<   2005年 08月 ( 21 )   > この月の画像一覧
下手な鉄砲、いくら撃っても下手のまま。
8月も31日になりました。
フランスでは明日9月1日から新学年が開始します。フランス語で Rentrée (ラントレ)と言います。とは言っても幼小中高のラントレが明日からで大学生にとってのラントレは10月,彼らの9月は学生それぞれによって天と地のような違いがあります。

フランスの大学は前後期に分かれており,前期試験は1月,後期試験は6月に行われます。試験は20点満点,10点以下は不合格。各学科の規定取得単位分の試験に合格しないと落第になります。9月は前後期試験で落第が確定した学生に与えられる最後のチャンス,再試の一か月になります。一方,前後期試験で進級確定した学生にとって9月は夏休みの延長線にあります。

このフランス式配分20点満点というのは100点満点の感覚で育った日本人には非常に厳しいものです。そして再試には決して前後期試験と同じ内容のものが出ません。そしてそしてほぼ全ての試験は論文形式によるものです。

9月は在学生にとって敗者復活の一か月ですが,新1年生と修士,博士課程にとっては登録の季節でもあります。
フランスの大学に入るためにはバカロレア資格(Baccalauréat,略してBac バック)が必要です。日本の共通一時に当たるものと考えると良いでしょう。とは言ってもバカロレア制度はナポレオンが施行したフランスにおける大学入学資格を得るための統一国家試験のことで,日本と比べるには無理があるほどの長い歴史があります。フランスには微々たる私学が存在するのみでほとんどの大学が国立なのでバカロレアは進学を希望する全高校生が受験することになります。

私は大学受験も就職試験もマークシート時代の日本人です。予備校でも「わからなかったら右端を塗りつぶしなさい」なんて指導を受けたこともあります。

フランスのバカロレア試験は毎年6月に全国一斉で行われます。試験ですがマークシートではなく記述あるいは論文形式で,鉛筆ではなくペンで筆記します。毎年この時期になるとニュウスでは連日バカロレア試験についての報道が流れ,それは結果発表日まで続きます。このフランス共和国のバカロレア試験でつとに有名なのが哲学の試験で,制限時間4時間で一論文を仕上げる形になります。

毎年,哲学試験終了後はテレビ番組で識者を集めた解答番組が開かれますが,「哲学」ですので解答らしい解答なんてあるはずなく,各識者がご自分の思想で「・・・じゃないですかあ?」と披露して番組終了するのが常です。

この名物「哲学試験」が課せられるのは経済系,文科系,科学系,工業系を選択した者で,職業系には課せられません。ちなみに2005年6月の受験者はフランス全土(海外領土,県を含む)で634.168 人(うち119.723 人が職業バック受験者),最年少者は13歳でした。

今年の一般バック試験は6月9日から17日までの試験日程,初日がいきなり哲学試験の4時間でした。各専攻とも3つの題材からひとつ選ぶ形です。3つのうちのひとつは長文読解による分析(後述)です。今年の問題はどんなものかと言いますと


Série ES 経済系 (économique)
*1er sujet : Qu'attendons-nous de la technique ?
     「技術に何を期待するのか?」
*2ème sujet  : 
   L'action politique doit-elle être guidée par la connaissance de l'histoire ?

*3ème sujet(全文は後述)  : Kant "Leçons d'éthique"より。 カントだす。


Série L 文科系 (littéraire)
*1er sujet : Le juste et l'injuste ne sont-ils que des conventions ?
     「正義(公正)と不義(不公正)は慣例に過ぎないのか?」

*2ème sujet : Le langage ne sert-il qu'à communiquer ?
     「言葉は交渉手段に過ぎないのか?」

*3ème sujet(全文後述)  : John Stuart Mill "La nature" より


Série S 科学系 (scientifique)
*1er sujet  : Être libre, est-ce ne rencontrer aucun obstacle ?
     「自由とはいかなる障害物にも出会うことがないのか?」    

*2ème sujet  : 
   La sensibilité aux oeuvres d'art demande-t-elle à être éduquée ?
     「芸術的感性は教育や躾を求めているのか?」

*3ème sujet : Malebranche "De la Recherche de la vérité" より


Série STT 工業系
*1er sujet  : Pourquoi voulons-nous être libres ?
     「なぜ私達は自由を欲するのか?」

*2ème sujet : Raisonne-t-on bien quand on veut avoir raison à tout prix ?
     「人がどんな代価を払っても正しいと欲したい時を推論せよ」

*3ème sujet : ARISTOTE より (アリストテレス)


以上(各第三選択の長文は原文のまま載せますので興味ある方はご覧ください)なんですけんども,これを18歳になるかならないお子たちが4時間でまとめるわけでございます。高校生にもなればそれぞれが支持政党をはっきり口にするようなフランスなので,この国で教育を3歳から受け続けた彼らにとってはこんな論文試験はあったり前の試験なのでしょう。とにかくこのバカロレア哲学問題は質・量とも日本の大学入試における小論文と比べるのは不可能に思うのは私だけでしょうか。かつて入試採点バイトをしたテイノウミジュク大学生から聞いた話ですが,採点責任者から小論文に関するキーワード10が与えられ,論文中にこのキーワードが入っていることが採点基準だそうです。ん~がっっ,フランスのバックの論文試験にしても大学の前後期試験全ての論文にしてもキーワード10で採点しているとはとても思えません。

日本人がフランスの大学に正規入学する条件はそれぞれ個人の学歴によって変わります。これは法定翻訳した学歴証明書をフランス文部省に持参し審査してもらうことで明らかになります。その結果によっては日本人も毎年2月頃行われる「外国人のためのバカロレア試験」というものを受験して正規留学が認められますが,それももちろん哲学論文4時間試験があります。
子供の頃から討論授業を中心にそれぞれの意見が異なることを学ぶフランスと「ひとつの答え」で教室をまとめようとする日本では「18歳の関門突破」存在,意義すべてが異なるものかもしれません。もちろん「大学生」という身分の定義も。どんな弾であれ命中すれば点数になる日本,反対に弾丸が鉄なのか?アルミなのか?コルクなのか?と弾そのものの質が問われるフランス。果たして日本とフランス,どちらがいいのでしょうね。採点する側になれば日本に軍配が上がることでしょう。

