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日本人があまりよく知らない『第二次大戦中のフランス』
明日5月8日はフランス共和国における第二次大戦終戦記念日(Victoire 1945)の祝日,ベルリン陥落,ナチが無条件降伏した日の翌日にあたります。1日前の今日5月7日は60年前大西洋岸の都市La Rochelle (ラ・ロシェル)がナチの支配から解放された日です(写真右)。ナチはパリが連合軍の手に渡ってもなおベルリンが陥落するまでラ・ロシェルに居座っていたのですね。
1944年6月6日大西洋側からかの有名なノルマンディー上陸作戦が行われ,8月25日連合軍がパリ入場,更に同年9月12日には地中海側から進攻した米軍がフランスに上陸しマルセイユを解放と続きます。ベルリン陥落の日までフランス国内では残留ナチとの戦闘が常に繰り返されていました。
・・・・だうして?フランスは戦勝国ぢゃん?
と現代世界史音痴の私はフランスに来てもしばらくフランスにおける「解放」の意味がわかっていませんでした。長く滞在することでテレビを見るようになってわかってきたことは第二次大戦中のフランス本土のほぼ全市町村がナチ支配下であったことです。シャルル・ド・ゴール将軍は戦時中ずっとロンドンに滞在していたので,フランス本土はあくまでもナチ支配下だったのです。ナチの戦略はドイツ国境から侵攻し大都市からどんなに小さい村の役所までくまなく全てを占拠後,役所にナチ駐在所を開設します。そして町村一番の名士を訪ね「自宅をナチ軍人宿泊施設として提供せよ」と命じました。もしこの命令について市長だろうが村長だろうが名士,貴族だろうがちょっとでもためらいを見せたならばその場で銃殺して屋敷を乗っ取りました。更に私服に着替えた隊員と親ナチのフランス人は町の中心にあるカフェで反ナチ分子を見つけ出すことに努め,ちょっとでも耳に「反ナチ」に関する言葉が聞こえたら即刻店の前に連れ出して銃殺,町村民に見せしめのため遺体をわざと数日間放置しておくという措置を取っていました。これを繰り返しながらナチはフランス国内の町村を占領していきました。
有名なフランスレジスタンス運動は本当に地下での息を殺した活動で地道に行われたものです。ユダヤ人を匿い続けることも容易いことではありませんでした。密告者の目を逃れ,屋根裏部屋や地下室に隠し,ナチに占拠されていない村を転々としながらスイス国境まで連れて行く・・・命がけの行為をしたフランス人もいます(映画「バティニョールおじさん」をぜひ!)。
一方でフランス人の密告によってどれほどのユダヤ人が収容所に送られたことか。

当時,フランス国民のほとんどは死を免れるためにナチの下(=ヴィシー政権)で働いていました。だから戦後のナチ裁判でも国民のナチ加担を挙げればキリがないし,自称レジスタンスを主張しても「どこまで本当?」と白黒つけられないという現状です。例えば役所で高地位のフランス人がやむなくナチが支配した役所で働き続けたとします。この事実をどう解釈しましょう? 「死人に口なし」ですがミッテラン大統領は戦時中ヴィシー政権(ナチが認めた戦時中のフランス公式政権)で働いていたそうです。今もフランスの有名人は戦時中の立場説明になると言葉がはっきりしなくなることが多いのです。
そして多くのフランス女性は占領してきたナチ軍服姿のドイツ男に単純に惚れ,「強い男」の意味を間違えて妻となり,恋人となり,愛人となりました。そして数年間「甘い夢」を見ました。が,ナチの敗北によって彼女達の運命は逆転し,公衆の面前で頭を丸刈りにされるという屈辱を味わうことになりました。彼女達に政治的思想も野望もありませんでした。そしてドイツ人との間に生まれた子供は「Boche(ボッシュ)」と呼ばれ特別な位置づけの中で成長していきました。
一男性として単純にフランス女と恋に落ち,結婚し,家庭を持ったナチに属するドイツ男もたくさんいました。ある時は残忍な任務を遂行しても,家庭では「良い夫,良い父」だったという証言もたくさん出ています。公私の罪の境界線はどこにあり,敵の一人格の一部にフランス国民が絡んでいるとなればこれまたスパっと一刀両断に裁き切れないものです。1945年から60年経った今も心中複雑なフランス戦後史なのです。
戦時下のフランス本土の状況はアメリカ本土のそれとはまったく異なります。
「国」というカテゴリーで見るならばフランスとアメリカは同じ戦勝国ですが,「民衆」においてはフランス国民とアメリカ国民の立場はひとくくりにはできないのです。
by ma_cocotte | 2005-05-07 04:23 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(20)
Commented by kattyan60 at 2005-05-07 08:49
戦争の悲劇は数知れず、終戦を迎えて尚続く。
僕は1944年に生まれ、物心ついた頃、夕食時に引揚者の名前がラジオから流れていました。
古いニュース映像でフランスが解放され、連合国が進軍しているところを見たことがありますが、一瞬の映像では察し得ないものも多いことでしょう。
Commented by ma_cocotte at 2005-05-07 15:06
◎かっちゃんさま,連合軍がパリに入ったのは1944年8月25日です。今日がベルリン陥落ですから8か月以上フランス国内では攻防戦が続いていました。その間もユダヤ人・反ナチ狩りも行われていました。

