500人が駐留してきた。昨年就任したサルコジ大統領はアフガン和平構築への積極関与姿勢を示し、今年3月に増派を表明。現在は約3000人が駐留している。仏軍のアフガンでの死者は、今回の事件で計24人に上った。



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by ma_cocotte | 2008-08-22 17:54 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(6)
Commented by rice_shower at 2008-08-23 11:09 x
それまで米の戦略的支持を得ていたタリバンが、徐々にアルカイーダに“乗っ取られていく”プロセスを丁寧に取材したNHK記者のノンフィクションを読んだ事が有るのですが(『大仏破壊』高木徹著)、彼らを引き留める、正気に戻すチャンスはいくらでも有ったのです。
当初はビン・ラディンとも客人としての一定の距離を保っていたし(出て行って欲しいと通告していた時期もある)、キリスト教徒(欧米人)の女性歴史学者をレスペクトを込め客人として厚遇していました。
ところが最後は「国連、欧米は内情を承知せず厳しい要求を突きつけるだけ。 そんな時、唯一(経済的、軍事的)助けてくれたのがビン・ラディン」とアル・カイーダの守護者となってしまうのですね。  
残念でなりません。
Commented by ma_cocotte at 2008-08-23 15:29
★ rice_showerさま、

うむむむ。アフガニスタンの現状パロディ
http://www.youtube.com/watch?v=msQID866Szg

欧米はアフガニスタンをどうしたいのでしょうね?
もし秩序改善やらテロ防止という目的が本当だとするなら、撤退が良いと
思います。フランスは今のところ、55%の共和国民が撤退支持です。
これ↓、食糧援助のパロディです。
http://www.youtube.com/watch?v=KcxayCfkxXk

なんというか国は国民で成り立っているし、国民は成長する過程で
土壌と生活文化があって成熟していくのですから、このレベルで
欧米が欧米秩序や道徳を押し付けただけで、彼らの心に葛藤を招く
だけですし、もともと彼らが携えている道徳には葛藤が心に起こった
場合の解消法が欧米では「非常識にあたる」ことです。
政治という上澄みを取っ払っても、地球が滅びない限り、土壌と生物は
存在する。欧米が彼らをほっておけない真の理由は何でしょう?
Commented by rice_shower at 2008-08-23 19:15 x
(行った事無いけど)マレーシアではモスレムの習慣であるスカーフを巻いた女の子が、男性と腕を組んで街を歩いているのだそうですよ。

サダム・フセインの前で踊る女性に、生涯のベスト3に入れたいくらいの美人を見つけたこともある。 (あと二人は藤原紀香と最後の香港総督の娘さん。 とんでもない美人だった)

♪僕の髪が、肩までのびて、君と同じになったら、世俗化しようよ♪
Commented by ma_cocotte at 2008-08-23 19:32
★ rice_showerさま、
「僕の髪」を「僕のヒゲ」に変えると現実味が増します。

相手が生涯を添い遂げる異性ならば腕を組んで歩くのはたいちょぷな
国もあるかと思います。ちなみにおフランスでは現在も男女別に自家用車に
乗る宗派の方々もおります。フランスの習慣だと男性だけで満席の車って
おっそろしく恐ろしいのでありますが。
ノリカさんと言えば、村井理子さんのブログでのヲチ・エントリーが爆笑ですね。

http://www.fugafuga.com/m/2008/07/post-146.html

チグリス・ユーフラテスあたりから地中海東岸のノマドを祖とする女性は
美しいですね。あのむっちむちに灰色の瞳は「天が与えたまふた」と
エンッシャラーのアーミン、ハレルヤです。
Commented by at 2008-08-25 08:17 x
彼等にとっての聖戦がアフガンの土壌の上だけですめばまだよいのですが。

エジプトは腕を組んで歩いているのはみなかったなあ。でも男女が組になって手を繋いでダンスするのはOKみたいでした。むろんエジプト全土でそうなわけではなく、特定のエスニックのなかのことであり、ベドウィンならありえないことのようです(ベドウィンの場合、そもそも女性が既婚未婚に関わらず屋外に出るということがありえない)。

世俗化というよりは、エスニシティの問題であるようにも思います。もっとも彼等はそれをエスニシティとは自覚せず、すべてイスラムに結びつける傾向があるようですが。タリバーンがイスラムとしてはかなり非正統的だという指摘もありますね(パシュトゥの部族的慣習とイスラム法の要求が彼等の中では分離されていない)。
Commented by ma_cocotte at 2008-08-25 16:43
★ 鰤さま、
エジプトは原理化が進んでいる国なので、腕を組むのは難しいかも
しれませんね。アフガニスタンはペルシャ語を話す国ですし、血統が
アラブでないためにイスラーム国の中でもアフガン人にとってはストレス
がある国だったりします。
イスラームは宗教で括れないので、イスラームそのものが世俗であり
宗教であり法でもあり、「人間の生そのもの」ではないでしょうか。
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