★よろしければ Les sujets du Bac 2005 (哲学長文読解)★
[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-31 17:14 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(16)
それなりに「御覚悟を。」
8月25日ペルバン運輸大臣が約束したとおり,29日フランス民間航空局(DGAC,La Direction générale de l’Aviation civile )は安全管理上の問題で フランス国内の着陸を禁止している航空会社名を発表 しました。会社名は以下のとおり,期日はフランス政府より領空侵入を禁止された日です。
AIR KORYO, de la Corée du Nord (北朝鮮:高麗航空,2001年4月)
AIR SAINT-THOMAS, des Etats-Unis  
     (米国:セント・トーマス航空,2004年3月19日)
INTERNATIONAL AIR SERVICES, du Libéria 
     (リベリア:国際航空,2004年4月1日)
LINEAS AER DE MOZAMBIQUE, du Mozambique 
    子会社のTRANS AIRWAYS を含む 
     (モザンビーク:リネア航空,2004年12月3日)
PHUKET AIRLINES, de la Thaïlande 
     (タイ:プーケット航空,2005年6月4日)
さらに同日,民放TF1のNewsではListe grise (灰色リスト)としてトルコのFly AirOnur Air の2社を挙げました。

こうしてリストを眺めると,日本國といろいろ問題のある西隣の隣の国のナショナルフラッグは2001年4月からフランス共和国領空に入ることを禁止されていたのですね。ほっほー。セント・トーマス航空は初めて聞く名前でしたがカリブ海に浮かぶフランス海外県のひとつGuadeloupe (グアドゥループ)にかつて就航していた航空会社のようです。プーケット航空も今年6月から共和国内侵入を禁止されていますが,プーケット航空は日本人の利用も多いのではありませんか? 個人旅行が主流の今,脳味噌の片隅にこの6社の名前を刻んでおくのもよいかもしれません。

この夏だけでトロント,キプロス,ヴェネズエラ,ペルーと航空機事故が多発したため,利用客の懸念を解消させる目的でこれまで非公開であったブラックリストが国民に公表されました。E欧州連合(EU)も同様のリストを作り,半年以内に公表する方針を示しているそうです。

28日にはifopというフランス最大のアンケート調査会社が「81%のフランス人がテロより事故を恐れている」という アンケート結果 を発表しました。

私個人としては航空機のテロも事故もイヤですね。
麻酔なしで食事用ナイフで頚動脈をぎこぎこやられるかと想像するだけで身悶えます。
私はかつて飛行中の操縦席に遊びに行ったことがありますが,その時の機長の話では飛行中の旅客機は常にドラム缶を落とし続けるのと同様のエネルギーを消費しつつ前進しているそうです。一体あの巨体にどれほどの燃料が積み込まれているのかは想像もつきませんが,それにプラスして旅客と客室乗務員,食料,水,手荷物&預け荷物が載せられて時空を飛ぶのです。私の親なんぞは「鉄の塊が空に浮かぶこと自体不思議なんだからして」とよくつぶやきます。科学音痴の私にとってもその疑問は常に頭にあります。これだけのものを乗せて飛ぶのだから整備は念には念を,十分いや十二分に行って欲しいです。先日のキプロスの事故のように「生きながら冷凍」というのは悲しすぎます。

29日フランス民間航空局がブラックリストを公開してすぐ,フランス航空管制塔組合(SNCTA)は「Ce n'est pas suffisant!満足できない!」と発表しました。
いいぞ,いいぞ!隠さないでどんどん出しましょう!

【参考文献】
*フランス民間航空局HP : http://www.dgac.fr/
*フランス航空管制塔組合HP : http://www.sncta.fr/accueil.html 
*フランス共和国内閣HP : http://www.premier-ministre.gouv.fr/en/
*TF1 News économie : http://news.tf1.fr/news/economie/

【Trackback】
Excite 国際 : <仏航空当局>乗り入れ禁止の航空5社を公表

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-30 04:16 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(63)
Voici, l'enfant sauvage 【野生児がココに】
「21世紀とは言え生きとし生けるものは進化し続けるのだなあ」としばし秋空を仰ぎましたが,8月最後の週末は雨曇り空の南仏でございます。

ココんちには自他共に認めるL'enfant sauvage (ランファン・ソヴァージュ,野生児)がひとり住んでいます。本人も「人間より犬,猫,馬と友達になる方が簡単だし気持を分かち合える」としばしばつぶやくくらいの野生度で,日常でもココんちには服を脱ぎながら入り室内では常にパンツのみでうろうろしつつ食っちゃ寝です。まさしくこの人物が「本物の野生児」である証拠でしょう。

先日私がこの野生児と散歩に出たところ,いきなり並木道の枝をぐいっと下げてつまみ食いを始めました。この実(↓)です。Mûre sauvage とフランス語で呼びます。
b0070127_495711.jpg
日本語だと「桑の実」でしょうか。目を凝らして写真を眺めると上の方に明るい紅色の実がいくつかついていますが,食べ頃は赤黒くなった頃です。口に含むとプツプツっと実がはじけほんのり甘酸っぱい果汁が出てきます。

この間も夫と朝市に出かけた帰り道で突然夫が立ち止まって何かをむしりとって「食べてごらん」と。それはこの実(↓)
b0070127_529838.jpg
Cerise (スリーズ,さくらんぼ)です。このさくらんぼも赤黒くなったら食べ頃です。

私にとって母の実家の庭で取れる柿とざくろ以外,果物は買って食べるという環境で育ちました。ある時英国育ちの友人から彼女の育った家には林檎と洋梨の木が玄関の左右にあったと聞き,おひなさまのようなおうちが外国にはあるのだと想像しました。

フランスに住むようになって,こちらの一軒家の庭には果実のなる木が好んで植えられていることを知りました。私の大家さんちには大きなさくらんぼの木が2本,夫の祖母の家には桑,柿,杏,さくらんぼの木が植えられていました。就職見習い中には私を指導する女性が自宅で取れた林檎を何度も分けてくれました。それこそ「ふぞろいの林檎」で虫がついている林檎もありました。私は虫を見ただけでギョッとしてしまいますが,フランスでは虫がついていたらそこを食べなければいい,くらいにしか思わないようです。流石,農耕狩猟民族の子孫は虫に対して勇敢であります。

庭に植えられた木の枝に実が熟す度に,家人が摘んでタルトを焼いたり,ジャムやコンポートを作るのです。夫の祖母の家にはジャムとコンポートのための冷蔵庫があるほどです。大家さんのマダムも日頃から瓶を集めてこの時期に備えていました。これがどうもフランスらしい生き方のようです。先週あたりからテレビでジャムを作るためのお砂糖のCMが流れるようになりました。「収穫の秋」が間近ということでしょうか。

夫と知り合ってまもなくエクサンプロヴァンスの街外れまでハイキングをしたことがありました。突然垣根から何かを摘み取っては口に運ぶ夫・・・あたしゃ,クロマニヨン人とハイキングをしていたんだ,とその瞬間にわかりました。その後もハイキングをするたびに夫は動物的感で茂みから果実を見つけては口に運びます。しかも手にとってすぐ甘いか苦いか渋いかも見抜いているようです。