フランスでも荷車に家財道具を乗せて歩いて非難するヒトは一杯いました。戦勝国とは言ってもアメリカ国内の状況とは相当異なります。

私は戦勝国の立場は皆同じと思い込んでいたので恥ずかしい限りです。
Commented by lovinluv at 2005-05-07 15:56
バティニョールおじさんね、ちゃんと映画館で見ましたよ~。2年前の冬だったかな。新宿高島屋の映画館にて。こういうのがあったんだなって。連れていってくれた友達に感謝だわ。自分じゃ選ばなかったかも。
おもしろかったです~。こういうのは好き。
Commented by ma_cocotte at 2005-05-07 16:03
◎あら,ミイさま。すでに?
なんとも言えない映画だったでしょう?
残忍な場面もあるものね。
おじさんは単純バカなキャラだったけど結局スイスまで行って一緒に住み続けてしまったのよね。あの子達の親は一人も戻ってこなかったっ手最後のスクリーンロールで見た時は泣けてしまったよ。

大人の思惑と子供の無垢さが妙に対比された映画だったなあ。
Commented by lovinluv at 2005-05-07 16:12
うん。どういう映画かわからず見ていたので、余計にビックリ。子供は無垢だったな~。
のほほん映画かと(笑)めずらしく直前リサーチしていかなかったのよねん。コレ。
ただ、小さい映画館でしかしていなかったので、よっぽどの人しか見てないんじゃないかなぁ・・・コレ。。
日本だったからなのか、かな?映画関係の知人に聞いてみよう。

映画は、戦争背景にしてたり、人種問題やら、賛否両論出てしまうけど、私はこういうの好き。すぱっと頭に入ってくるでしょう。おもしろく展開されると。日本の歴史もそうだけど。
なんで、シンドラーのリストも涙ながらに見て感動しまくったあと批判がすっごい出ててたし。
Commented by macocotte at 2005-05-07 17:56
◎ミイさま,フランス映画は現実主義で「夢」がないのよ。だからハリウッド映画のようにドラマチックでもないしハッピーエンドでもない。BGMも耳に障らないでしょう?おまけにマイナーなフランス語なのでミニシアターになっちゃうのよね。私もフランス映画はたいてい神楽坂の名画座で観ていました。

戦勝国フランス国内をアメリカと同様になぞらえたままこの映画を観るとこんがらがっちゃうけど,上に書いたような実情なので背景がクリアになると思います。

バチニョルさんちはナチで生計を立てていたフランス人です。
Commented by Monica at 2005-05-07 22:17 x
「バティニョールおじさん」、ビデオで観ました。
ある人はユダヤ人を匿い、ある人は密告し、またある人は匿っていたはず
なのに最後には密告してしまう・・・もし、同じ状況に置かれたら、自分は
どう行動するのだろうか、と真剣に考えます。究極的に自分がどういう人間
なのかを問われるような状況に出会っていないことは幸せなことなのかも
しれないけど、そうであることにある種の罪悪感に似た気持ちも覚えます。
なんだか自分だけズルして生きているような・・・。
似たような主題の映画に、ルイ・マルの「さようなら子供たち」もありましたね。
Commented by ma_cocotte at 2005-05-07 22:45
◎Monicaさま,この映画は深読みすると観方が変わってきますね。
おじさんは豚肉を主に扱う精肉屋さん(小売業者)でユダヤ系から最も縁遠い職種であること。一方坊やの家は迫害されるユダヤ系といえども医師という自由業です。坊やは子供なのにおじさんよりはるかに知識もあり,狡賢いと思えるほど要領も良い。おじさんは教養はなくても誠実。そして彼らに関る人々の強味,弱味。そういうものが戦争という状況の中で葛藤しながら事実となって出てくる。おじさんが無実の子供たちを守るために娘婿を殺めてしまうシーンも善悪を問われているように思います。

