<< 2018年3月23日に、 // vendredi sai... >>
階級のない国の、特権階級
フランス国鉄(通称 SNCF)がストライキに入り、こんにちで第三日目。
ストライキ実施予告日程数は3か月なので、まだたった三日しか過ぎていないことになります。

兎に角、フランスの中長距離線について日本国内の列車運行システムとはかなり違うので、ガイジンの私にはよくわからないことだらけです。明らかなのはパリや大都市の国鉄の拠点駅ではそれは大騒ぎのパニックになっていることと、私が住んでいるような地方小都市では国鉄駅に丸一日まったく列車が通過せず、地方紙に「国鉄駅が幽霊駅になった」と一面大見出しが目に入ってもきました。このストライキを実行しているひとびとがフランス国鉄の「労働者」と文字にしていいのか、それとも21世紀の今は「職員」と表した方がいいのか、これもまた日本語使用における注意点と仏語使用のそれが異なるので難しいところです。

今回のスト決行の理由は、国鉄職員本人だけでなく家族にまで及ぶ特権を無くしたり、減らしたりするという改革案を「21世紀の軍神ヂュピタア」であり、その名の通り救世主であるエンマニュエル・マクロン大統領が提案したことだそう。で、この騒動が公になって半月が過ぎ、ストライキが現在進行中の今、その国鉄職員と家族が有する特権についてデマだ!と仏国鉄総裁がテレビで声高に発言したり、「それでも本当w」とほうぼうから国鉄職員さんやらその家族が証言したりと、今となっては傍観者の我々にはどれが真実でどれがウソなのかも判断(できるわけがない、よそ者の員数外にw)。

もしマクロン大統領が国鉄職員について「過剰な」特権をあらため、収益に転換しようと言うのなら、こればかりはアンチおマクロンなわたくしでも「マクたん、たまにはいいこと言うぢゃんねー」とつぶやいてしまうわけで。というのも、もし本当に私の耳や目に届いた「国鉄職員とその家族は運賃全額無料」だったら、それは前近代的というか、なんちゃら帝國時代かよ?とついうっかり脳内に言葉が滑走してしまいます。半世紀近くも前、日本の国鉄で「順法闘争」があったことなど思い出したりもします。同時に、ココ、おフランスって何かと1789年の大革命を自慢する国であることも思い出し、あれは確か三部会という三角形やら、その三角形の底辺にいる平民が第一身分の聖職者や第二身分の貴族と立場が逆転した「美談」ぢゃなかったっけー?と・・・あ、そっか。だから平民にたくさんの特権が与えられて今があるのか・・・んなわけあるめぃ・・・ブツブツブツ。

このストライキではもちろん全国規模の労働組合が動いており、そこには極左政党の幹部が応援に訪れていますが、こんな特権を持つ国鉄職員に同情するキャウサウトーって矛盾してないか?と思いつつも、そーいや、コミュニストの世界には独自の外交制度と身分があり、上級の外交員には想像つかないほどの特権があるっぺな、と大昔、南仏でニフォンキャウサントーの上級党員の子弟とお目にかかったことをこれまた思い出しもしました。欧州留学に、海外に散らばる党員の瀟洒な家屋でのステイに、乗馬やらグルマンディーズな優雅な日々ね。まさにアノ女流小説家が書き残した世界さ。

話があっちゃこっちゃに飛び散りましたが、「特別な権利」が万民に平等に与えられることなんて究極の理想であり、それが長年続けば「当たり前」に化けてしまいます。ココんちあたりでは昨年の半ばに市内を走り廻る公営バスの運賃が無料になりました。誰が乗っても無料。そういうことが身近であったこともあり、私個人は国鉄職員とその家族のみに与えられている優待が「古い」と思えてしまうのかもしれません。

でも、なんだかなあ。
このストライキについて遠めに眺めてみると、この件に限らず、フランス共和国内に住む国民にはなんらかの特権が与えられていて、それぞれがそれに甘えて日々暮らしているようにも思えます。優遇、優待、特権で生活している人、ほうぼうで簡単に釣れるもの。そういう数多もらっている優遇や特権について配偶者であるガイジンに教えないフランス人も相当数いるし。そもそも、国父である大統領閣下には大統領特権なんてもんが存在するし。

なにが「自由 平等 博愛」だよ・・・あん?

本当にこのストライキが3か月も続くのか?
そして、職員が特権を手放さないまま終結するのか?

・・・もしそうならば、フランスって国際においてかなりの発展途上国ですわね。日本と比べるとどうだかわからないけれど、大韓民国より遅れている気がしないでもない。ったく、恥を知れ、です。


le 5 avril 2018, Irène

[PR]
by ma_cocotte | 2018-04-05 18:02 | 『?』な、お!?仏蘭西 | Comments(4)
Commented by みるふぇ at 2018-04-08 21:34 x
Commented by ma_cocotte at 2018-04-09 15:38
+ みるふぇさま、貴重なお話をありがとうございます。
すばらしい旅程ですのに、ストライキにぶつかってしまったこと、なんということでしょう。
実は今日9日もストライキ決行日にあたっており、私の地元の国鉄駅には一台たりとも列車が通らないと先ほどフェイスブック経由で市から通達がありました。我が地元では月曜の朝にパリやほうぼうの大都市に移動するサラリーマンや(寄宿)学生~児童も多々いるので気の毒すぎます。
しっかし、ピレネー超えでアンドラを通り、バルセロナなんて私には夢の旅です!いいなあ。ストライキさえも良い思い出に含まれるのでしたらさいわいです。

今回の仏国鉄ストの背景はどうしても日本の国鉄時代と重なりますね。優遇やら特権はおそらくどこの世界の、どこの会社にもついて回るものかもしれませんが、フランスの場合は政界や軍はもちろん国鉄に限らず、例えば原発関連企業などの職員についても「ちょっと特別扱いしすぎ?」と思わざるを得ない、前近代的な「特権」がありすぎる気がします。平和ではあっても例えば大学の教授のふんぞり返り方や「絶対」な存在もガイジンの私には気分悪くなること多々ありました。
Commented by みるふぇ at 2018-04-21 17:57 x
Commented by ma_cocotte at 2018-04-23 21:52
+ みるふぇさま、ご家族のこともあり、ルルドへの旅は特別であったと拝察します。ルルドはピレネーの中腹ですので、ご旅行された時期で悪天候だとかなり心身に堪える寒さやら湿気の重たさでしたでしょう。ストライキはきょうもまた決行中で呆れるばかり(国鉄だけでなくAFも、です)。
ストやデモ行進は共和国民の権利と言われれば少しは肯定の気持になれなくはありませんが、でも、やっぱりどこか前近代的に思えるし、迷惑だな、うん。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 2018年3月23日に、 // vendredi sai... >>