一番驚いたのはエクス郊外のBeaurecueil (←日本人には発音が難しく表記不可)という村で夫が突然ブドウ畑に飛び込んで立派な葡萄を一房とり,丸呑みして皮をブッブッブっと機関銃のように噴き出した時です。タダで見てもいいものなのでしょうか? そしてこんな泥棒のようなことをした後に10フランコイン(1999年当時,約180円)を畑に投げるのがフランスの青少年の習慣だそうです。こうすることで葡萄収穫の時に季節労働者がコインを拾うことができ彼らの生活の助けになる,ゆえに善行であり正当な売買契約になる,と誰もが言います。いかにもフランスの屁理屈ですね。


9月になればワイン農家で葡萄の収穫が始まります。ココんちの近所のブドウ畑の低木群も今ではひと目で葡萄とわかるほどの実をたわわにつけています。どこの農家もL'enfant sauvage 野生児には要注意です。
[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-28 05:09 | The ou Cafe? | Comments(35)
【黒い消しゴム】
来週9月1日からフランスの学校(幼小中高)が始まります。新学年の始まりです。

スーパーマーケットや文房具店に行くとどこも学用品コーナーが特設されています。フランスでは学用品を買うために自治体が各家庭に補助金(2005年度ひとりにつき263,28ユーロ) を出し,同時に必需購入品リストが商店と家庭双方に配られます。どこの店舗もその補助金額とリストに見合った価格設定の商品を並べるので「うちは貧乏で買えない」という言い訳ができません。

この時期,学用品特設コーナーを眺めるとありとあらゆる文房具が並んでいますが,日本で言うと会社の消耗品で扱われるような「事務用品」が所狭しと並んでおり,日本のようなかわいらしい絵のついた文房具は皆無と言ってもいいくらいです。

私は1999年冬に南仏にやってきてエクスで一番安い学費の大学付属外国人向けフランス語語学校に入りました。それまで何度かフランスに旅行したことがあるのでなんとなくこの国では文房具と紙が「高価なもの」であることは気付いていました。だからこの留学に関して日本から必要な文房具を揃えました。
私が所属したクラス は私のみがアジア出身の日本人でした。毎日通ううちに私が仲良くなったのはボリビア人,コロンビア人の女性2人です。今になって思えばドイツ人クラスメートに決して声をかけてもらえなかった3人が固まっていたことになります。2月に始まった授業は5月末で終了でしたが,その間何度私は文房具をクラスメートに貸したことでしょう?戻ってきた文房具もあれば戻ってこなかった文房具もあります。特に消しゴムは一度貸すと消しゴムの真ん中にひびが入っているか,真っ二つに分かれた状態で戻ってきます。私はしばらくその理由がわかりませんでした。真冬に始まった授業でしたが薄着で過ごせるようになった頃その理由がわかってきました。彼らの母国には「消える消しゴムがない」のです。21世紀の日本國ならばどんな消しゴムも軽くこすれば跡形もなく消えることでしょう。でも私が子供だった頃を振り返ると運悪く消えない消しゴムを買ってしまい,ノートをこすると真っ白のノートに大きなシミができ,そのシミを消したくて力をかけてノートをゴシゴシこすって紙をヨレヨレにしてしまったことが何度もありました。私のクラスメートはまだあの当時が現状の国からフランスにやってきた人々でした。こうして世界中から学生が集うフランスだって日本に比べたら文房具後進国です。消えない消しゴムはいくらでも売っています。


こんなことがあったのでその後帰国した時に実家の自室の引き出しから消しゴムを見つけ,フランスに持ってきました。だいぶ前に買った黒い消しゴムです。三角方体でかわいい Felix the Cat の絵が描かれたアルミの筒に収まっていました。昨年4月末からマルセイユの国立職業訓練校に通い始めた私は筆箱にその黒い消しゴムを入れていました。1か月も過ぎた頃,悪名高きクラスメート・レイラ が私に「同じ机で勉強しないか?」と言って来ました。その頃まだ私はこの女性が「極悪人」と知らなかったのでその誘いに乗りました。なぜ彼女が私を誘ったのか,というと消しゴムを借りることを利用してカンニングするためでした(これは彼女に限らずフランスでは常套手段のカンニング方法です)。ある時,私が黒い消しゴムを使って数式を解いていました。視線を感じるので,頭を上げると薄笑いを浮かべたレイラが私を凝視しているのです。
「消しゴムって白いものなのよ。」
「アジアって黒い消しゴムで黒い字を消すの?本当に消えるの?」
と教室内でこだまするほど大きい声でそう言って,自分のノートの文字を私の消しゴムを使って勢い良く消し始めました。案の定,私のかわいい黒い消しゴムちゃんはレイラの力に負けてぼっこりと真っ二つに割れました。
「なんだ,白い消しゴムと同じぢゃないの」
と,私の黒い消しゴムは真っ二つになって私の目の前に戻ってきました。その日の帰り道,私は白い消しゴムを買いました。もちろん白い消しゴムの香りはかぎたくもない臭い(におい)です。
「たかが消しゴム一個でいじめられるのも馬鹿らしい」,私はそう思いました。
でも現実は消しゴムが黒いだけでもいじめることができるのです。
数日前,一般視聴者が参加するクイズ番組で「Le Japon(日本)」が回答となる連想問題が出ました。「世界で第二位の経済大国」,それが私の母国・日本國です。しばしばフランスに滞在する日本人がフランスの不便を嘆くことがあります。品薄かつ悪質でありながら超高価な文房具もそのひとつでしょう。でも世界第二位の日本が何から何まで満足うっとりできる国は世界第一位の国のみではありませんか? 国連加盟国191か国のうちのたった一か国のみです。日本に続く189か国を訪ねれば何かしら不満が出るのは当然必然です。

フランスは上から数えて6番目の勢力を持つ国だそうです。世界第6位の国に集まった外国人でフランスに不満を述べられるのはたった5か国の出身者です。残り185か国からやってきた人々は「何が何でも,どんなことをしでかしてでも,フランスに留まりたい」としばしば口にします。

世界中には消しゴムや鉛筆を買うのも贅沢で,膝乗り黒板と白墨がノートと鉛筆代わりで授業を受け,学校そのものだって午前組,午後組,夜間組と地元の子供を3分割しての修学を実施している国があるということ。そして世界中どこの学校も自分と同じように授業を受けているんだと信じて大きくなった人々がいて,私達日本人もそうして育った人達とどこかの国で同じ空間で学んだり働いたりする可能性があることを忘れてはなりません。