今の日本は世界中で一番平和な国のようにも思える今日この頃です。
Commented by Monica at 2005-05-07 23:21 x
たしかに日本は平和な国かもしれませんね。ただ、その平和はどこかヨソから
与えられた平和という気がします。平和を築こうとする個々人の総体としての
平和ではないような。
一方では、「勝ち組・負け組」という、人を経済的側面で峻別するような
平和と言い難い状況もありますよね。この言葉、私は大嫌いです。
チェルノブイリの少女がma_cocotteさんに渡した飴玉のような心の宝石に
出会える場面が、この国では少なくなっているように思えます。
Commented by ma_cocotte at 2005-05-07 23:30
◎Monicaさま,そ,それなのです!
いろいろな背景に利害関係が隠れていると思います。先日の猫の輸送もそうですが,日本入国に際し,何の特権もなく,お金のないヒトは犬猫の持込をあきらめなければならないような現状です。ところがこういうことができるということで「私はできる!」と特権やら金品を振りかざすヒトもいるでしょう?しかもそれを「勝ち組」「エリート」と持て囃す。「できる」「できない」で人間を分ける・・・うーん,この言葉は誰が言い始めたのか知りませんが(どうせデンパクでしょうが)私は好きになるどころか納得もできないし口にしたくもない言葉です。

ちびちゃんがくれた飴玉を「面倒くさいから見ない,気付かない振りをする」という態度をとるヒト(政治家屋さんや公務員さん)・・・ほんと母国に不安がいっぱいあります。
Commented by sakura_kura at 2005-05-08 10:40
ほんと、みなさんもおっしゃっておれますが、、、
今の日本は“無関心”のかたまり、のように思います。
こう、底知れない未来への不安を抱えていて、
自分のなかのごく一部を守る=人には見せない、
ってことに精一杯。守るって、きっとホントは違うことと
思うのですが。。。

小学校に実習に行った時のことですが、
子ども達がお互いに向き合って喧嘩しませんでした。
喧嘩ムードになったら、すぐに先生のところに来て、
それぞれが先生に自分の言い分を言うのです。

ぶつからない、ということは、人と触れ合わない、
ということ。どんなカタチでも人に触れることで、
理解とか責任とか、痛みとか興味関心がもてると思うのですが。

考えてみると、これ、子どものせいじゃないんですよね。
大人のせいなんですよね。大人社会の縮図そのもの。

同じクラスで足を引っ張り合っているような、
今の日本の国会の中の人たち、を見てもわかるように、
日本、っていう大きなひとクラスで共に生きれるような
そんなふうに、まずは自分から心がけたいと思ってます。
Commented by sakura_kura at 2005-05-08 10:43
あ、連続投稿になっちゃってごめんなさい!
今日、やっと黒猫振興会へメールしましたあ♡
ご紹介してくださったマコットさん、本当にありがとうございました!
今からうきうき楽しみです♪♪
Commented by macocotte at 2005-05-08 14:53
◎sakura_kuraさまは心理学を修めたので観点が鋭いですね。
実は私も以前,最近の日本の公立小学校で

まず,児童の誰かが発表する
→ 教員が他の児童に回答の是非を問う
→ (もし間違っていた場合)「惜しいでーす」と言わなければならない

という要領について疑問を書いたことがあります。
はっきりした答がある算数で「惜しいでーす」はないでしょう?
どうして「間違っている」という言葉が教育に悪影響を与えるのでしょう?

腹立たしいくらい疑問に感じています(爆笑。

それと日本も先進国ならば一クラス2担任制にするべきです。フランスはこれが徹底していますよ。だから担任二名の間でも思想の磨耗ができるのです。子供たちに一担任の偏見が通るのは難しいです。

今度何らかの形でエントリーしますね。
Commented by macocotte at 2005-05-08 14:54
◎更にsakura_kuraさま。
にゃにぃっっ,やっと登録完了ですか?
楽しみにします。
数日前にUnya_sukeさんちのグーさんが会員になったばかりです。
Commented by sakura_kura at 2005-05-09 01:48
>macocotteさん、一クラスに担任の先生が2人!!
いいなあああああ 子どもにとっても、先生にとってもいいでねえ!!
こう、お互い人間ですから、自分と担任が相性合わないと
最悪な一年ですよね。。先生が2人いれば、学業効果だけじゃなくて、
「色々な人がいて、自分もその一人」ってことがわかるように思うなぁ~ 