こうしてフランスで過ごす日々で,フランス人にとって文房具は一年中いつでも買えるものではなく,品数豊富な8月,9月にまとめ買いするものであることを私は知りました。

私は子供の頃から文房具屋さんで時間をつぶすのが好きでした。お小遣いが入る度にかわいい文房具を買っていました。それは今もそう。帰国すれば必ず寄る文房具屋さんがいくつかあります。だから実家には使いかけの文房具が部屋のあちらこちらに隠れています。子供の頃からそれが当たり前だと私は思っていました。

今でもたまに使う筆箱から黒い消しゴムが出てくるとかつてのクラスメートとの交流を思い出し,日本で100円ほどで良く消える消しゴムが買えることさえ海外では贅沢にあたることなのだ,と改めて裕福な日本國について考えさせられてしまうのでした。


【参考資料】
*RTL ラジオニュース : 「2005年度就学手当ては8月20日に振り込まれました」

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-26 21:16 | 『?』なたわ言 | Comments(41)
八百万の神さん達は何がお気に召さないのでしょう?
早いもので8月も残り一週間となりました。
24日朝は3日間吹き続けたミストラルが止んだので,久しぶりに窓を開けて室内の空気を入れ替えることができたココんちです。周辺は穏やかとは言え毎朝の気温は15℃前後,かなり涼しくなりました。この夏最も暑かったのは6月下旬から7月はじめにかけてでしょうか。その時期,私は相当汗をかき水も飲みましたが,8月に入ってから汗をかいたという記憶がありません。「海に行きたい」という気分にもなりませんでした。東京のように湿気が多く暑すぎる夏は苦手ではありますが,それでもこの季節を「夏」と呼ぶならば「夏らしい夏」がいいですね。

24日午前中,ココんちのベランダから見える飛行消防隊の基地で,先週土曜日にArdèche(アルデッシュ)という自然が一杯の観光地で発生した山火事で消火中に犠牲となった2消防士の葬儀がありました。前回 に続き今月2度目の葬送です。今日現在もフランス国内はプロヴァンス地方を中心とした各地そしてポルトガルでも深刻な山火事が発生しており,ポルトガルではEU各国に消火援軍を求めました。

一方,フランスのスイス国境沿いでは洪水です。道路が水路となり濁流がたいへんな勢いで流れ抜けています。御伽噺の世界のような美しい自然と町並みに濁流は似合いません。山火事にしても洪水にしても住人にしてみればそんな感慨に耽る間もありません。失ったものがあまりにもありすぎます。失われていくものを手放せなくて火や水の犠牲になっている人も多々います。最近の中央ヨーロッパの大洪水や日本國内で頻繁に大きな地震や台風が発生するのも気になります。

そして24日午後はフランスの海外県マルチニックでWest Caribbean 航空機墜落事故 の合同葬儀が政府主催で行われます。シラク大統領もすでにマルチニックに到着しました。マルチニックでの葬儀と同時刻,パリのノートルダム寺院でも慰霊ミサが開かれ,こちらにはシラク大統領夫人とド・ヴィルパン首相が参列します。フランス国内では弔意を表すため24日は全ての公共機関で半旗を掲げています。

そんな日に今度はペルーで航空機事故です。
カナダ,ギリシャ,ヴェネズエラそしてペルーと夏だけで4件もの航空機事故。
・・・・今年はいったいどうしちゃったのでしょう?
こういうことが続くと自然の神さん達が何か怒っているのかしら?なんてことも私の脳味噌にふつっと浮かんだりもします。いったい何が気に食わないンだろう?

子供の頃に読んだ神話を思い出しました。
お気に召さないことがあって天岩戸の向こうに天照大神が隠れてしまい,世の中が何日も真っ暗闇になってしまったことがありました。人々は天照大神の機嫌を直そうと天岩戸の前で歌舞音曲を献納したら天照大神が笑いながらお出ましになり,世の中は再び明るくなりましたとさ。めでたし,めでたし。

果たして2005年夏のこの数多なる自然の怒りは何を持って鎮めることができるのでしょう?
マツケンサンバ? 
ピンクレディー? いえ,セイコ・マツダ? 
いやいや,やっぱりこの夏は ローリングストーンズ でしょう。
ヒデキ・マツイのスコーンと一発ホームラン?  
兎にも角にもこれ以上,悲しくなるような災害が起こりませんように。美しい秋を迎えたいものです。
[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-24 21:01 | 『?』なオイロッパ | Comments(20)
祝着至極!モモ殿,解放でござるぞ!
8月14日夜イスラエルはガザ地区でパレスチナの何者かに誘拐されたMohamed Ouathi(モハメド・ウアチ)氏(46歳)ですが22日無事解放されました。めでたいっ,めでたいぞっっ!
誘拐から8日,モモさんが無事解放との知らせを受けたシラク大統領はご満悦,公式声明文もすぐに発表されました。これまでイラクで誘拐された4名そしてガザのモモさんとフランス共和国民の誘拐・人質は全員無事生還でございます。
* Le Communiqué シラク大統領公式声明文 *

8月15日のイスラエル側ガザ撤退取材のため,国営放送France 3 に勤務するモモさんは音声担当としてガザに出張しました。が,14日,宿泊先のホテル前で取材スタッフ3人と共に車に乗り込んだところ,銃口を向けたパレスチナ人に襲われてしまいました。モモさん以外の3人はなんとか逃れたものの,逃げ遅れたモモさんだけがどこかに連れ去られてしまったのです。この取材スタッフ全員がアラブ系フランス人ではなくチーフは欧州系のフランス人でした。誘拐犯もすたこら逃げた後,連れ出したフランス人をまじまじと眺めたら同胞のモモさんだったので「しまった!」と思ったに違いありません。これはヘマだんべよ?

誘拐犯の目的は何だったのかは存じませんが,フランスでは「モモさん応援HP」がモモさんの勤務先France 3 によって開設され,多くの励ましメッセージが国民から寄せられました(22日夜現在引き続き開設中)。

まここっつぁんはモモさんの誘拐を聞いてそりゃあ心配しました。何せ相手はパレちゃんか?はたまたハマちゃんか?それだけでも心臓バクんバクんです。先週末アラブ系メディアに向けてモモさんの妹君によるビデオレターが放映されました。妹君の読むメッセージによるとモモさんはアルジェリア出身らしいのですが,画面に映る美しい彼女は「タンクトップにスカーフなし」でした。このような格好はヘジャブんはもちろんハマ~やチャドラー,ブルカーのマダムたちには
「喧嘩売ってんのか,こんにゃろー」
な挑発行為に当たるのではありませんか?とバクバクのハラハラになった私です。
b0070127_23433569.jpg

『ま・ここっつぁんとやら,このVサインが目に入らぬのかえ?』

『あ,奥さん,目潰しはどうかご勘弁くだせえまいひや~』


・・・が、ハマママよ。




あたしゃ,奥さんに「教育ママさんになれっ!」なんて言いまっしぇん。
b0070127_3453077.jpg




ん~  がっ、









par KHALIL HAMRA
(AP - lundi 22 août 2005, 13h21)


中学生にもならない息子さんに銃を持たせたり覆面をかぶせるのはどうかと思いますぜ。

写真手前の坊やなんぞ,引き金引こうとしていまへんか? 銃口はどこ向いてんねん?


子供というものは自己中心で育ちます。物心付くか付かない子供のうちから銃を持たせたり,覆面をかぶせたりなんてことを大人が教えたら,大きくなって海外に出ても疑いも持たずにそれを常識と信じて実行するでしょう。
・・・あ,海外に行ってもそうしてもらいたいので教えている?
こりゃまたどーも失礼いたしましたあ、っと。
怒るで,しかし。

私が国際に疎いのかもしれませんが,公衆で銃を持ったり覆面をかぶる人物が好まれる国なんてあるのでしょうか? 少なくとも日本では罷り通らぬ行為でありますぞ。お子たちを国際音痴の人格に育てつつ
「世界で認められる国にしてね?ね?」
と国連におねだりする方々のロジックはいったいど~なってるのでしょう?

【参考資料】
*やったね,モモ!今日も「ガザ写真集」だ! Yahoo!France

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-23 02:46 | 『?』なミュぢゅるマン | Comments(34)
ルルドから列車に乗ってケルンに着いた。
そこはJMJ (じぃえむじ~ぃ)♪

この一週間,フランスのニュウスのトップ5に常に登場したのが「JMJ」というキーワードでした。「JMJ」というのはフランス語のJournées Mondiales de la Jeunesse の略で,英語圏ではWYDWorld Youth Day と呼ばれており,日本語では「ワールドユースデー」と英語をカタカナで表現した名称で「世界青年の日」と訳されているやうです。

ここフランスでは21日朝10時からケルンでのJMJの閉幕式にあたる野外ミサ中継が国営放送France 2 で流れました。予定では12時15分までの放映だったのに結局13時まで延長完全生中継,もちろんCMは一度も入りませんでした。3時間ドイツ語がメインの宗教番組中継が果たしてフランスでどれほどの視聴率だったのか,なんてことはこの国ではどうでもいいことらしく,カトリックをエコ贔屓するフランス だからこそ実現できることなのでしょう。

「いい若いもんが宗教活動なんて辛気臭い」と日本ならば陰口を叩かれそうですが,フランスから参加した若者の中にはまず8月15日のルルドでの国際ミサ に参加した後,チャーター列車 に飛び乗ってフランスを縦断北上,ケルンに向ったそうです。なぜフランスの青年が野宿をしてでもこの手の集いに参加するのか理由を挙げると日本に比べるとフランスは娯楽施設が少ないことや根っからキャンプや遠足が好きな国民であることでしょう。小学校入学後12歳までCommunion (コミュニオン,初聖体)とConfirmation (コンフィルマシオン,堅信)というカトリックの儀式を受けるため多くの子供が教会に通っているのでJMJも当時の勉強仲間で集って参加しているようでもあります。期間中,ミサ→巡礼遠足→告悔(こっかい,罪の告白)の繰り返し,「何が楽しいんだろう?」と日本人なら違和感を感じることでもフランス人にとっては生活習慣の延長線上なのでしょう。

このJMJ2005はドイツのケルンで8月16日から21日まで開催されました。192か国から約400,000人が集まった初日から日毎参加者が増え,21日最終日には800,000人のわけーもんがケルンに集まりました(22日の報道では約1,000,000人と発表。驚き!)。b0070127_35289.jpg








par
Pier Paolo Cito (AFP/AFP - dimanche 21 août 2005, 10h59)


78歳の老人を歓迎する約800,000人の若者の写真(↑)を見るとますます摩訶不思議な世界でもありますが,日本からは約300人の若者がこの集いに参加したそうです。上の写真でもわかるように会場では世界中の国旗が翻っていましたが日本の国旗は見当たりません。というのも日本でこのWYD事務局を運営する方々が「日の丸」や「君が代」に疑問を持っているからなのです(理由はこちら→: http://www.cwjpn.com/kijiback/y2000/3574/3574.3P-2.htm)。フランスのド田舎ではありますが,わが地元では日の丸をあしらったTシャツやジャケットを着たアラブんやら欧州人がうようよしているし,ココんちのフランス人♂なんぞは「なぜ日本人が国旗や国歌をためらうのかわからない」とまで言うくらいフランスでは日本の国旗やら国歌に好意的なのでこの理由を述べた記事になんと申し上げてよいのかもわかりませんが,今日の会場を見る限りドイツやイタリアの旗もわんさか振られているので日本國の旗も振っていいんぢゃないかなーと私は思うんでありますね。

JMJ ケルン大会の参加案内 を見ると日本からの参加費用は17日間で25万円!ユースホステルに宿泊など地味さを強調しても25万円という料金はちょと高いかも?フランス人の若い者が格安国際列車に乗ったりヒッチハイク,おまけに野宿でケルンに行く気楽さとはあまりの違い。いや,日本のママは「かわいいうちの子に野宿なんてっっ」と怒りそうだし。せっかくの国際交流の場でも日本人青年にとっては贅沢な旅行になってしまうのは残念ですね。

もし私が親だったら,旅費は高いし,主催団体やダンチョさんには「?×∞」なので,親子で巡礼を楽しむとしますかね。

21日のJMJ閉会ミサで次回のJMJは2008年オーストラリアはシドニーで開催されると発表されました。3年あれば25万円貯金できるかな?