私はまさに“なんちゃって心理学”どまりの学びなんで
お恥ずかしいばかりなんですが(^^;;)
間違っていることと、正しいこと、はっきり教えることって
大切ですよね。「惜しい」っつーのはね。。。
これ、きっと、保護者からの苦情が怖い、とかいう
「当たり障りの無い対策法」でもある感じしますね!

あ。話が止まらないので今からフランスに飛んでも
よろしいでしょうか?もちろん、自転車で(@^_^@)
。。って、やれるもんならやってみろっすね。。(自滅)

いやぁ~貴重なお話しありがとうございます!
是非、このお話でエントリを待ってます☆
すかさずTBしちゃいますので(^0^)/

あ。黒猫振興会に即日登録完了してもらいました!!
だましだまし撮影した一枚、是非ご覧くださいい♪
Commented by chatnoir1106 at 2005-05-09 03:04
ma_cocotteさん、初めまして!
旅行者として訪れ、心惹かれた国フランス。 現在の私の興味は所詮「美味しくて、綺麗でお洒落♪」的なミーハ-な旅行者の憧れの域を出ていないだろうとは思うのですが、ma_cocotteさんのブログはフランスの食べ物やカフェなどの日常生活は勿論、こういったシリアスな話題もあり、大変興味深く拝見しています。恥ずかしながら、私もブログを始めたばかりなので宜しければ遊びに来てくださいね。http://emeraldoz.exblog.jp/pg/blog.asp?dif=m&acv=2005-05-01&nid=emeraldoz
Commented by ma_cocotte at 2005-05-09 03:16
◎sakura_kuraさま,フランスの公立学校は面白いですよ。日本のように校内に揃っているものは最小限。図書館やプールも移動して利用します。その時も子供25人を2列に並ばせ先頭と最後に担任が立って安全移動です。大学生も初等教育に興味があればヘルパーとして登録できるので,一クラスに成人3人の日もあります。

それと初等教育では討論を徹底的にします。例えばインド洋地震も各自の意見を述べさせます。こうやって皆誰もが異なる意見を持ち,自分の意見を通すことなど学べます。算数も答はもちろんだけど途中式を徹底的に分析します。ちょっとでも違うのなら披露するという形です。

面白いですよー。
Commented by ma_cocotte at 2005-05-09 03:20
◎chatnoir1106さま,はじめまして。
旅行者であれば私は思い切りミーハーですよ!(爆笑
でも生活となるとミーハーを続けるのは難しいというのが私における現実です。私が表現できる範囲で硬柔・喜怒哀楽織り交ぜることができたら,と思っています。何かお気づきの点があればお知らせくださいね。

ブログ拝見させていただきますね♪
Commented by chatnoir1106 at 2005-05-09 12:17
旅行者であれば、ma_cocotteさまも思い切りミーハ-なんですって?(笑)
あ~、ホッとししました~!ホントは、「南仏っていいですね~、エクスも素敵!いちごも美味しいし~ カルパントラ産がいいんですか~」 いうノリになるのを必死で押さえていたのです。(爆) 

私は現在NY在住なのですが (もうすぐシドニーに引越しですが)、NY生活においてはまさに 「ミーハ-を続ける難しさ」 実感しました。でも、海外生活の現実にきっちりと向き合い、考え、文章になさっているma_cocotteさまは偉い!と思ったのです。NYについては色々考えさせられることの多かった私ですが、結局ブログは軽い内容にしちゃってます。だはは。 まぁ、お時間のあるときに覗いてやってくださいまし♪
Commented by ma_cocotte at 2005-05-09 14:46
◎chatnoir1106さま,南仏はいいところですよ!エクスも観光なら本当にいいところ,程好い大きさで時代をスリップでき,不思議な錯覚経験ができると思います。夢の中とでも言いましょうか。マルセイユもエクス同様美しいけれど,広い,現実が一杯!なのでエクスほど夢を見れる空間ではありません。
このブログでも「ニューヨークのヨガ日記」さんや「Notes from New York」さんなどNYC絡みの方々がよくコメントを残してくださいますよ。有益情報を交換できるといいですね。
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