十 8月16日夜に起こったできごと 十b0070127_4271366.jpg









par Fred Dufour (AFP/AFP - jeudi 18 août 2005, 20h57)
横たわる老人(↑)はFrère Roger ロジェ修道士,90歳です。スイスに生まれ,プロテスタント神学を修めたロジェ師は1940年Taizé テゼという超教派の修道会をフランス・ブルゴーニュ地方で創設しました。先週8月16日夜,2500人の巡礼者と共に礼拝中,ルーマニア人の女性によって刺殺 されてしまいました。
数多あるエキュメニカル(宗教一致)運動の中で最も清廉質素な会を創設したロジェさんが90歳とはいえ志半ばで刺殺されてしまったのは悲しいことです。8月23日午後2時(日本時間同日21時)から葬儀だそうです。

*Taizé テゼ共同体 :http://www.taize.ch/temp/ja_article1662.html

これ↑を読むと考えさせられるものがありますな・・・。


8月24日は先日の ヴェネズエラでの航空機事故 の慰霊式典がマルチニク県で行われ,シラク大統領,ド・ヴィルパン首相も出席します。フランス本土ではパリ・ノートルダムをはじめ全国の各司教座教会で同日追悼ミサが開かれます。ミサというのはカトリックの礼拝ですが,政教分離国家であるはずのフランス共和国の広報に これら宗教行事の案内 がはっきりくっきり載っています。フランス語のLaïque ライックを「政教分離」と日本語に訳すにしても,日本の政教分離とフランスの政教分離では内容がかな~り異なるようです。同じぢゃないわな。要注意。


【参考】
*8月21日JMJ 野外ミサの様子 : http://info.france2.fr/common/playerVideo.php
*Yahoo!France のJMJ 写真集 : http://fr.search.yahoo.com/search/news?p=jmj&ei=UTF-8&c=news_photos
*WYD 日本事務局HP : http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/committee/wyd/index.htm

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-22 01:11 | 『?』なKTOりっくん | Comments(19)
目には見えない心(こころ)。
8月2日トロントでのエールフランス機事故,14日ギリシャでのキプロス(Helios)航空機事故 に続き,16日にはヴェネズエラでWest Caribbean 航空機墜落事故です。乗客152人全員がフランス海外県のひとつ Martinique(マルチニク)在住のフランス人でした。
b0070127_20455441.jpg
事故当日マルチニクの空港で乗客名簿を発表する状況が繰り返しニュースで流れており,画面から聞こえてくる悲鳴が私の耳に付いて離れません。空港の様子を見ていると,乗客者名簿を発表する時点ですでに医師,精神科医と心理カウンセラー(フランス語でPsy プシ)が待機,正気を失ってしまった人々への対応が冷静に行われていました。いかにもフランスな人事配置(精神科と心理学士が主になる)です。日本はまだ内科も外科も目に見える症状が優先すべき治療で「心の傷」は後回しになりがちです。フランスでは昨年11月の コートジヴォワール内乱 の時も,12月末の インド洋沖震災 でも,空港には精神科医と心理学士が待機し,一見健康体であってもトラウマを持って帰国した人々への治療に力を入れていました。今回の事故は乗員乗客160人全員死亡という惨事でしたが,残された家族や友人の心を直撃した事故でもありました。日本國でも目に見えない障害や病を持つ人々に対しより良い理解と治療が行われるよう改善されていきますように。

先週8月12日,日本國は1985年の日航機事故から数えて20周年目にあたる日でした。ブログを徘徊していたらご遺族のブログ(↓)を発見し,そこに率直な思いが語られていました。
20年目の夏
8・12
事故を知っていても直接かかわりのない私が軽はずみな言動を取らないようにしなければ・・・拝読して心底からそう思いました。


=+++=+++=+++=+++=

8月24日Martinique 県の県都Fort de France でのHommage National (国家主催の慰霊式典)にシラク大統領が出席すると19日発表されました。


=+++=+++=+++=+++=

【Trackback】
Excite 国際 : ベネズエラで旅客機が墜落、乗客乗員は全員死亡=仏航空当局

【参考資料】
フランス共和国海外領土・県省広報 : 8月24日に向けて。
  (現地慰霊式典とパリ・ノートルダムでのミサの案内,当日の半旗掲揚など)

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-20 00:14 | 『?』なたわ言 | Comments(38)
見てはいけないものを見てしまったよ。
b0070127_23433569.jpg

Femme du Hamas
MEDITERRANEO 09/10/2004
par France 3 Méditerranée


今日もフランスではイスラエルのガザ撤退のニュウスが流れています。今朝8時のニュウスで私が見たのはガザ地区南に位置するKfar Daromの シナゴーグに立て篭もる人々の姿 でした。戦車に乗ったりえちゃんが出てきそうなほどの緊迫感が伝わってきました。この一週間毎日Yahoo!France の ガザ撤退写真 (←ぜひご覧ください!)をぼんやり眺め続けている私ですが,昨日は任務中に泣き出す兵士や警察官の写真,今日になって泣き叫んだり怒りを露にするイスラエル人の写真などを眼にしてしまうと,彼らの緊張感も疲労も極限に達しつつあるのだなあと思う次第です。特にイスラエル兵士や警察官の涙の写真からは国と市民の間に挟まれた彼らのつらい立場が伝わってきます。不謹慎かもしれませんが,なぜか私は「ベルサイユのばら」のオスカル率いる衛兵隊の苦悩を連想してしまいました。

ニュウスで見る限り,イスラエル政府の撤退に応じた人々は慣れ親しんだ家を去る前夜に歌あり踊りありのパーティーを開いていました。フランス系住人の中にはすでに1960年前後にアルジェリアを引き揚げた経験がある人もいるので,今回のように家財道具一式をトラックで運んで引っ越せるならアルジェリア引き揚げの時よりはマシよ!と言う心意気も感じられました。ココんちのフランス人♂の母方の祖母はアルジェリアのOran オランに300年以上住んでいたスペイン系フランス人ですが,アルジェリア戦争で欧州人やユダヤ人がフランス本国に引き揚げる時,フランス政府からは一人につき手荷物ひとつという命令が出たそうです。欧州系移民で300年強,ユダヤ系になれば600年以上マグレブ諸国に住んでいたのですから,手荷物に詰められる「思い出」はどれほどだったのか? 夫の祖母の話では彼女の場合乳飲み子を抱えての脱出だったのでバッグの中身は生活必需品で精一杯で,彼女が子供の頃からの思い出は諦めたそうです。

今回のガザ撤退を見ていても政治的背景をリンクすればイスラエル人が撤退するのは当然なのかもしれません。でも歴史的背景を重んじるとそうも簡単に言えません。兎にも角にもヨソモノの私が見ている限り「引越の労力」,「慣れ親しんだ土地への未練」,「墓を置いていく不安」が政治にかかわりなくあの土地で生活していた人々の気持なのだと思います。彼らひとりひとりの苦悩に敵対する2国の名を出して「ああだ,こうだ」と言えるのは本当に本当にヨソモノだからこそではないでしょうか。

巷ではこの撤退が将来のイスラエル,パレスチナにどう影響するのだろう,という話になっています。私個人は楽観の心境ではありません。というのは2本の複線があります。

まずは複線1本目。
昨年10月,"MEDITERRANEO メディテラッネオ"という国営放送France 3の 地中海支局 で流れる番組を見た時のことです。血ぃ引きました。皆さまも一緒にご覧ください。
【1】 まずこれ↓をクリック!
http://www.mediterranee.france3.fr/emissions/5198324-fr.php
【2】 画面をスクロールし「LES SACRIFIÉES」(=いけにえ)を見つけてください。
【3】 「UNE ETOILE POUR LA PAIX」のすぐ上にあるカメラのマークと
   「Voir un extrait sur Les femmes du Hamas」をクリック!
【4】 ガザ地区のハマス婦女子集会が流れます。
これを見終わった時,私は複雑な心境になりました。この女性たちは兵士ではありません。主婦です。私もガザで主婦だったらあの格好でこの集会に出席しているのかしら?と想像してみました。
・・・が・・・欠席したいどす(笑)。
皆さまの感想はいかがでしょうか?



幕間の小休止は↓パレスチナ人女学生↓ですけんども
物騒な英文を鉢巻にしちょります。
b0070127_1443666.jpg

とてもぢゃないけれど 受験必勝 とは訳せませんな・・・。


私は昨年10月以来ずっとこの子供がうじゃうじゃ同席しているハマス婦女子の「ユダヤん殺戮決起集会」番組では考えさせられました。あれを見聞きして育つ子供はどういう大人になるのでしょうね。「ハマス家の食卓」の会話は?・・・ごはん,まずそうですね。

続きまして複線2本目。
先月末France 2のスポーツ番組「Stade 2」でイランはテヘランの街を見てしまったのです。今日に至るまで怒髪天突いちょります。これもよろしければ皆さま,ご覧くださいませ。
【1】まずこれ↓をクリック!
http://stade2.france2.fr/stade2_20050731.htm
【2】スクロールすると3つ目のテーマが「»Iran: Les femmes et le sport」と小さく書いてあり,チャドルを着用した女性の写真が4枚出てきます。
【3】その4枚の写真の下の「»» La vidéo」にカーソルを持っていきクリック!
注目していただきたいのは数秒流れるテヘランの町なのです。PC画面は小さいのではっきりしませんが,テレビ画面でははっきりとテヘラン市内の壁画が数枚映り,子供を抱きかかえたチャドル着用の女性の絵が出てきます。彼女と子供はそれぞれ銃を持ち,文字の入った鉢巻をしています。これらはイラン名物の反米・反ユダヤ壁画です。
イランでは子育てと銃が同じ視野に入るもの??
私見ですが子育てに銃は必要ないし,銃を持つのに子供を一緒に抱える必要もありません。このような不自然な組み合わせの大壁画を消さずに国民に見せ付ける国が「普通の国」ですか?
スポーツ番組の中での紹介ではありましたがなんて後味悪い内容でしょう。一般家庭の婦女子が銃を持つことへの不快感や疑問はかつての日本國における女学生のなぎなた訓練でも連想すれば少しは軽くなり理解できるのでしょうか?

上の2本とも日本國ではあまり紹介されない内容だと思います。が,これを見て不安も不快も覚えず気分が良くなるヒトがいるのでしょうか?

ここ数日ガザ撤退についてかの地の将来を考えるとどうしても私はこの2本の番組を思い出してしまうのです。現状ではイスラエル側は軍人のみが武器を持っています。ところがパレスチナ側は一般市民であるはずの婦女子が武器を持ち,爆発物に至っては普通の家の土間や台所で作っているかもしれません。なのにイスラエルの庶民はシェルター&防毒マスクでの防護のみです。パレスチナのママンは「片手にピストル♪片手に包丁♪」と唄いながら間違ってクスクスに銃弾ぶち込んだりしないのかしらん?
ああっっ,あっあ,ああ~あ・あ・あ~ぁ♪ じゅ,ジュリーっっ!
「フランスは政府によってテレビ番組をコントロールしている」と言う人がたまにいますが上の2番組もその類のものでしょうか?フィクションである証拠が知りたいです。それともこれらが事実として外国に見られちゃ困るものなのかしら?

偶然かもしれませんが,8月14日夜ガザ近郊でガザ撤退の取材に派遣された国営放送France 3の音声担当 Mohamed Ouathi さんが宿泊ホテル前でパレスチナ人に誘拐されてしまいました。これも「撮られちゃ困る,フランスに見られちゃ困る」ので誘拐という犯行に至ったのでしょうか?
16日シラク大統領がアッバス代表に電話し早期釈放を願いましたが,今日まで彼の安否はまったく伝わっていません。
モハメド・ウアチ氏の勤務先である国営放送France Télévisions では モハメド・ウアチ氏を励ますページ をHPに設けました。すでに多くのメサージュが書き込まれています。がんばれ,モモ!

モハメドさんはパレスチナ人でもなくイスラエル人でもなくフランス人です。犯人さん,モモを返せ。
モモちゃんの無事とパレスチナの平和を祈ります。

【Trackback】
*もろてん。 : 正しい目を持つ

[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-19 00:57 | 『?』なミュぢゅるマン | Comments(44)
桃源郷は「イチゴの里」と「メロンの村」
8月16日は昨晩まで吹き荒れた北西風も止み涼しい朝を迎えることができました。このブログの右下方のお天気の姐(あね)さんも今朝は秋色の衣装で身を包んでいました。

おととい日曜日は主日,昨日はカトリックの祭日だったのでこの連休はバスなど公共交通はまったく動かず風のうなり声が騒音でしたが,連休明けの今朝は定期的にココんちの前を通るバスや目の前のヘリポートから飛び立つヘリコプターのエンジン音が耳に届いてきます。

今朝8時,国営放送France 2のニュースを見ました。トップニュースは日本國。仙台を襲った地震についてでした。政府の方針でしょうか。日本の地震についてはいつも映像付きで丁寧にニュースで伝えられます。日本の政治については何にも流さないのに・・・。フランスでは日本の政治に興味なくとも自然災害には多大な興味があるということでしょうか。今日ののニュースを眺めていると仙台の地震に続くニュースはイスラエル・ガザ地区のイスラエル撤退についてです。実は先週から常にトップニュースはこの話題,今朝は日本の地震が起こったのでトップニュースの座を譲ったことになります。フランス語が耳障りでしたら音を消去してイスラエル撤退に関するニュースをご覧いただけますでしょうか。イスラエル側の様子,パレスチナ側の様子が平等に流れます。


なぜフランスが地中海対岸のこの件に関して常にトップニュースで流すほど丁寧に扱っているのかと言いますと,フランスは欧州で最もユダヤ系の居住者が多い国だからです。このイスラエル・パレスチナの問題についてはあらゆる面で眺めることができますが,傍観者である私の立場ではそう簡単にどちらの味方にもなることはできません。

そんな立場でイスラエルのガザ撤退についてニュースを眺め続けている私ですが,昨日(8月15日)午後1時からのFrance 2のニュースを見ていたらささやかに私のこめかみがプッツンと鳴り,ムキッキーっとしてしまいました。
というのはですね,ガザで最後の夜を迎えたMichal Masliahという女性が出てきます。この画面に映る彼女の家族はフランス系,更に遡るとアルジェリアに数世代住んでいたユダヤ人です。アルジェリア独立戦争で着の身着のまま国を追われ,フランスで数年暮らした後,おそらく信仰あってイスラエルに戻ったのでしょう。その時政府にあてがわれた土地がガザ地区の小村です。実はこの1週間連日ニュースでガザ地区在住のイスラエル人が引越する話題が流れていましたが,どうもフランスにかかわるユダヤ系の方も多くガザ地区に居住していたようです。こうしてガザを諦めるのもフランス語で言う"C'est la vie!わが運命!"かも知れませんが,引越不慣れの私からすると自分の意思ではなく,他人からの強制で引越せねばならないのはあまりにも気の毒です。しかも人生で2度も強制移住を経験するなんて!
思い起こせばマルセイユでオリエンタル・カフェを営むチュニジア出身のユダヤんご夫妻がイスラエルへの帰国を躊躇っていたことは今回のガザ強制退去を連想させるような悪夢なのかな。「先祖の土地」というだけで親戚縁者がいない「母国」に帰るのは不安だとお二人は私に仰ったぞ・・・。


ここで話を終えると誤解してボッボボーと燃える人が出てきますので,話を更に続けます。
欧州系,ユダヤ系のフランス国籍を持つ者(彼らをフランス語でPied noir 「黒い足」と呼びます)がアルジェリアをはじめとするマグレブ諸国からフランスに戻らなければならなかったのはフランスの責任とおっしゃる方が多くいます。それではなぜ彼らが数世代にわたって北アフリカ諸国に住んでいたのでしょう? これを辿ると各家庭ごとに異なる歴史を抱えています。日本で語られているようなひとまとめにできる話ではありません。

以下は市井に住むまここっつぁんの政治やら経済,宗教なんぞ小難しいことを全て抜きにした戯言ですのであしからず。そして南仏をヘソの中心としたお話でもございます。


紀元3世紀頃,マルセイユの港に初めてユダヤ人が上陸 したそうです。到着後四方八方に散らばったユダヤ人はそれぞれの生活を始めました。今もマルセイユはもちろんパリやストラスブール,リヨンにユダヤ系の大きなコミュニティが存在することで有名です。が,フランスのスーパーで買える種無しパン はフランス南西のAgen という小さな町で作られているものだし,おらが町にもひっそりシナゴーグがあるくらいなので,何百年もかけてそれぞれの家族がぽつんぽつんとフランス国内の静かな町に居を定めていたのでしょう。やがてフランスに住むユダヤ人はtsarfatim ツァルファチムと呼ばれるようになりました。
ところが14世紀に入りパリに住むユダヤ人が迫害を受け,再び南下してアヴィニヨンの法王庁に助けを求めたのです。その願いを聞き入れた法王が所領の中からリュベロン山脈麓の数村を彼らに安住の土地として選びました。フランスで最も美味しいイチゴが採れるCarpentras カルパントラや最高品質のメロンが採れるCavaillon カヴァイヨンがその村にあたり,現在もこの2市はユダヤ居留村として有名です。カルパントラにはフランス最古のシナゴーグ(1367年建立)が現存しています。「Juifs du Pape 教皇のユダヤ人」と呼ばれたほどの彼らですが,それでも黒ペスト病が伝染したり,魔女狩りが流行するたびに真っ先に迫害される対象となっていました。
(cf. :http://www.forward.com/issues/2003/03.10.24/news13.provence.html
1480年7月プロヴァンス伯領・ルネ王の死を境にユダヤ人への本格的迫害が始まり,ユダヤ人はキリスト教に改宗するか,信仰のために亡命するかという2つの道しか選べなくなってしまいました。こうしてユダヤ教信仰を貫くことを選んだプロヴァンスのユダヤ人は北はイタリア,トルコに,南はスペインを経てマグレブ(現在のモロッコ,アルジェリア,チュニジア)まで逃げ延びました。16世紀プロヴァンス地方にユダヤ人はひとりもいませんでした。実は一見なんだけどね・・・。

上記に登場したMichal さんの先祖はマグレブまで亡命したユダヤ人に当たります。
安住の地として選んだアルジェリアでユダヤの信仰を守って何世代も静かに生きてきたのに1950年代に入ってのアルジェリア動乱でその地を追われてしまったのです。Michal さんのようなユダヤんピエ・ノワールの先祖ひとりひとりを辿ったらひとところに生まれて安楽の生涯を送れた人は何人なのでしょう。

ガザで撤退反対を叫ぶイスラエル人たちが墓地で集会を開いたのも,自分達が去るにあたり墓を残していかねばならない悲しみと悔しさもあってのことだと思われます。

パレスチナの兵士達は嬉々として「偉大なる勝利!」と叫び,続けて「次はエルサレムだ!」と繰り返します。一神教(ユダヤ教,キリスト教,イスラム教)の聖地エルサレムのはずなのにイスラム教だけの町になってしまうのかな?
考古学では旧約聖書に登場する「エデンの園」は現在のチグリス・ユーフラテス川の三角州あたりに存在したとされています。このあたりは現在イスラム教を信仰する人々が暮らしています。旧約聖書のほんの一部のみ受け付けるイスラム教徒がこの三角州をユダヤ人に譲るわけも無く,約束の地カナアンも・・・となると,ユダヤ人はまた流浪の民と化すのでしょうか。


さて16世紀のプロヴァンスにユダヤ人は一人もいなくなったのは「一見」だった理由ですが,かつてアヴィニヨンの法王がユダヤ人に与えた2つの町,メロンの村Cavaillon とイチゴの里Carpentras は1229年から1791年までローマ法王の諸領地でした。というわけで,この2村にはなんと約200年もの間,隠れユダヤん(Juifs en vase clos)が住み続けていたのでした。
い,いちごを作りに戻って来ないか?
【Trackback】
*ペシェ・ミニヨン : JORNEES DU PATRIMOINE 文化遺産の日というのかしら?
                                                                          
[PR]
by ma_cocotte | 2005-08-16 18:52 | 『?』なメディテらねぇ | Comments(2)